緑茶、紅茶、ウーロン茶は、同じ茶葉なのに何が違う?
俗に「お茶」と呼ばれる飲み物は、同じツバキ科の茶の木(カメリア・シネンシス)の生葉を原料に加工して作られています。緑茶、紅茶、ウーロン茶にプアール茶もそうです(もちろん、麦茶など例外はありますが・・・)。
ではなぜ色や香り、味などが違うのかというと、加工法、つまり発酵の方法や度合いが異なるからです。
本報では、そんな茶類の加工法の違いや効能などの特徴を紹介します。
先ずは加工法の違いですが、端的には次の図を見てください。
(tea-sanrokuen.comより引用)
・緑茶(不発酵茶):最初に蒸す工程で生葉の酸化酵素が失活して発酵せず、ほぼ生葉の状態を維持。
・ウーロン茶(半発酵茶):生葉を放置して萎れさせ酸化酵素を働かせて、茶色に変化し始めたら高熱で炒って発酵を止める。発酵度が10~80%まであってバリエーションが豊富。
・紅茶(発酵茶):生葉を萎凋後揉むことで傷つけ、発酵を促進。適度な色・香りになったら高温の熱風で乾燥させて発酵を止める。
・プアール茶(後発酵茶):緑茶と同様に生葉を熱して発酵を止めた後、麹菌によって発酵を促し熟成。
次に茶類に含まれる主な成分とその効能(健康パワー)です。
・カテキン:ポリフェノールの一種でタンニンと呼ばれてきた苦渋味の成分。酸化されやすく、緑茶では変化しないがウーロン茶や紅茶では酸化重合物になり、色が無色から褐色、赤色になる。
→ 抗酸化作用、血中コレステロールや体脂肪の低下、がん予防、抗菌作用など
・カフェイン:苦味に寄与。緑茶の玉露や抹茶には多いが、煎茶、ほうじ茶、ウーロン茶、紅茶、プアール茶には大差なし(数十mg/100mL浸出液)。
→ 覚醒作用、利尿作用など
・テアニン:アミノ酸の一種で旨味成分。日光を遮って栽培した葉の玉露や抹茶に多く、低温で抽出率が大。
→ リラックス作用、睡眠促進作用、集中力向上作用、カフェインの刺激作用阻害効果など
全般的な茶類(緑茶の中でも別格な玉露と抹茶を除く)は、これらの主要成分に桁が違うほどの含有差はないので、効能も大差ないと言っていいでしょう。敢えて言うなら、朝は緑茶の煎茶、食事時にはウーロン茶、おやつや休憩時には紅茶がお勧めです。
ペットボトルが普及している茶類ですが、時には茶葉から温度と時間を考えながら淹れ、その味や香りを楽しみつつ健康パワーも頂くのはいかがでしょうか。
(なお、抹茶については当該ブログの過去の配信(2021.9.17)を参照ください。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)