Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

#ブログバトン

伝統食材「梅」の健康効果

日本古来からの伝統食材である「梅」は、元々薬として使用されており、主に加工して保存食として食されてきていました。特に夏場の食欲が低下しているときには、酸っぱいものが効果的と言われていますので、改めて梅の健康効果を紹介します。 夏前の雨の多い…

コレステロールの新常識(その2:検査データの読み方と改善法)

前報でコレステロールは体にとって必要な成分であり、その70~80%は体内で合成されていること、その種類にはLDL(悪玉)・HDL(善玉)・レムナントの3種があることを紹介しました。本報では検査データの読み方から、その悪影響の改善法に言及します。 まず血液検…

コレステロールの新常識(その1:役割とその種類)

前報の「健康に良い油と悪い油(その3)」の中で、2015年版食事摂取基準からコレステロールの摂取制限が撤廃された、と言う情報を提供しましたが、本報ではもう少し詳しく「新常識」として紹介します。 これまでは「脂肪、特にコレステロールは何となく避ける…

健康に良い油と悪い油(その3:上手な摂り方)

前報までで、生理作用の違いによって健康に良い油と悪い油があり、その違いは油を構成している脂肪酸の種類が関係している(前者は主にω3・ω9不飽和で、後者は飽和・トランス)ことが判りましたので、この最終報では具体的な油の摂り方を食事摂取基準(2015年版)…

健康に良い油と悪い油(その2:生理作用の違い)

前報では一口に油というけれど、液体の油と固体の脂があること、その違いは油脂を構成する脂肪酸の種類(飽和が多いのか、不飽和が多いのか)によること、さらに二重結合を持つ不飽和脂肪酸にはその数により一価と多価、その位置によってω3,6,9に分かれるこ…

健康に良い油と悪い油(その1:種類と構成脂肪酸)

油(脂質)は糖質、タンパク質とともに三大栄養素の一つですが、健康にとっては良くないイメージがあるかもしれません。油はエネルギー源である他に、細胞膜やホルモン・胆汁の材料になり、皮下脂肪は保温にも役立っていますので、体には重要な成分なのです。し…

ビタミンB群の生理作用とビタミン剤

ビタミンという栄養素名を知らない人はいないはずです。しかしその中身は、AとかBとかアルファベット順かと思えば跳んでKがあったりと、複雑多岐です。その全体像は他に譲るとして、本報では唯一「群」の付く「ビタミンB群」について紹介します。 水溶性…

今、見直されている味噌汁の健康効果は?(その3:味噌汁作り)

味噌の種類は、本報(その1)でも記したように麹により米・麦・豆3種類ありますが、市販の主流は米味噌です(ちなみに愛知で有名な八丁味噌は豆味噌)。味噌の色の違いは発酵・熟成過程で起こるメイラード反応(褐変)によるもので、その期間が長くなるにつれて赤…

今、見直されている味噌汁の健康効果は?(その2:近年の研究成果)

味噌汁が塩分過多に繋がるというデメリットは、減塩の工夫(前報)で軽減できますし、味噌中の塩分は同じ食塩量でも減塩効果があるという論文(共立女子大・上原誉士夫,2012;広島大名誉教授・渡邉敦光,2017)、が発表されたこともあり、気にかけなくても良いよう…

今、見直されている味噌汁の健康効果は?(その1:塩分と減塩法)

日本の伝統食品である「味噌」は、主原料の蒸した大豆に麹菌(その素が米か豆か麦かの違いで3種あり)と塩を加えて発酵・熟成させた発酵食品です。この味噌から作られる和食には欠かせない味噌汁が、今その健康効果が見直され、ブームが到来していると言われ…

食物酵素(酵素サプリや酵素ドリンク)は効く?(その2:実効には限りあり)

前報で、酵素は食品であれサプリであれ、熱や酸に曝されたり(変性)、消化を受けて分解されてしまえば、その働きを失ってしまうことを紹介しました。 本報では、酵素が「変性と分解」という2つのハードルをクリアして、実効あるようにすることは可能か否かを…

食物酵素(酵素サプリや酵素ドリンク)は効く?(その1:酵素の基礎知識)

近年、「酵素」と名の付くサプリメントやドリンクの宣伝が目に付きます。個人の感想と断りながらも「効果あり」との印象を植え付けられますが、本当はどうなのでしょうか? そこで本報では、酵素の基礎知識から食物に含まれる酵素の実際までの情報を提供しま…

機能が注目の抗酸化食品(その2:摂取の効果と将来展望)

前報で紹介したように、抗酸化力の強い食品はその測定法や調査によりまちまちですので、現状では一つ二つに絞るのではなく、満遍なく摂取するのが良いでしょう。また例えば、リンゴは赤い皮(アントシアニン系の色素)の部分に実の数倍の抗酸化力があります…

機能が注目の抗酸化食品(その1:定義と具体的な食品例)

機能性表示食品というカテゴリーがあることをご存知ですか? 特定の保健の目的が期待できる食品に、「おなかの調子を整えます」や「脂肪の吸収をおだやかにします」等の機能性を、事業者の責任において表示できるという制度です。その中でも特に注目されてい…

バナナの健康パワー

バナナは年中お手頃価格で出回っており、老若男女を問わず重宝されています。特に運動前後に摂ると強い味方になるとも言われています。本報では、そんなバナナの知ってそうで知らない情報を提供します。 まずバナナ一本(可食部100g、皮付きで18cm前後)の栄…

おなかの健康(腸活)にはヨーグルト+αを!

前報で、「発酵食品」を話題提供しました続報として、その一種であるヨーグルトを取り上げます。 ヨーグルトがおなかに良いことはなんとなくご存知かもしれませんが、多種多様な製品が市販されており、中に含まれている乳酸菌も多彩です。その菌種がヒトによ…

伝統的健康食の発酵食品(その2:発酵形式とその健康パワー)

前報で紹介した発酵を促す主役の微生物ですが、その繁殖の特質として、ある環境下に複数の微生物が生息していても、特定の微生物のみが繁殖を独占して他の菌の増殖を許さない、という拮抗作用が働きます。従って発酵を行う菌が優位に立てば、腐敗菌の増殖や…

伝統的健康食の発酵食品(その1:種類とその微生物)

「発酵」と言う言葉は耳にしたことがあると思いますが、「腐敗」との違いをご存じでしょうか。どちらも食品に微生物が働いて化学反応が起こっているのですが、人にとって発酵は有益な物への変化、腐敗はそうでないむしろ有害な物への変化を言います。 我が国…

健康に良い塩分摂取とは?(その3:適塩に向けて)

先ずは前報での減塩のコツをもう少し実例で具体的に示します。 国の研究機関が昨年発表した塩分摂取ランキングでは、カップ麺が1位で5.5g/日でした。ある当該製品の表示では、麺・かやく2.1g+スープ4.0g=6.1gとなっています。つまりスープを飲み干すか…

健康に良い塩分摂取とは?(その2:その上手な対策)

先ずは塩分摂取に関心を持ち、大まかで良いので自分の1日摂取量を知ることです。 そのためには、第一に好みの塩分濃度や塩加減を押さえないといけません。丁度良い加減の濃度は0.8%前後ですので、濃いめは1.2~1.0%で薄めは0.6%と見なしてよいでしょう。…

健康に良い塩分摂取とは?(その1:現状と問題点)

食生活上の問題点として常に取り上げられる話題に、「塩分の過剰摂取」があります。 伝統的に日本食には塩分が多いことと、近年、加工食品の摂取が増えてその味付けや保存に多くの塩分が使われていることが主な原因です。 最新の国民健康・栄養調査(平成29年)…

大豆の健康パワー(その2:消費の現状と加工製品)

前報で大豆が優れた食材であることを紹介しましたが、その摂取量は国民健康・栄養調査(平成28年)によると、健康日本21が目標としている「豆類として1日100g以上」の6割にも届いていません。特に30歳未満の若年世代のそれは5割以下の現状です。全ての世代にお…

大豆の健康パワー(その1:含有成分とその働き)

大豆は伝統的な日本食における食材の一つとして昔から食され、時代とともにその加工技術も発達していきました。豆腐・湯葉・きな粉・おからの他にも味噌・醬油・納豆などの発酵食品として、日本人の食卓にはなくてはならず、それが長寿に繋がっていると考えられま…

ローフードって何?、健康に良い?

ロー(raw)は「生の」、フード(food)は「食べ物」ですが、生の食材を加熱しない(50℃未満まで)で利用する食スタイルを意味しています。 主な食材としては、植物性の野菜・果物類の他にスプラウト類・海藻類・ナッツや種子類であり、動物性の肉類・魚介類は含めない…

果物は健康に良い、悪い?(その2:その上手な摂り方)

近年、生鮮果物の摂取量が減り続けているようですが、実は動脈硬化や高血圧の予防に役立つなどの様々な健康効果が判ってきています。 そもそも果物には甘味の糖分の他に、ビタミンやミネラル、食物繊維、さらに抗酸化作用等を示すファイトケミカルが含まれて…

果物は健康に良い、悪い?(その1:含有糖類とその動態)

ファイトケミカルの情報で野菜や果物の摂取を奨励しましたが、「果物」に関しては、太る、血糖値を上げる等の噂から敬遠している人が多いかもしれません。そこで、果物の科学的根拠に基づく正しい情報を紹介します。 果物は「甘くて、おいしい」というのが概…

今、注目のファイトケミカル(その2:その上手な摂り方)

デザイナーフーズ計画(アメリカ,1990年~)では、当にファイトケミカルの持つ機能性として、「がん予防」に焦点を絞った計画であったわけで、その成果がピラミッドの提示に結びつきました。 我が国における野菜や果物の1日推奨摂取量は、前者が350gで後者…

今、注目のファイトケミカル(その1:定義とその種類・成分)

「ファイトケミカル」という横文字語を聞いたことがありますか? 「ファイト(あるいはフィト)」とはギリシャ語で植物のことで、「ケミカル」は化学物質です。動物と違って動けない植物が、紫外線の害や虫などの天敵から身を守るために作り出した物質なのです…

体調を司る体内時計(その2:食事が及ぼす影響)

前報で、体内時計(それを調節しているホルモン)が光の影響を受けることを明らかにしましたが、「食事」も重要な影響を及ぼしていることを紹介します。 まず、朝日が体内時計(24.5時間周期)と生活時計のズレをリセットするのですが、もう一つ「朝食」がそ…

体調を司る体内時計(その1:定義とその役割)

昨年のノーベル医学生理学賞は本庶 佑京大特別教授で話題になりましたが、一昨年の同賞を受賞した「体内時計」のことを、知っていましたか? 体内時計とは、私たちの体の中にある「一日のリズム」、すなわち朝になると血圧や心拍数が上がり始めて活動状態に…