健康寿命を延ばす食品、そのトップは「ナッツ類」!
日本の平均寿命が世界一になったのは1978年で、以来トップの座を守り続けていますし、健康寿命も男女平均で最も長いのは日本とのことです(2021年版世界保健統計)。
実際の数値(平均寿命-健康寿命)を挙げると次のようです。
・男性:81.64-72.68= 8.96
・女性:87.74-75.38=12.36
両数値の差は寝たきりなど健康でない期間を意味しています。すなわち男性は9年で、女性は12年強になり、いずれにしても10年前後の長きに渡ります。
この期間をできるだけ短くしたいと、誰しもが思うはずです。
本報では改めて、最新の研究に基づく健康寿命を延ばす食品(食事)の情報提供をします。
ネイチャーフード誌に発表されたミシガン大学の論文に、食材・加工品・料理など約5800品目を対象に、健康寿命がプラスになるかマイナスになるのかを、1食あたりの分単位で算出した結果が出ています(*)。
A.健康寿命を延ばす食品(食事):
- ピーナツ(ロースト,塩味30g)→+26分
- ピスタチオ(塩味30g)→+25分
- ピーナツバター(甘くない32g)→+24分
- サーモン(焼き85g)→+16分
- 納豆ご飯(239g)→+14分
- バナナ(140g)→+13分
- りんご(140g)→+13分
ベスト3はいずれもナッツ類になっています。
そこで、以前に当該ブログで配信した「ナッツ類」(2020.6.6) および「ピスタチオ」(2020.6.12)を読んで確認してください。
ちなみに、B.健康寿命を縮める食品(食事)も挙げます。
・ホットドッグ(140g)→-36分・ハム(55g)→-29分・ソーセージ(豚肉55g)→-22分・コーラ(360g)→-12分・ピザ(肉と野菜入り140g)→-8分・ハンバーグ(牛肉85g)→-8分
俗に「ピンピンコロリ(PPK)」と謂って、亡くなる直前まで元気に過ごして天寿を全うすることが理想ですが、残念ながら「ネンネンコロリ」が多いのが日本の現実です。
もちろん、食事の改善だけでPPKが実現できるわけではありませんが、重要な一因であることは疑いないはずです。ナッツ類をこまめに摂ることやハム・ソーセージ類を控えることが、少なくともPPKの一助になるのではないでしょうか。
((*)YAHOOニュース:米国大学の研究で明らかに「健康寿命を延ばす朝食」(女性自身,2022.3.16)を参照し一部引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)
タンパク源に豆腐、それも高タンパクの「豆腐バー」が注目!
三大栄養素の一つタンパク質の重要性に関しては、当該ブログでも数多く配信しています(2020.5.1~)。
主な植物性のタンパク源としては大豆があり、その加工品の一つが「豆腐」(2021.6.25配信)ですが、本報では、高タンパクの豆腐に絞って情報提供します。
まず、豆腐といえば木綿豆腐と絹ごし豆腐がメインですが、手頃な関連製品を含めたタンパク含有量(100g当たり)は次の様です。
・木綿豆腐:7.0g*・絹ごし豆腐:5.3g*・充てん豆腐:5.0g*
・焼き豆腐:7.8g*・凍り(高野)豆腐(水煮):10.7g*
なおあまり一般的ではないですが、伝統的な「堅豆腐」と呼ばれる水分が少ない高タンパクな豆腐類があります。それらのタンパク含有量(上記と同様)も次に示します。
・沖縄豆腐(島豆腐):9.1g*
・豆腐よう(島豆腐の発酵品):9.5g*
・堅豆腐(さとの雪製):8.2g
・ろくじょう(六条、六浄)豆腐:34.7g*
堅豆腐といっても10gには達しない程度ですが、ステーキや煮物などの簡単レシピが公開されていますので、参照ください。
最後の六条豆腐は天日干しして乾燥させた保存食でかつお節並みの硬さなので、約35gと飛び抜けて高いタンパク量になっています。実際に精進節として精進料理に使われているそうですが、削ったそのままを食べたり、湯で戻して煮物や和え物に利用したりできます。
本報で紹介したかった本命は、「豆腐バー」です。
正式名称は「TOFU BAR」で、2020年11月の発売から既に1000万本を超えています。
ご存じだったでしょうか?
豆腐メーカーの「アサヒコ」が開発し、コンビニのセブンイレブンで販売されています。現在の主力は3商品(下図)ですが、商品のリニューアルや新品の投入も進んでいるとか。
図の上部に示すように、1本(68g)で10gのタンパク質が摂れるのが売りです。右端の商品の栄養成分表示を見ると、10.9g(100gに換算すると16.0g)でした。また、高タンパクなのに低糖質で低カロリーであることが判ります。
なお、原材料名の丸大豆(アメリカ産)に、「分別生産流通管理済み」とありますが、新表示制度によるもので、従来の「遺伝子組み換えでない」と同等です。
このTOFU BARは、セブンイレブンのヒット商品「サラダチキンバー」をヒントに開発され、メイン購入者は30~50代で男性が4割を占めているそうです。
当に横文字にした意図が、新たな消費行動に結びついたと言えるのかもしれません。
豆腐バーは、そのままで美味しく食べられるので、ダイエットやトレーニングだけでなく、小腹が空いたときにも手軽に摂れる優れものです。もちろん、アレンジして料理にも使えるので、是非、日々の生活に新たなタンパク源として活用してはいかがでしょうか。
((*)日本食品成分表2021(八訂)より引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)
カカオ豆の健康飲み物としての「ココア」と「チョコドリンク」
チョコレートとココアに関しては当該ブログで約1年前に配信しました(2021.2.19 & 26)が、本報では、更新リブログしながら、カカオ豆の飲み物としての視点で紹介します。
ココアは飲むもので、チョコレートは食べるものとの認識が一般的ですが、そもそもはカカオ豆をすり潰して水に溶かしたカカワトル(カカオの水)として飲用が始まったという歴史があります。栄養豊富で高価な飲み物として特権階級や断食中の修行僧に愛飲されていたそうです。
ココアもチョコレートも、カカオ豆を発酵して乾燥・焙煎後磨砕してペースト状にしたカカオマスを原料にしているところは同じですが、加工の段階で違いが出てきます。
・ココア:カカオマスからその脂肪分であるカカオバターを除いたもの
→ これを粉砕し粉状にしたものがココアパウダーで純ココアのこと
→ カカオバターに凝固作用があるため固まる
つまりカカオマスを原料に、そこからカカオバターを除くか(ココア)、さらに加えるか(チョコレート)の違いです。
従って、飲み物としてのココアとチョコドリンク(ホットチョコレート)の違いは、端的に言えばカカオ(ココア)バターの含有量になります(下図)が、両者に厳密な区別はないといって良いでしょう。
(*)
味わいは、ココアバターが少なければスッキリとした飲み心地ですが、多くなるに従い濃厚でコクを楽しめます。エネルギー(カロリー)をはじめ栄養・健康成分は、やはり後者の方が高いです。
原料であるカカオ豆の健康効果については、当該ブログのチョコレート(上述)で確認してください。
カカオポリフェノールやテオブロミンなどの特有成分が有効です。
最後になりますが、家庭で楽しむなら「ココア」ではないでしょうか。
そのパウダーは手頃ですが、チョコレートパウダーは希少でかつ高価ですし、固形のチョコを粉砕するのも手間が掛かります。ココアパウダーには純ココアと調整ココア(ミルクココア)があり、エネルギーには大差ないですが、前者はタンパク質と脂質がリッチなのに対して、後者は大半が糖質です(下表)。
食品/成分 エネルギー タンパク質 脂質 糖質
(単位) (kcal) (g) (g) (g)
純ココア 386 18.5 21.6 23.5
調整ココア 400 7.4 6.8 75.1
結論として、純ココアを牛乳に溶かして飲むことを勧めます。
上図でのココア(調整ココア)とチョコドリンクの丁度中間くらいの位置づけになり、味わいや健康効果もそこそこです。
一服時の飲み物として、カカオ豆の健康効果が活きているココアを加えてみてはいかがでしょうか。ホットだけでなくアイスもイケますよ!
((*)株式会社 明治:Hellow,Chocolate「ココアとはカカオの別称?ホットチョコレートとの違い」(2022.2.4)より引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)
甘酒ブームに続く「酒粕」、その知られざる魅力とは?
「甘酒」に関しては当該ブログで配信済み(2019.10.3~)で、その中に酒粕甘酒のことも少し紹介しましたが、麹甘酒推しでした。
本報では改めて、「酒粕」には甘酒の原料になる以外にも多くの魅力があることの情報提供をします。
そもそも酒粕とは日本酒の残りカスです。つまり米に米麹と酒母(酵母)を混ぜて発酵させた醪(もろみ)を搾って濾すと、原酒とともに酒粕が採れるわけです。
粕(カス)と名付けられていますが、いわゆる副産物で、日本酒の製造工程でできる様々な栄養成分が含まれているのです。このことは、昔から甘酒以外にも粕漬けや粕汁など多くの料理に使用されてきたことが、物語っています。
まず、酒粕の主な栄養成分(100g当たり)を確認しておきましょう。
エネルギー |
タンパク質 |
脂質 |
糖質* |
食物繊維 |
銅 |
V.B2 |
V.B6 |
アルコール |
||
(kcal) |
(g) |
(g) |
(g) |
(g) |
(mg) |
(mg) |
(mg) |
(mg) |
(μg) |
(g) |
215 |
14.9 |
1.5 |
18.6 |
5.2 |
2.3 |
0.39 |
0.26 |
0.94 |
170 |
8.2 |
(*)炭水化物-食物繊維の値
酒の残渣なのでアルコール(7kcal/g)が8%程残存していることは頭に入れて置かねばなりません。
エネルギーやタンパク質は肉・魚類並みにあり、食物繊維をはじめ表示のミネラルやビタミン類も多く含まれ、食事摂取基準の1日の必要量や目標量の2割を超えています(太字)。特にビタミンB6や葉酸はほぼ8割に達しています。
また、タンパク質や糖質の中には難消化性のタイプの成分(レジスタントプロテインやレジスタントスターチ)が含まれていて、次に示す効能にも幾つか関係しています。
・腸内環境改善や便秘解消
・糖尿病、心臓病、高血圧、がん等の生活習慣病予防
・肥満予防やコレステロール値の低下
・肌の美白や保湿
・血流促進や冷え性改善
酒粕には平たく四角い板状をした板粕が多いですが、板状にならなかったバラ粕、さらに板粕やバラ粕を柔らかく練り上げた練り粕(さらに熟成させた踏込粕)があり、市販されています(下図)ので、用途により選択してください。
最後に、酒粕の食への活用法の紹介です。
・そのまま焼く、ペースト状のものをパンに塗りトーストする
・酒粕甘酒:水200mLに酒粕30~50gを混ぜ、砂糖などで味を調整する
・粕漬け:最も単純な粕床(*)は酒粕100gに対して酒か味醂50mLを混合する
・粕汁:様々な具材があり、レシピを参照する
・煮込み料理や鍋、またスイーツに加える
日本酒の副産物である酒粕ですが決してカスではなく、栄養豊富で多彩な健康効果だけでなく美容効果も認められる優れものです。なおかつ100g100円前後とお手頃価格なのも有り難いと思います。
アルコールが残存していることに気をつけ、かつ一度の大量摂取(100g以上)も避けるべきですが、是非、食生活で積極的に取り入れてください。
((*)ためしてガッテン:酒かすパワー大全開!(NHK,2015.11.25)。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)
「大根」は冬が旬も多様化、葉を含めた部位別の活用を!
冬が旬(12~2月頃)といわれている「大根」ですが、最近では春や夏の収穫される物もあり多様化しています。
そこで冬物から春物に替わるこの時期に、大根(最もメジャーな青首大根)の季節による違いや葉を含めた部位別の違いを明らかにすることで、より有効な活用に繋げたいと思います。
まず、大根の季節による特徴の違いです。
・冬物:甘味があり実が引き締まっているのに繊維が柔らかいので、味が浸みこみやすく煮崩れしにくい → 煮物向き
・春物:冬物より辛味がある → サラダや漬物、大根おろしなど生食向き
・夏物:春物よりさらに辛味があり硬さも増す → 炒め物向き
次に、部位による特徴の違いですが、判りやすく図示します。
(*)
大根といえば専ら根を食べるので葉付きで店頭に並ぶことは少ないようですが、葉には食物繊維をはじめビタミンや無機質が豊富なので、食べない手はありません(上図&下表参照)。
大根/栄養成分 食物繊維 K Ca V.A V.C 葉酸
(単位) (g) (mg) (mg) (μg) (mg) (μg)
根(皮つき、生) 1.4 230 24 0 12 34
根(皮つき、ゆで) 1.6 210 24 0 9 38
葉(生) 4.0 400 260 330 53 140
葉(ゆで) 3.6 180 220 370 21 54
根に含まれる栄養成分以外の特有成分として、消化酵素と辛味成分があります。
・消化酵素:三大栄養素に関わるデンプン、タンパク質、脂肪を分解する酵素であるアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼを含み、それぞれを消化し小腸からの吸収を補助
・辛味成分(春物、夏物に多い):イソチオシアネートの前駆体を含み、細胞を壊すとミロシナーゼという酵素の働きでイソチオシアネートになって殺菌や消化促進の作用を発揮
但しいずれの成分も効能を期待するには、酵素が関わるので生での処理(加熱すると酵素が失活)が前提になります。つまり生の根をおろしたり切り刻むことで細胞が壊れて、イソチオシアネートが生成(揮発成分なので時間と共に減少)し、またそれを他の食材と混ぜることで食べ物の消化が進むわけです。
大根の季節や部位による特徴の違いに言及しましたが、あくまでも知っておくとより有効に活用できるということで、オール・オア・ノーンではありません。
大根おろしは是非推奨したいですし、煮物や炒め物に使う祭の参考になれば幸いです。
((*)新ビジュアル食品成分表 新訂第二版(大修館書店)。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)
コロナ禍でもブームが続く「豆乳」の魅力とは?(その2:牛乳との比較)
そもそも大豆の絞り汁が乳ではないのに、なぜ「豆乳」になったのでしょうか。
豆乳は紀元前から中国で作られていて、豆漿(とうじゃん:漿は汁や飲み物の意味)と謂われていたようですが、色が牛乳に似ていたことや母乳・牛乳の代用品であったので、豆汁ではなく豆乳と呼ばれるようになったとのこと。
日本のミルク市場を見ると、2020年度の飲用牛乳等の生産量が約600万kLであったのに比して豆乳のそれは約40万kLと、牛乳が桁違いのダントツです。
でも動物性である牛乳に対して、豆乳やアーモンドミルクなど植物性ミルクが拡大傾向にあるのは確かですので、その代表である豆乳の魅力を牛乳と比較することで明らかにします。
まず、素に近い無調整豆乳と普通牛乳の主な栄養成分の比較(100g当たり)です。
成分/ミルク | エネルッギー | タンパク質 | 脂質 | 糖質 | Ca | 鉄 | V.A | V.B2 | 葉酸 |
(単位) | (kcal) | (g) | (g) | (g) | (mg) | (mg) | (mg) | (mg) | (μg) |
普通牛乳 | 61 | 3.3 | 3.8 | 4.7 | 110 | 0.02 | 38 | 0.15 | 5 |
無調整豆乳 | 44 | 3.6 | 2.0 | 1.0 | 15 | 1.2 | 0 | 0.02 | 28 |
・タンパク質は豆乳も牛乳もほぼ同程度だが、豆乳の方が低脂質・低糖質のためにエネルギーも低い。また豆乳には、脂質の中でもなるべく避けたい飽和脂肪酸もほとんど含れず、かつコレステロールもゼロ。
・ミネラルでは不足がちのカルシウム(Ca)と鉄に注目すると、カルシウムは牛乳の圧勝だが、鉄は豆乳の方が6倍程多い。但し、豆乳に含まれる鉄は非ヘム鉄で吸収率が悪いので、豆乳に含まれない動物性タンパク質とビタミンCとの同時摂取が必要になる。
・ビタミン類では、ほぼ甲乙付け難い中、ビタミンAやB2では牛乳に軍配が上がるが、豆乳には葉酸が牛乳の6倍近く含まれていて、コップ一杯で推奨量の1/4が摂取できる。
・他にも豆乳には、大豆に由来するイソフラボン・サポニン・レシチンが含まれており、健康効果に有効。
これらの栄養・健康成分から期待できる豆乳の健康効果は次のようです。
・腸内環境を整え、便秘予防にも効果
・美肌効果の他に、貧血や女性の更年期対策にも効果
・ダイエットには牛乳より豆乳、特に無調整豆乳が効果的
日本での豆乳販売は1978年に紀文が始めましたが、現在は紀文を引き継いだキッコーマンが製造と販売(業界のシェアは50%以上)をしていて、その象徴がロゴの変更に現れています。
無調整豆乳や調製豆乳はもちろんのこと、驚くのは豆乳飲料のラインナップの多さで、何と31種類、47アイテムに及ぶそうです。さらに飲む味の多様化だけでなく、最近ではパッケージのまま凍らせてアイスにしたり、レンジでチンしてプリンができるなどの楽しみ方もあるとか。
豆乳鍋も今の寒い時期に人気ですので、一時期問題視されたイソフラボンの過剰摂取に触れないわけにはいきません。結論から言うと、豆乳に関しては2パック(400mL)で1日の上限目標量に達しますが、超えても直ちに健康被害に結びつくことはないのです。
でも豆乳以外の大豆製品(納豆、豆腐、煮豆など)も食べるはずなので、豆乳は1パック位に止めておくのが無難かも知れません。
また、イソフラボンを有効に働かせるためには、毎食に分散して大豆製品を摂取すべきです。
最後になりますが、豆乳が牛乳の代わりになる訳ではありません。牛乳の優れた点も理解した上で、目的に応じて飲み分けるのがベストではないでしょうか。
(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)
コロナ禍でもブームが続く「豆乳」の魅力とは?(その1:3度のブームの背景)
大豆の絞り汁である「豆乳」は、2020年に生産量が過去最高(43.1万kL)になり、10年連続で記録更新して約2倍増の結果でした(下図)。
(*)
昨年は漸減しました(42.4万kL)が、コロナ禍でも堅調を維持できていてブームが継続しているという趨勢でしょう。
まず、豆乳の現在に至る背景を上図から歴史的に探ってみます。
1980年代前半の頃は「コレステロール・ゼロ」の健康飲料として注目されました(第1ブーム)が、特有の青臭さで定着しませんでした。
2000年代に入ると、「大豆イソフラボンやレシチン」という豆乳成分が美容と健康に良いとされ、またスタバが「ソイラテ」を本格展開したことで、広く認知されました(第2ブーム)。さらに、豆乳製造技術も進化して美味しくなったと言われています。
その後2015年前後頃から第3ブームと謂われるようになり、今に至っています。
では、豆乳がここまで成長した訳は何でしょうか?
それを解き明かすには、豆乳に3種類のカテゴリーがあることを知る必要があります。
・無調整豆乳:大豆固形分8%以上で、原材料は大豆と水のみ。
・調整豆乳:大豆固形分6%以上で、無調整豆乳に糖分などを添加。シェアの4割を占める。
・豆乳飲料:果汁系は大豆固形分2%以上であり、その他は大豆固形分4%以上。
この3種類の豆乳を3度のブームと結びつけると、この図のようになります。
(**)
三角形の上ほど糖分やフレーバーなどの添加物をなくし、豆乳本来の味になりかつ栄養も豊富なのです。
つまり無調整豆乳の品質向上が追い風となってこの10年程で出荷量が約6倍伸びたことは、単に飲むだけでなく料理や鍋などでの食べ方が普及したことを物語っています。
もちろんシェアトップの調製豆乳も順調に伸び(ここ10年でほぼ倍増)、豆乳飲料と共に、濃さや味も多種多様で目移りするほどです。
豆乳は健康志向にもマッチしていて牛乳より日持ちも良いので、今後このブームが去るとは考えにくく、高止まりで定着するのではないでしょうか。
((*)朝日新聞DIGITAL:豆乳の国内生産倍増 青臭さ抑えて3度目のブーム到来?(2021.6.13)、(**)YAHOOニュース:「豆乳」は第3ブームが到来。一般化させるまでの取り組み(2015.10.11)より、それぞれ引用しました。なお本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)
次報は、豆乳の具体的な魅力を牛乳と比較して配信します。