Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

腸活に効く「水溶性食物繊維」を積極的に摂ろう!

 最近、コロナ感染の予防 → 免疫力のアップ → 腸内環境の改善(腸活) → 発酵食品や食物繊維の摂取、という流れで食物繊維が注目されていますが、当該ブログでも関連の情報をお届けしていますので、改めて整理して紹介します。

 

まずは、腸内フローラ(「ヨーグルト」で配信済み(2019.4.11))の話を再掲します。

ヒトの腸には数百種類、100兆~1000兆個の細菌が生息しており、その構成は善玉菌・悪玉菌・日和見(前2者の優勢な方に同調する菌)がほぼ2:1:7の割合であるのが理想的です。しかし食事をはじめ様々な生活要因によって日々その菌叢は変化し、下手をすれば悪玉菌が増えて健康を損ないかねません。

 

次に、腸内環境を整える実践法(「腸活」で配信済み(2020.12.4))の話も再掲します。

一口で言えば、善玉菌を増やすことに尽きます。つまり、善玉菌を含む食品(プロバイオティクス)と善玉菌のエサとなる物(プレバイオティクス)を摂ることです。

 プロバイオティクスは発酵食品です。乳酸菌やビフィズス菌・麹菌などが含まれていて、ヨーグルト(特にプラズマ乳酸菌入りが注目)やキムチ・糠漬け等の漬物、納豆、チーズなどがあります。

プレバイオティクスはオリゴ糖と水溶性の食物繊維です。前者は大豆や玉ねぎ、ゴボウ、バナナなどが、後者は納豆、ゴボウ・人参・ブロッコリー・ホウレン草等の野菜類、キウイ・リンゴ等の果物類、芋類、海藻・キノコ類などがあります。

これらプロとプレの両方を合わせて摂ること(シンバイオティクス)で、より効果的な腸活が期待できます。

 

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食物繊維の中でも水溶性が注目されるのは、オリゴ糖と共に腸内善玉菌の餌になって、それらが作り出す短鎖脂肪酸」が健康に欠かせない様々な働きをしていることが判ってきたからです。

例えば、腸管から水分やミネラルの吸収力を高める、摂取カロリーを脂肪細胞に取り込まず血糖値の上昇も穏やかにする、病原菌から体を守る免疫力を高める、などです。

 

水溶性食物繊維が多い食材(1食当たりのg数)には、押麦(1.2:大さじ2杯)、納豆(0.9)・インゲン豆等の豆類やゴボウ(1.2)・カボチャ(0.9)・オクラ(0.6)等の野菜類やジャガイモ(0.5)・サツマイモ(0.6)等のイモ類、海藻類、果物などがあります。また、主食になる食材で白米(0)を大麦・玄米入りのご飯に変える、食パン(0.3)は全粒粉パン・ライ麦パンに変える、とその摂取量を増やすことができます。

 

日本人の食事摂取基準(2020年版)によれば、食物繊維の1日摂取量は成人男性で21g以上、同女性で18g以上が目標値です。

 

一つの食材に含まれる食物繊維の含有量は、水溶性1に対して不溶性は概ね数倍です(押麦は1:0.75で例外)ので、水溶性のみで10g近く摂取できれば目標値をクリアできるはずです。

 

食の欧米化か進んで食物繊維の摂取不足が続く今日、腸活に効く水溶性食物繊維の重要性を見直すことで、免疫力アップに繫げ、かつ食物繊維全体の摂取量を押し上げましょう。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)