Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

夏の疲れに、酸味のある発酵調味料「酢」の健康効果を期待!

当該ブログの前報で紹介した「梅」に引き続き、酸っぱい繋がりでの「酢」の健康効果を情報を提供(リブログ)します。

 

どこの食卓にも必ずある定番の酸味調味料に「お酢」があります。その醸造技術はお酒のそれとともに、4,5世紀頃に中国から伝わったとされています。酢は、原料成分のブドウ糖など糖分をアルコール発酵により(エチル)アルコールにし、更にそれを酢酸発酵で酢酸にしたものです。酢の英語はビネガー(vinegar)と言い、その語源は「ワインが酸っぱくなったもの」から来ています。

原料となる食材は、穀類(米や麦など)や果実(リンゴやブドウ)など様々で、日本では穀物酢、米(黒)酢、リンゴ酢などがあります(表示の詳細は醸造酢の日本農林規格)が、世界では、ワインビネガー(仏)、モルトビネガー(英)、ホワイトビネガー(米)、バルサミコ酢(伊)などがポピュラーです。

酢は世界中で親しまれており、特に夏の疲れが溜まる時期には最適な調味料なので、紹介します。

 

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酢の主成分は酢酸で3~5%を含み、他にクエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸が酸味の成分です。その他、ビタミンB群や特に黒酢にはアミノ酸が含まれています。

これらから期待できる健康効果は次のようです。

 ・疲労回復やスタミナアップクエン酸などが疲労物質を分解し、エネルギー効率を高める。

 ・便秘改善有機酸が腸の善玉菌の餌になるので、血行が良くなり、ぜん動運動が活発になる。

 ・食欲増進:酢のさっぱりとした酸味が唾液や胃液の分泌を促し、食欲を増進させる。

 ・減塩効果:酸味が、塩分を控えても物足りなさを補いおいしく感じさせる。

 ・ミネラルやビタミンCの吸収補助クエン酸キレート作用でCa等と結びついて吸収されやすくし、酢の酸性がビタミンCを護る。

その他、血圧低下効果、血中脂質低下効果や内臓脂肪減少効果、血糖値上昇抑制効果などが報告されており、高血圧、高脂血症動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病予防が期待できます。

 

酢の1日の適量は大さじ1~2杯(15~30mL)です。直接飲むのは、酸性が強くて食道や胃を荒らし歯を溶かすので、避けるべきです。効果的な摂り方としては、調味料なので調理(加熱しても栄養成分は壊れない)の際に利用するのが基本です。更に、酢ドレッシング酢ドリンクなどもお勧めです。

毎日少量を継続的に摂る食習慣で、その効果が実感できるはずです。是非、実践してみてください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

伝統食材「梅」の健康効果で夏バテ解消を!

日本古来からの伝統食材である「」は、元々薬として使用されており、主に加工して保存食として食されてきていました。特に夏場の食欲が低下しているときには、酸っぱいものが効果的と言われていますので、改めて梅の健康効果を紹介します。

 

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梅と言えば、酸っぱいものの代名詞にもなっていますが、その成分はクエン酸」等の有機です。

先ず、酸っぱさで唾液の分泌を促して食欲を増進させ、胃液や消化酵素の分泌も高めて、消化吸収を助けてくれます。

次に、クエン酸やリンゴ酸はエネルギー代謝系の成分そのものでもあり、これら栄養素のエネルギーへの変換を進めるので、疲労回復効果が見込めます。

更に、クエン酸には微生物の繁殖を抑える効果があるので、おにぎりや弁当に入れると腐りにくく、食中毒の予防にも繋がります。

その他、抗酸化作用により老化防止効果のあるポリフェノール(梅リグナン)やビタミンEも含まれ、またカルシウム・鉄なども豊富で、クエン酸はこれらのミネラルの吸収を促す作用も持っています。

最近、梅干しを毎日食べる人はBMIが低いという研究結果も報告され、バニリンという成分の脂肪燃焼効果が期待されています。

 

このような健康効果から、「その日の難のがれ」とか「一日一粒で医者いらず」などと称されているのも、頷けるはずです。

 

最後に梅の摂り方です。

梅干しで食するのが一般的ですが、塩分には注意が必要です。大粒の梅干し1個(10g前後)に含まれる塩分(多いもので2gから減塩もので1g以下まで様々)の表示を確認し、1日に1,2個に留めるべきでしょう。

更に梅ジュースや梅酒として飲む、梅ジャム梅ドレッシングとして使う、梅の各種レシピを利用してアレンジする、などの摂り方もあります。

いずれにしろ、健康パワーを秘めた「梅」をこれからの夏バテ解消に、是非、役立ててください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

熱中症予防の水分補給で、注意する点は?

遅い梅雨明けと共に、猛暑の夏がやって来ました。

 

この時期に必ず急増してくるのが熱中症で、その予防としての水分補給が重要であるとされています。

しかしその水分補給も、喉が渇いたと自覚してから飲んだのでは手遅れ、とされており、一口に水分と言っても何をどれだけ飲むのかも?ですね。

 

そこで本報では、水分補給として具体的に、「何をどれだけ、どんなタイミングで飲むのか」を紹介します。

 

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始めに知って欲しいのは、生命維持に必要な水分量は約2.5L(リットル)で、その内食事とそれに伴う代謝で約1.3Lの水分を摂取できますので、残りの約1.2Lを飲料水で摂る必要があるという事です。

但しこれは一般的な活動量の場合での目安であり、汗や尿の排出の多少によって個人的に変わってきます。

特に夏場は大量の汗をかくので、その分多めの水分補給が必要ですし、喉の渇きを感じた時には既に脱水が始まっていると心得てください。

 

それでは具体的な水分補給法です。

(1)何を飲むか。水、茶類、清涼飲料、スポーツ飲料等がありますが、大量に汗をかいた後には塩分補給も必要なのでスポーツ飲料がお勧めです。逆に清涼飲料には大量の糖分が入っているものもありますので、注意しないといけません。緑茶などカフェインの多いものやアルコール類は利尿作用があるので、控えるべきです。

(2)どんなタイミングで飲むか。先ずは、目覚めの1杯と寝る前の1杯の2杯(約400mL)を習慣づけてください。喉の渇きを感じる前に、定期的に飲むようにしましょう。

(3)どれだけ飲むか。目覚めと寝る前での0.4Lに加えて、残りは1L程になります。一気に大量を飲む(水中毒、低ナトリウム症の危険)のではなく、こまめに飲むのがベターです。

 

最近は軽度の脱水症状に適した経口補水液も普及してきましたし、その手作りレシピも公開されています。尿の色が濃くなると脱水症状気味だというサインでもありますので、適切な水分補給を心掛けて夏場を乗りきってください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

「夏バテ」の原因と梅雨明けからやるべき解消法(主に食事)

ジメジメした梅雨が明けると猛暑の夏がやってきます。昼間の体へのダメージと夜間の睡眠もままならず、体がダルかったり食欲が落ちたりするのが「夏バテ」です。

夏バテとは、夏特有の高温多湿の環境が原因で、体が正常に機能しなくなって起こる体調不良のことを指します。夏バテの主な要因としては、水分とビタミン・ミネラルの不足が挙げられます。暑いときには体温が上昇しますが、汗をかくことで体温を下げようとします。汗は水分だけでなくビタミンやミネラルも排出するので、脱水プラス微量栄養素不足に陥るわけです。また室内外の温度差を繰り返し感じることで、体温調節を司る自律神経(正反対の働きをする交感神経と副交感神経)そのもののバランスが崩れてしまいます。

 

そこで本報では、夏バテの予防・対策法に関する情報を、主に「食」の面から提供します。

       

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夏バテの主な症状としては、体がだるい・食欲がない・疲れがとれない・眠れない、などが浮かびます。

これらの症状は梅雨の頃、多湿により体が余分な水分を溜め込んで胃腸機能が低下する事から始まり、夏の暑さにより一層顕著になります。

 

規則正しい生活と運動習慣が心地よい眠りに導くことは言うまでもありませんが、何をいつどのように摂取するのかという食事の大切さを今一度肝に銘じるべきです。

 ・適切な水分とミネラルの補給:脱水対策として、大量の水のみの補給は水中毒低ナトリウム症を引き起こし危険です。状況に応じて塩分さらには糖分の補給(経口補水液やスポーツドリンクなど)をしてください。

 ・良質なタンパク質を含む栄養バランスの採れた食事:肉・魚・大豆・卵などを主菜に、新鮮な野菜・果物・海苔で、特に失いやすい水溶性ビタミンのB群とCを補給しましょう。

 ・香辛料や酸味(料)で食欲増進:唐辛子・生姜・胡椒・ワサビなどの香辛料は体も温めますし、クエン酸(梅干し・レモン等柑橘系)は疲労回復やミネラルの吸収にも役立ちます。

 ・抗酸化食品の摂取:強い紫外線を浴びて増加した活性酸素による全身の機能低下を予防・回復のため、特に色の濃い夏野菜(トマト・ナス・ピーマン等)を皮ごと食べましょう。

 

夏バテは、主に食事を見直し(量より質、冷たい物を控える)、軽い運動と良い睡眠を加えることで解消できるはずです。自分にとって効果的と思われる方法を実践してみてください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

夏を代表する食べ物「スイカ(西瓜)」の健康効果

夏の食べ物として思い描くのは、まず「イカ(西瓜)」ではないでしょうか。西瓜と書くのは中国の西方から伝来した瓜からで、スイカと読むのは西瓜の唐音が訛ったとのこと。

 

冷えたスイカはみずみずしくて美味しく、当に夏にぴったりです。夏前から果物コーナーでの主役になっていて、丸ごとはもちろん、1/4~1/8や一口大にカットした物まで、様々なタイプが並んでいます。

 

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ところで、スイカは果物でしょうか?

農水省では果実的野菜として野菜の扱いですが、文科省管轄の日本食品標準成分表では「果実類」に分類されていますので、消費者にとっては果物です。

 

イカ主な栄養・健康成分(赤肉種:可食部100g当たり)とその効果を挙げます。

 ・水分 90g+炭水化物 9.5g(内、食物繊維 0.3g):水分量が多くて糖質もあり、塩を少し加えると天然のスポーツ飲料になる

 ・カリウム 120mg:ナトリウムを排出して血圧低下やむくみ改善に効く 

 ・β-カロテン 0.83mg:体内でビタミンAに変換され、自身の抗酸化作用もあり

 ・リコピン:抗酸化作用でアンチエイジングに効果的

 ・シトルリン:スイカから発見された成分でアミノ酸の1種。腎臓の働きを助けて老廃物を排出する作用(利尿作用)があり、血流改善効果や肌の保湿効果も期待できる

 

果肉と皮の間の白い部分には、シトルリンが果肉の2倍含まれていることが判っています。捨てるのではなく、漬物や千切り(サラダやスープに)、あるいはスムージーの材料として利用することを勧めます。

 

夏が旬のスイカは、食欲が落ちるこの時期に手軽に食べられ、熱中症予防にも適した優れものです。ただし、体を冷やす性質があることに注意しながら、スイカの力を取り入れて、酷暑を乗り切りましょう。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

今、見直されている「漬物」の健康効果

和食の基本として、昔から「一汁三菜」と言われます。主食であるご飯に味噌汁、主菜(おかず)に副菜二品という組み合わせですが、そこに必ず香の物(漬物)が添えられていました。漬物は日本人には伝統的な食べ物ですが脇役でしかなく、近年では塩分過多の心配から敬遠されているようです。

本報では、そんな状況にある漬物のメリットを改めて紹介したいと思います。

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漬物の材料と言えば主に野菜です。野菜の1日摂取量として350gが推奨されているが、成人男女の平均摂取量では60g程不足しています。生野菜のサラダは手軽ですが、そう多くは摂れません。

そこで、漬物がクローズアップされるのです。漬物にすると、1)幅広い味付けができ保存性も増して食べやすくなる、2)カサが減り非加熱で栄養効率が良い、3)物により発酵した乳酸菌で腸活に効く、4)口直しや箸休めで食が進む、等のメリットが出てきます

 

代表的な漬物とその特徴を挙げます。

浅漬け:その名の通り、最も時間も手間もかからず簡単に作れる漬物。市販の浅漬けの素を利用しても良いですし、数種の野菜と塩昆布があれば混ぜるだけで作ることもできます。新鮮な旬の野菜が、栄養 (食物繊維、ビタミン類、ミネラルなど) を逃がさず塩分控えめで、かつ美味しく摂れます。

糠(ぬか)漬け:米ぬかを乳酸菌で発酵させたぬか床に、ほぼ一晩野菜を漬けたもの。ぬかのビタミンB1が漬物にしみ込み豊富で、植物性乳酸菌による腸活も期待できます。

麹漬け:米麹に砂糖や塩を混ぜた床に、野菜などを漬けたもの。発酵した麹の風味や旨味が材料にしみ込み、自然な甘味が特徴と言えます。大根のべったら漬けが有名です。

 

最後に、塩分の問題に触れないわけにはいきません。当該ブログ(健康に良い塩分摂取とは?)で、適塩は6g前後/日であると紹介しました。高塩の代表は梅干しで、20%になるものもあります。浅漬け等の低塩ものでは、2%前後です。近年、梅干しもそうですが、減塩や低塩を謳った製品も多く見受けられます(保存性は低下)。必ず、栄養成分表示等で塩分量を確認してから摂ってください。

 

漬物は食欲を昂進し有効成分も摂れる優れものです。是非、食卓に添えて健康の手助けにしましょう。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

認知症に有効とされる「マインド食」とは?

マインド(MIND)食とは、地中海食穀物や乳製品、オリーブオイル、野菜・果物が中心で心疾患予防に有効)とダッシュ(DUSH)食(塩分と炭水化物を控えて塩分排出作用のあるミネラルと食物繊維を摂ることで高血圧予防に有効)を組み合わせた食事法のことを言います。

2015年に認知症の国際誌に、MIND食を実践することでアルツハイマー病のリスクが大幅に減少した、とのアメリカからの報告が載り注目されましたので、改めて紹介します。

 

MIND食は、次の図に示す「推奨される10食材」と「避けるべき5食材」から成っています。

                    

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この15食材の内、平均5.6食材しか実行していない群に比べて、平均9.6食材を実行(厳密に実行)した群は53%、平均7.5食材(ゆるやかに実行)の群でも35%それぞれ発症率が低かったことが確認されました。

 

その中身を具体的に説明します。

飽和脂肪酸(赤身の肉やバター、チーズ等の動物性脂肪)や甘い物を控え、オメガ3等の不飽和脂肪酸(ナッツ類オやオリーブオイル、魚)、ポリフェノール等の抗酸化物質(ベリー類やワイン)カロテノイドや食物繊維(緑黄色野菜等)を推奨する食事法ということです。

特に、油はオリーブオイルを優先的に使い、ベリー類を摂ることを意識しましょう。

避けるべき食材の具体的な目標頻度は、次のようになっています。

・赤身の肉 → 週4回以下 ・バター → なるべく少なく ・チーズ → 週1回以下

・お菓子 → 週5回以下 ・ファストフード → 週1回以下

更に日本人としてもう一つ付け加えるならば、塩です。1日6g未満の減塩がベターでしょう。

 

こう見てくると、マインド食は認知症予防食の域を超える「健康食」と位置づけて良いはずです。

マインド食の実践に際して、15食材の内10食材を守ること(上記データの厳密に実行に当たる)は、日本人の一般的な食事に照らし合わせても実行可能でしょうし、7,8食材のゆるやかな実行から始めてもいいのです。なお、充分な睡眠と適度な運動も忘れないようにしてください。

(この情報の一部と図は、日経Gooday編集部:認知症と食事―認知症リスクを下げる食事のポイント―(日経Gooday,2020.1.6)から引用しました。また、本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)