タンパク源だけでない「卵」の優れた栄養とコレステロールは?
我々の体でタンパク質は、水分を除くと約16%で最も多く、筋肉に至っては80%を占める重要な成分です。
1日に推奨されているタンパク摂取量は、成人男性で60~65g、同女性で50gです(日本人の食事摂取基準2020年版)。
卵(鶏卵)にすると8~10個分との表現もされていて、「卵=タンパク質」のイメージが強いですが、卵はビタミンCと食物繊維以外ほぼ全ての栄養素を含んでいる完全栄養食品なのです。
本報では、安価で手軽に利用可能な卵の情報を、改めて紹介します。
まずは卵(生、M1個(可食部50g)当たり)の含有栄養素を一覧に示します。
主要素:エネルギー 71kcal・タンパク質 6.1g・脂質 5.1g・糖質 0.15g
ビタミン:A 110μg・B2 0.19mg・B6 0.05mg・B12 0.6μg・D 1.9μg・E 0.7mg・葉酸 25μg
ミネラル:Ca 23mg・P 85mg・Fe 0.8mg・Zn 0.6mg
タンパク質以下の太字で示した栄養素は、1日に摂取すべき必要量のほぼ10%以上を占めていて、バランスの良い優れた栄養食品であることが伺われます。しかもタンパク質の質の指標となるアミノ酸スコアは100と良質で申し分ありませんし、他の栄養成分もどんな調理法でもほとんど壊れることがなく安定です。
ただ気になるのは卵のコレステロール値です。一個当たりに約200mg含まれています。
以前の食事摂取基準では摂取上限がありましたが、2015年版のそれでは撤廃されました。ただ、際限なく摂取してもいいわけではなく、一概に上限は決めにくいだけなので、脂質異常症や血中コレステロール値の高い方は過剰摂取に注意が必要です。
では、卵は1日何個食べれば良いのでしょうか?
健常者は1日1個を必須にし、場合によっては1,2個追加してもかまいません。生や茹でだけでなく様々な調理法があるので、毎食でも食べたいところですが、さすがに毎日続くのは避けてください。
具体的には、まず朝食に1個摂るのが基本でしょうし、ご飯にもパンにも合うレシピも多く公開されています。後は昼食、おやつ、夕食にケースバイケースで摂っても良いでしょう。
コロナ禍で外出を控えがちな現況で、筋肉の衰えからのフレイルが懸念され、栄養不足も実感しにくい今こそ、タンパク源としてだけでなく完全栄養食品としての卵を、見直し活用すべきではないでしょうか。
(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)