Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

新型コロナウィルスのmRNAワクチン(ファイザー & モデルナ)とは?

コロナ禍でワクチン接種の情報が毎日のように流れていますが、その新型コロナウィルスワクチンの中で、ファイザーとモデルナの製品はメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンと言われています。

mRNAと言う単語は、高校の生物を履修すれば遺伝の項で出てきますが、多くの方は?でしょう。

 

そこで本報では、食と少し離れますが、mRNAやそのワクチン・薬について紹介します。

 

まずmRNAについてですが、メッセンジャーリボ核酸と言って遺伝に関わる物質です。遺伝情報は「DNA→(転写)→mRNA→(翻訳)→タンパク質」の順に伝達されるので、mRNAはタンパク質を作る情報を有していることになります。

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            (生物系大学生の生存戦略のHPより引用)

 

さてワクチンとは、

 a)古いタイプ:病原体(抗原)そのものを弱毒あるいは無毒化した物

 b)新しいタイプ:病原体を構成する物質を元に作った物

のいずれかのことです。

 

前置きが長くなりましたが、新型コロナウィルスのmRNAワクチンとは上記のbに相当するワクチンで、ウィルスの表面にあるスパイクタンパク質を作る情報を持つmRNAを人工的に合成した物です。

このワクチン接種で、体内にスパイクタンパク質の中和抗体ができるので、ウィルス(抗原)に接しても免疫反応(抗原抗体反応)で細胞内への侵入(感染)を防ぎ、発症には至りません(下図参照)。

 

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            (東京ミッドタウンクリニックのHPより引用)

 

但し、ワクチン接種して免疫が出来ても発症予防効果が100%ではありません。最も高い予防効果が得られるのは2回目接種後7日程度経って以降ですが、有効率(アルファ株が主流?)は約94,5%と報告されています(厚労省のHP)。

 

では主流の変異株がデルタ株である7月の時点での感染予防有効性はと言うと、モデルナ製は年初の86%から76%に、ファイザー製は76%から42%にそれぞれ低下したが、重症化予防の側面では両者とも高い有効性を維持していたとのことです(アメリカの研究:日本経済新聞8月12日夕刊)。

 

WHOが名付けたコロナウィルスの変異株は、懸念すべき4種(アルファからデルタまで)に加えて、注目すべき変異株まで入れると11種(ラムダ株まで)存在する状況にあり、ワクチンの効果持続期間についても3回目接種の是非が問われていますので、今後の情報に関心を持って接してください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)