食用油の特徴(脂肪酸の系列別)とその使い方
当該ブログで「健康に良い油と悪い油」と題して3報に渡って情報提供しました(2019.6.20,6.27,7.4)が、その際、具体的な食用油のことまでは言及しませんでした。
そこで本報では、市販の主な食用油を脂肪酸の系列別に整理し、その特徴と使い方を紹介します。
脂質である油やその構成成分の脂肪酸(系列も)については知っていることを前提にしますので、そうでない場合には、まず既報のブログ(上記)に目を通してください。
その既報ブログ中で、本報にも繫がる最後の締めの部分をここに再掲します。
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脂肪を過度に敬遠せずに「量より質」で、良い油を積極的に摂ることを考えましょう。実際には「飽和やトランスは控えめに、ω6の代わりにω3やω9を」となりますので、それぞれを油に置き換えてください。
その際、ω9のオリーブ油は加熱に強く、ω3の油は加熱に弱いことを知って、調理の際に使い分けてください。また二重結合を多く含む油ほど酸化され易いので、長期の保存や加熱の繰り返し等での品質劣化に注意が必要です。
さらに見えない油として肉・魚・穀物・豆類からの摂取が全摂取量の7割を占めていますので、これらを含めたバランスの良い摂取を念頭に置く必要があります。
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まず最も馴染みがある食用油は「サラダ油」ではないでしょうか。
文字通りサラダに掛ける油と言う意味ですが、一般家庭では主に揚げ物や炒め物に使われているはずです。でも何が原料なのかは判りません。そのJAS基準を見ると、なたね、綿実、大豆、ゴマ、ひまわり、コーン、紅花、米などです。
現在では、それぞれの「原料名+油」と表示して市販されているケースが多いので、脂肪酸の系列別に見ていきます。
・ω9系の油:オリーブ油、なたね油(キャノーラ油) 、紅花油、米油 → 血中の悪玉コレステロールだけを下げ、生活習慣病予防にも繫がる。酸化されにくく加熱調理に向く。
・ω6系の油:綿実油、大豆油、コーン油、ゴマ油 → 血中の中性脂肪やコレステロールを下げるが、加工食品にも多く使われていて摂り過ぎに注意。サラダ油の主原料。
・ω3系の油:亜麻仁油、エゴマ油(シソ油) → 脳の活性化やアレルギー症状の改善、生活習慣病予防が期待できる。酸化されやすく加熱にも弱いので、取り扱いに注意(冷蔵庫保存)。生でドレッシングや料理の仕上げに使うのがお勧め。
・飽和脂肪酸の油:ココナッツ油 → 中鎖脂肪酸のため消化されてエネルギーに代謝されやすく、脂肪として残りにくい。認知症予防効果も期待。常温では固化状態。酸化されにくく加熱調理に向き、甘い香りが飲み物に入れても良いが、摂り過ぎには注意。
以上、食用油を脂肪酸の系列別に整理して紹介してきましたが、あくまでも主成分の脂肪酸別で、他の脂肪酸も大なり小なり含有しています。例えば、ω9のなたね油(キャノーラ油)はω6も1/3含有し、ω6のゴマ油に至ってはω9もほぼ同量含有しています。
最後に、これら多彩な食用油の使い方をまとめて見ます。
・揚げ物に使う油は、ω6の大豆油やコーン油を避けて、ω9のキャノーラ油を選ぶべきでしょう。
・炒め物など少量の油で良い場合には、ω9のオリーブ油がお勧めです。
・飽和脂肪酸のココナッツ油は、温かい飲み物やトーストに使ってください。
いずれにしても油は脂質で高カロリーですから、市販の揚げ物も含めて摂り過ぎには注意しながら、それぞれの食用油の使い分けを食生活に活かしてください。
(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)