老化の元凶「糖化」とは?(その1:定義とその影響)
糖質のテーマに関連した続編として、最近話題の「糖化」について紹介します。
まず糖化の説明です。糖化といえば、以前の化学では、デンプンなど高分子の糖類を低分子の麦芽糖やブドウ糖に分解することでしたが、近年では専ら、糖がタンパク質と結びつき加熱によって褐色に変化することを指します。そしてこうして出来た物質を終末糖化産物あるいは糖化最終生成物(Advanced Glycation Endproducts:略してAGEs)と称しています。解りやすく言えば、体が「焦げた」状態になることです(これに対して、体が酸化することは「錆びる」です)。
元々食品ではメイラード反応として知られており、色付けや風味付けに有効利用されていました(例えば、発酵食品の味噌・醬油やパンのトースト等)。しかし体の中でこの反応が起きてAGEsが蓄積されると、老化を進めるという悪影響を及ぼすことが判ってきました。
我々の体の約20%をタンパク質が占めています。
その代表例は約1/3を占めているコラーゲンで、皮膚や軟骨、血管など全身に存在していますし、それを支えるエラスチンもタンパク質です。筋肉の収縮に関与しているタンパク質はアクチンとミオシンです。
これら全身に存在するタンパク質が糖化を起こしてAGEsを生成すれば、シワやシミ、筋力低下に繋がります。血管に溜まれば動脈硬化さらには心筋梗塞や脳梗塞への進行、骨なら骨粗鬆症、目なら白内障等を引き起こすのです。アルツハイマー病の患者の脳には、健常者の数倍のAGEsが蓄積されていたという報告もあります。このようなAGEsの生成や蓄積による影響を、総合的に「糖化ストレス」と呼んでいます。いずれにしても老化に繋がる現象ですので、できるだけ抑えないといけません。
糖化は加齢(age)や喫煙・飲酒などの生活習慣によっても進行しますが、その最たる要因は食後高血糖(前報の<健康的な糖質摂取は?(その3)>で紹介済み)です。
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