Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

間食好きで運動不足の人、脂質異常症に注意!

コロナ禍で運動不足を自覚している人は多いはずですし、元々運動嫌いの人もいますが、そんな方が間食、特にスウィーツに目がないと、先ずは肥満を気にします。肥満は見た目や体重のチェックで容易に判りますから、対処もしやすいはずです。

一方、脂質異常症はサイレントキラー(静かなる殺し屋)のひとつですので、自覚症状がほとんどなくやっかいなのです。

 

         f:id:dr-tomu:20211210142450p:plain

 

本報では、脂質異常症の定義や判定基準を確認し、その予防・改善のための食事法を紹介します。

 

脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態のことを言います。2007年に高脂血症」から改称されました。

脂質の異常には、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)HDLコレステロール(善玉コレステロール)トリグリセライド(中性脂肪)、それぞれの血中濃度の異常があります。

 

コレステロールに関しては、当該ブログで「コレステロールの新常識」と題して、既に2報を配信しています(2018.9.7 & 9.14)ので、それらに続く第3報と捉えると理解が深まるはずです。

 

次に、脂質異常症の判定基準値を示します。

  f:id:dr-tomu:20211210142556p:plain

 

基準値を見ると、LDLコレステロール中性脂肪は基準値以上に高い場合が異常となるのに対して、HDLコレステロールは低い場合が異常になります。これが「高脂血症」という言葉が使われなくなった理由です。

 

血液検査を受けると、その報告書にそれぞれの分析値が示され、基準値内か高値か低値かが判る印(*)が付いています。

脂質異常症や境界域と判定されて放っておくと、動脈硬化から狭心症心筋梗塞脳卒中に繋がり、危険です。

 

早速、食事療法など生活習慣の改善に取り組むべきです。

 1) LDLコレステロールが高い場合:特に食事に注意

 → ・コレステロールを多く含む食品を避ける(卵類(鶏卵や魚卵)、内臓類(レバーやモツ)、鰻・イカ・エビなど)

  ・コレステロールを増やす食品を控える(飽和脂肪酸を多く含む動物脂やバター・クリームなど)

  ・コレステロールを減らす食品を積極的に摂る(多価不飽和脂肪酸や食物繊維を多く含む魚類や大豆製品、野菜・海藻など)

   2) HDLコレステロールが低い場合:食事よりもむしろ生活習慣の改善 

 → 禁煙や有酸素運動などで体を動かす

   3) 中性脂肪が高い場合:カロリーの過剰摂取に注意

 → 糖分の多い間食や清涼飲料、油物やアルコールの飲食を控え、運動を励行

 

血液検査を受けてなくても、運動不足を自覚し間食好きの人は多いはずです。そんな方はまず体を動かすことに留意し、日頃の食生活を上記の観点(特に3))から見直してみてください。

(本情報の一部は、厚労省:脂質異常(コレステロールなど)の記事を参考にしました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)