Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

「ココア」は、チョコレートと何がどう違う?

前報でチョコレートを紹介しましたが、チョコレートとココアの違いに疑問を持たれた方も多いはずですので、明らかにしたいと思います。  

 

           f:id:dr-tomu:20210226153505p:plain

 

チョコレートは食べるものでココアは飲むものである、との認識が一般的でしょうが、ホットチョコという飲み物もありますので、ココアとの違いが気になるところです。

 

そもそもチョコレートもココアも、カカオ豆を発酵して乾燥させ、焙煎後磨砕してペースト状にしたカカオマスを原料にしているところは同じですが、加工の段階で違いが出てきます。
  ・ココアカカオマスからその脂肪分であるカカオ(ココア)バターを除いたもの  → これを粉砕し粉状にしたものがココアパウダーで純ココアのこと
  ・チョコレートカカオマスにさらにカカオバターを加えたもの → カカオバターに凝固作用があるため固まる
つまりカカオマスを原料に、そこからカカオバターを除くか(ココア)、さらに加えるか(チョコレート)の違いです。

 

では、栄養・健康成分(100g当たり)の違いを見てみます。

 

  食品  エネルギー  タンパク質  脂質 糖質 ポリフェノール テオブロミン
 (kcal)    (g)   (g)  (g)   (g)   (g)
純ココア   271   18.5 21.6  18    4.1    1.7
ミルクココア   412     7.4   6.8  74    0.9    0.3
ミルクチョコ   558     6.9 34.1  30    0.7    0.2

 

純ココアは、低エネルギーで高タンパク質な上に、ポリフェノールテオブロミンの健康成分(それぞれの効能は前報を参照)も豊富です。しかし純ココアは、そのまま湯を注いで飲んでも苦いだけなので、砂糖やミルクを自分好みで加えることになります(ホットココア)が、甘さは控えめにするのがベターでしょう。

 

表中のミルクココアは、市販のインスタントココアで手軽に飲めますが、糖質が多くて甘く高カロリー(2杯でご飯軽く一杯分)なので、あまり勧められません。

前報のチョコレートでも、常食するならミルクチョコよりもダークチョコを勧めましたね。

 

ホットチョコレートという飲み物もありますが、チョコレートを粉末状にしたものに温めた牛乳を混ぜて溶かし、好みで砂糖やシロップを加えたもので、ホットココアよりは濃厚な味わいになります。

 

ココアもチョコレートも、脂肪分の差はあれカカオ豆の栄養・健康成分が活かされたカカオ加工品の優れものです。

特に寒い時期にはホットな飲み物として、体だけでなく心も温まってみては如何でしょうか。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)