健康的な糖質摂取は?(その2:糖質摂取の目標量)
前報で、1日の糖質摂取量が多い場合の300g(PFCエネルギー比60%)から極端に少ない場合の60g以下まで様々なケースを紹介しましたが、本報では健康を念頭に置いた糖質の摂取量に言及します。
まず糖質摂取量の目標値を決める根拠を紹介します。
現在の日本人は1日当たり平均して270g程を摂取していますが、炭水化物(糖質)の摂取量が60.8%以上の群では死亡率が上昇するという大規模疫学調査結果もあり、もう少し控えても良いのかもしれません。
清野裕医師(関西電力病院総長、糖尿病の世界的権威)は170g必要で、120~130gが脳で消費され、30gは酸素の運び役である赤血球のエネルギー源になるとのことです。
またロカボでは、提唱者の山田悟医師の言を借りればリチャード・K・バーンスタイン医師(米国、糖質制限食の草分け的存在)が130gを採用しているのに基づくそうです。
糖質を制限し過ぎると、タンパク質を構成しているアミノ酸を糖に作り変える糖新生というシステムが働き始めますので、そのタンパク源である筋肉の量が減っていくことになります。また低糖質状態が続くとケトン体が合成されるようになり、脳がエネルギー源として利用しますが、ケトン体過剰(ケトン体ダイエットでのケトーシス状態)になると体が酸性に傾きケトアシドーシスの発症に繋がる危険もあるのです。
以上を総合的に判断すると、200g前後(±50g)が目標値という結論(各人の諸事情を考慮して緩くしました)に辿り着くことになるように思います。毎食ご飯一膳(食パンは2枚)を基本にして多少の増減を意識しても、副食(タンパク質・脂質・食物繊維)は控えないで食べるのが良いのではないでしょうか。
(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)
次報の最終稿では、糖質摂取上の健康ポイントである血糖値の話題を提供します。