Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

ポジティブフードとして注目の「キウイフルーツ」、緑と黄の違いは?

今が出盛りのゴールドキウイが店頭を賑わせています。

 

          

 

キウイフルーツに関しては、当該ブログでも「手頃で栄養価の高い果物」として2度配信済み(2019.7.30&2020.7.3)です。


先ずは後者のものを検索して、内容を確認してください。

 

今回、キウイフルーツポジティブフードとして注目されているとの情報を得ましたので、改めて紹介すると共に、グリーン(緑品種)とゴールド(黄品種)の違いにも言及します。

 

ポジティブフードとは、メンタルヘルスに貢献する栄養素を含む食品を謂い、その栄養素とは頭文字がタ・テ・シ・ヨの以下に示す成分です。

 ・タ:タンパク質

 ・テ:鉄

 ・シ:食物繊維、ビタミンC

 ・ヨ:葉酸

 

食事としては「地中海式食事」や「日本食(和食)」が良いのですが、手軽にはキウイフルーツがお勧め。

 

ちなみに、若い成人男性に、キウイフルーツを1日2個、6週間与えたところ、気分障害疲労が減り活力が増加した、という海外の研究結果の裏付けもあります。

 

キウイフルーツ2種の主な栄養成分(生、100g当たり)を比較して示します。

 

キウイ/成分 エネルギー タンパク質  糖質 食物繊維
 (単位)  (kcal)     (g)   (g)      (g)
グリーン   51    1.0  9.6     2.6
ゴールド   63    1.1 11.9     1.4

 

キウイ/成分 カリウム   鉄  葉酸  V.C
    (単位) (mg)  (mg)  (μg) (mg)
グリーン 300  0.3   37   71
ゴールド 300  0.2   32 140

 

成分名の太字がタ・シ・テ・ヨで、含有値の太字は栄養素充足率が10%以上です。タンパク質と鉄は少ないが、ビタミンCを筆頭に食物繊維や葉酸は、カリウムと共に豊富です。

特にゴールドのビタミンC(赤字)に至っては、1日推奨量の100mgを上回っています(過剰摂取の心配はなし)。

 

ゴールド種はほぼ食べ頃の完熟状態(軽く握って柔らかさがある)で市販されていますが、グリーン種はまだ未熟の物が多くて追熟の必要があります。

追熟は冷蔵庫ではなく室温で保存しますが、もっと早く熟させたい場合には、リンゴやバナナ(エチレンガスを発生)とビニール袋に同封して室温で2,3日置くと良いでしょう。

 

キウイフルーツは、国産品と輸入品の違いはあっても年中店頭に並び、1個100円前後と手頃です。また、皮のまま半分に切り、スプーンですくって食べらる手軽さもあります。

 

これを機会に、少なくとも1日1個、メンタルの不調を感じている方は1日2個を、常食としてはいかがでしょうか。


(本情報の一部は、「1日2個、切ってスプーンで食べるだけ」メンタル不調に効く身近な"あの食べ物"(PRESIDENT Online ,2021.7.7)を参照しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

抗老化効果で熱視線のNMN、サプリで摂るべき?

最新の情報誌(*)で、「NMNの抗老化効果に富裕層ら熱視線 サプリも続々登場」との記事が掲載されました。

 

得体の知れない横文字の成分ですが、それに抗老化(アンチエイジング)効果があって、かつそれがサプリで可能(?)となれば、惹かれる方も多いのではないでしょうか。

 

          

 

当該ブログでも、テレビの情報番組で採り上げられたのを切っ掛けに、半年ほど前に紹介しました(2021.10.22)。

先ずは、NMNで検索して閲覧し、内容を把握してください。

 

確認しますと、体内で必要な成分は補酵素であるNADで、それが直接摂れないので、前駆体であるNMNを摂ろう、それも食事では無理なのでサプリから、となるわけです。

 

そのNMNサプリは現在、1日数千円と超高価なものから、手頃でも1ヶ月で1万円するほど高価で、かつ「その効果やリスクがヒトで検証されていないので、タダでも飲まないし勧めない」とする医師もいます。

 

従って当該ブログでは、安易にサプリを推奨するのではなく、NAD・NMNの原料であるナイアシン(ビタミンB3)を食事から摂ろう、という視点で話を進めます。

 

前報での結論として、ナイアシン摂取(1日の概算)の現状は、男女とも平均30mg前後で推奨量10~15mg(耐容上限量 数百mg)を充たしているので、新たに対応しなくて良い、でした。

 

ただ、耐容上限量までにはまだ10倍量ほどありますし、加齢とともに体内でナイアシンからNMNを生成する力が衰えてNADの減少に繋がるとも謂われていますので、ナイアシンを食事からもっと摂ることで、抗老化効果がより期待できるのではないでしょうか。

 

そこで具体的に、食品に含まれるナイアシン含有量(1食当たり)を挙げます(**)。

 

植物性食品/成分 1食(g) ナイアシン(mg)
玄米めし  150     4.4
落花生((いり)    15     3.5
発芽玄米めし  150     3.0
スイートコーン(電子レンジ)  100     2.4
ひらたけ(ゆで)   30     2.1
ぶなしめじ(油炒め)   30     2.0
エリンギ(油炒め)   30     2.0
そば(ゆで)  200     1.0
アボカド   50     0.9
アーモンド(フライ味付け)   15     0.7

 

動物性食品/成分 1食(g) ナイアシン(mg)
たらこ(生)    40   20.0
鶏むね(皮つき,焼き)  100   17.0
かつお(生)    80   15.2
びんながまぐろ(生)    70   14.7
豚ヒレ(焼き)  100   13.0
くろまぐろ(赤身)     70     9.8
さんま(焼き)  100     9.8
さわら(焼き)    80     9.6
まさば(焼き)    70     9.1
ぶり(焼き)    80     8.0

 

動物性食品の魚類、鶏、豚などで、主菜として1食で10mg以上の摂取が可能です。

 

植物性食品も含めたこれらの食品を念頭に置いて、ナイアシン摂取量が1日100mgを超える日があっても良いはずです。

 

そしてそのことが、NMN延いてはNADの増加に繋がって、補酵素としての役割(エネルギー産生など)を充足し、さらにはサーチュイン遺伝子を活性化することによる抗老化効果に繋がるのではないでしょうか。

((*)日経トレンディ:[NMN]ってなんだ?(2022.5月号)、(**)https://hfnet.nibiohn.go.jp/ナイアシン、よりそれぞれ引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

新食材として話題の植物ミルク、豆乳以外に何?

ミルクと言えば「牛乳」、植物性のミルクと言えば大豆由来の「豆乳」が、誰でも浮かぶはずです。しかし今、新食材として話題の植物ミルクとは、一般に定着している豆乳以外を指すようです。

 

そこで本報では、そんな今話題の植物ミルクについての情報提供をします。

 

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一概に植物ミルクと言っても10種類以上ありますが、前報(2022.4.8配信)のテーマであった「オートミール」のきっかけとなったテレビの情報番組(NHK あさイチ)では、主にオーツミルクアーモンドミルクココナッツミルクが紹介されていましたので、手頃な市販品も目に留まることを確かめた上で、この3種に的を縛ります。

 

まずは、これら3種の植物ミルクに牛乳と豆乳を加えて、主な栄養成分(100g当たり)の比較表を示します。特に断らない限り無調整、砂糖不使用の製品です。なお、炭水化物は糖質と食物繊維の合算値で、ミルクはいずれも糖質>>食物繊維です。(太字は多い、- は不記載を示す)

食品/成分 エネルギー タンパク質  脂質 炭水化物
      (単位)   (kcal)     (g)   (g)      (g)
普通牛乳*    61    3.3   3.8    4.8
豆乳(無調整)*    44    3.6   2.0    1.9
オーツミルク    40    0.2   1.5    6.8**
アーモンドミルク    20    0.5   1.5    2.0
アーモンドミルク(濃い)    62    2.7   5.4    1.1
ココナッツミルク*   157    1.9  16.0    2.8

 

食品/成分 コレステロール   Ca   鉄  Mg  V.D
(単位)    (mg)  (mg)  (mg)  (mg) (μg)
普通牛乳*    12  110  0.02   10  0.3
豆乳(無調整)*     0   15  1.2   25   0
オーツミルク     0  120    -    -  0.7
アーモンドミルク     0   30    -    -   -
アーモンドミルク(濃い)     0   26    -   26   -
ココナッツミルク*     0    5  0.8   28   0

((*):日本食品成分表2021年版(八訂)を引用、(**):食物繊維添加の製品で5.6+1.2と表示))

 

牛乳三大栄養素がバランス良く含む上にカルシウムも多い優れものですが、乳糖不耐症やアレルギーなどで体質的に飲めない人もいます。

 

豆乳を含む植物ミルクのメリットを挙げてみます。

 ・牛乳が飲めない人の代替えミルクになる

 ・ヴィーガンベジタリアンでも飲める

 ・日持ちするし、常温保存も可

 ・飲料や料理の幅が広がる

 ・環境負荷が少なくSDGsに繋がる

 

豆乳は、高タンパク質で低カロリー・低糖質かつコレステロールゼロなので、大豆アレルギーでなければベストな選択かも知れません。

 

以下に3種の植物ミルクの特徴を示します。

 ・オーツミルク:オーツ麦と水を混ぜて濾すとでき、オートミールからでも作れる。食物繊維を添加している製品が多く、糖質・カルシウム・ビタミンDが豊富。あっさりしていてクセがないため飲みやすい。

 ・アーモンドミルク:水に浸したアーモンドを攪拌し濾すとできる。一般品は低タンパク・低糖質・低カロリーで、さらっとした飲み口かつ香ばしい。濃いタイプの製品もあり、カロリー・タンパク質・脂質がほぼ3倍になっている。

 ・ココナッツミルク:熟したココナッツから胚乳を煮出して作る。高脂質(中鎖脂肪酸が多くエネルギーに変換されやすい)なので高カロリーになり、濃厚で甘味がある。ミネラルが豊富で、特に鉄やマグネシウムは豆乳に匹敵

 

これら3種の植物ミルクは数多くの市販品が出ていますが、どれを選ぶかは、1)無糖や砂糖なしか否か、2)添加物が多いか少ないか、3)オーガニックか否か、を表示から確認して自分に合った製品をチョイスすると良いでしょう。

 

植物性ミルクは植物を原料したミルク一般を指し、上記の他にも、ライスミルクヘンプミルク、ナッツ類のピスタチオミルクカシューミルクマカデミアミルクもあり、それぞれの栄養価や味・風味は主原料によって異なります。

これを機会に、気になるものから試して自分に合う植物性ミルクと出会い、飲料さらには料理へのアレンジと、食の幅を広げましょう。

((#)https://www.villalodola.jp/magazine/column-178/から引用、また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

新食材が注目、去年からブームの先輩は「オートミール」!

先日、朝の情報番組(NHKあさイチ)で、「続々登場!新食材 結局どうなの?」というテーマが放映されました。

 

その中で、今年ブレイクするといわれる「豆腐干」、去年からブームの「オートミール、話題の「植物ミルク」と紹介されました。

 

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豆腐干や植物ミルクについては追々情報提供していくつもりですが、オートミールに関しては、当該ブログで当に去年配信済み(2021.6.18)ですので、取り敢えずリブログしたく、検索タグから「オートミール」と入力してアクセスして下さい。

 

ともかく、オートミールはご飯代わりとしては低カロリーかつ低糖質、小麦粉代わりとしてはグルテンフリーという特徴を持つ優れ食材なので、ケースバイケースでより活用すべきでしょう。

 

未経験の方は、是非、グラノーラからでもチャレンジすることをお勧めします。

 

(なお、冒頭のNHKあさイチの情報は、NHKプラスに登録する(無料)と、動画でフォローできます。)

健康寿命を延ばす食品、そのトップは「ナッツ類」!

日本の平均寿命が世界一になったのは1978年で、以来トップの座を守り続けていますし、健康寿命も男女平均で最も長いのは日本とのことです(2021年版世界保健統計)。

 

 

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実際の数値(平均寿命-健康寿命)を挙げると次のようです。

 ・男性:81.64-72.68= 8.96

 ・女性:87.74-75.38=12.36

両数値の差は寝たきりなど健康でない期間を意味しています。すなわち男性は9年で、女性は12年強になり、いずれにしても10年前後の長きに渡ります。

 

この期間をできるだけ短くしたいと、誰しもが思うはずです。

本報では改めて、最新の研究に基づく健康寿命を延ばす食品(食事)の情報提供をします。

 

ネイチャーフード誌に発表されたミシガン大学の論文に、食材・加工品・料理など約5800品目を対象に、健康寿命がプラスになるかマイナスになるのかを、1食あたりの分単位で算出した結果が出ています(*)。

 

A.健康寿命を延ばす食品(食事)

  • ピーナツ(ロースト,塩味30g)→+26分
  • ピスタチオ(塩味30g)→+25分
  • ピーナツバター(甘くない32g)→+24分
  • サーモン(焼き85g)→+16分
  • 納豆ご飯(239g)→+14分
  • バナナ(140g)→+13分
  • りんご(140g)→+13分

ベスト3はいずれもナッツ類になっています。

 

そこで、以前に当該ブログで配信した「ナッツ類」(2020.6.6) および「ピスタチオ」(2020.6.12)を読んで確認してください。

 

ちなみに、B.健康寿命を縮める食品(食事)も挙げます。

 ・ホットドッグ(140g)→-36分・ハム(55g)→-29分・ソーセージ(豚肉55g)→-22分・コーラ(360g)→-12分・ピザ(肉と野菜入り140g)→-8分・ハンバーグ(牛肉85g)→-8分

 

俗に「ピンピンコロリ(PPK)」と謂って、亡くなる直前まで元気に過ごして天寿を全うすることが理想ですが、残念ながら「ネンネンコロリ」が多いのが日本の現実です。

 

もちろん、食事の改善だけでPPKが実現できるわけではありませんが、重要な一因であることは疑いないはずです。ナッツ類をこまめに摂ることやハム・ソーセージ類を控えることが、少なくともPPKの一助になるのではないでしょうか。

((*)YAHOOニュース:米国大学の研究で明らかに「健康寿命を延ばす朝食」(女性自身,2022.3.16)を参照し一部引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

タンパク源に豆腐、それも高タンパクの「豆腐バー」が注目!

三大栄養素の一つタンパク質の重要性に関しては、当該ブログでも数多く配信しています(2020.5.1~)。

 

主な植物性のタンパク源としては大豆があり、その加工品の一つが「豆腐」(2021.6.25配信)ですが、本報では、高タンパクの豆腐に絞って情報提供します。

 

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まず、豆腐といえば木綿豆腐と絹ごし豆腐がメインですが、手頃な関連製品を含めたタンパク含有量(100g当たり)は次の様です。

 ・木綿豆腐:7.0g*・絹ごし豆腐:5.3g*・充てん豆腐:5.0g*

 ・焼き豆腐:7.8g*・凍り(高野)豆腐(水煮):10.7g*

 

なおあまり一般的ではないですが、伝統的な「堅豆腐」と呼ばれる水分が少ない高タンパクな豆腐類があります。それらのタンパク含有量(上記と同様)も次に示します。

 ・沖縄豆腐(島豆腐):9.1g*

 ・豆腐よう(島豆腐の発酵品):9.5g*

 ・堅豆腐(さとの雪製):8.2g

 ・ろくじょう(六条、六浄)豆腐:34.7g*

堅豆腐といっても10gには達しない程度ですが、ステーキや煮物などの簡単レシピが公開されていますので、参照ください。

最後の六条豆腐は天日干しして乾燥させた保存食でかつお節並みの硬さなので、約35gと飛び抜けて高いタンパク量になっています。実際に精進節として精進料理に使われているそうですが、削ったそのままを食べたり、湯で戻して煮物や和え物に利用したりできます。

 

本報で紹介したかった本命は、「豆腐バー」です。

正式名称は「TOFU BAR」で、2020年11月の発売から既に1000万本を超えています。

ご存じだったでしょうか?

 

豆腐メーカーの「アサヒコ」が開発し、コンビニのセブンイレブンで販売されています。現在の主力は3商品(下図)ですが、商品のリニューアルや新品の投入も進んでいるとか。

 

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図の上部に示すように、1本(68g)で10gのタンパク質が摂れるのが売りです。右端の商品の栄養成分表示を見ると、10.9g(100gに換算すると16.0g)でした。また、高タンパクなのに低糖質で低カロリーであることが判ります。

 

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なお、原材料名の丸大豆(アメリカ産)に、「分別生産流通管理済み」とありますが、新表示制度によるもので、従来の「遺伝子組み換えでない」と同等です。

 

このTOFU BARは、セブンイレブンのヒット商品「サラダチキンバー」をヒントに開発され、メイン購入者は30~50代で男性が4割を占めているそうです。

当に横文字にした意図が、新たな消費行動に結びついたと言えるのかもしれません。

 

豆腐バーは、そのままで美味しく食べられるので、ダイエットやトレーニングだけでなく、小腹が空いたときにも手軽に摂れる優れものです。もちろん、アレンジして料理にも使えるので、是非、日々の生活に新たなタンパク源として活用してはいかがでしょうか。

((*)日本食品成分表2021(八訂)より引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

カカオ豆の健康飲み物としての「ココア」と「チョコドリンク」

チョコレートとココアに関しては当該ブログで約1年前に配信しました(2021.2.19 & 26)が、本報では、更新リブログしながら、カカオ豆の飲み物としての視点で紹介します。

 

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ココアは飲むもので、チョコレートは食べるものとの認識が一般的ですが、そもそもはカカオ豆をすり潰して水に溶かしたカワトル(カカオの水)として飲用が始まったという歴史があります。栄養豊富で高価な飲み物として特権階級や断食中の修行僧に愛飲されていたそうです。

 

ココアもチョコレートも、カカオ豆を発酵して乾燥・焙煎後磨砕してペースト状にしたカカオマスを原料にしているところは同じですが、加工の段階で違いが出てきます。

 ・ココア:カカオマスからその脂肪分であるカカオバターを除いたもの

     → これを粉砕し粉状にしたものがココアパウダーで純ココアのこと

 ・チョコレート:カカオマスにさらにカカオバターを加えたもの

     → カカオバターに凝固作用があるため固まる

つまりカカオマスを原料に、そこからカカオバターを除くか(ココア)、さらに加えるか(チョコレート)の違いです。

 

従って、飲み物としてのココアとチョコドリンク(ホットチョコレート)の違いは、端的に言えばカカオ(ココア)バターの含有量になります(下図)が、両者に厳密な区別はないといって良いでしょう。

 

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味わいは、ココアバターが少なければスッキリとした飲み心地ですが、多くなるに従い濃厚でコクを楽しめます。エネルギー(カロリー)をはじめ栄養・健康成分は、やはり後者の方が高いです。

 

原料であるカカオ豆の健康効果については、当該ブログのチョコレート(上述)で確認してください。

カカオポリフェノールテオブロミンなどの特有成分が有効です。

 

最後になりますが、家庭で楽しむなら「ココア」ではないでしょうか。

そのパウダーは手頃ですが、チョコレートパウダーは希少でかつ高価ですし、固形のチョコを粉砕するのも手間が掛かります。ココアパウダーには純ココアと調整ココア(ミルクココア)があり、エネルギーには大差ないですが、前者はタンパク質と脂質がリッチなのに対して、後者は大半が糖質です(下表)。

 

   食品/成分     エネルギー    タンパク質     脂質     糖質
     (単位)       (kcal)       (g)       (g)      (g)
           純ココア         386          18.5         21.6     23.5
           調整ココア     400            7.4            6.8     75.1

 

結論として、純ココアを牛乳に溶かして飲むことを勧めます。

上図でのココア(調整ココア)とチョコドリンクの丁度中間くらいの位置づけになり、味わいや健康効果もそこそこです。

一服時の飲み物として、カカオ豆の健康効果が活きているココアを加えてみてはいかがでしょうか。ホットだけでなくアイスもイケますよ!

((*)株式会社 明治:Hellow,Chocolate「ココアとはカカオの別称?ホットチョコレートとの違い」(2022.2.4)より引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)