Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

コロナ禍でもブームが続く「豆乳」の魅力とは?(その1:3度のブームの背景)

大豆の絞り汁である「豆乳」は、2020年に生産量が過去最高(43.1万kL)になり、10年連続で記録更新して約2倍増の結果でした(下図)。

         f:id:dr-tomu:20220218221617j:plain (*)

 

昨年は漸減しました(42.4万kL)が、コロナ禍でも堅調を維持できていてブームが継続しているという趨勢でしょう。

 

まず、豆乳の現在に至る背景を上図から歴史的に探ってみます。

1980年代前半の頃は「コレステロール・ゼロ」の健康飲料として注目されました(第1ブーム)が、特有の青臭さで定着しませんでした。

2000年代に入ると、「大豆イソフラボンレシチン」という豆乳成分が美容と健康に良いとされ、またスタバが「ソイラテ」を本格展開したことで、広く認知されました(第2ブーム)。さらに、豆乳製造技術も進化して美味しくなったと言われています。

その後2015年前後頃から第3ブームと謂われるようになり、今に至っています。

 

では、豆乳がここまで成長した訳は何でしょうか?

それを解き明かすには、豆乳に3種類のカテゴリーがあることを知る必要があります。

 ・無調整豆乳大豆固形分8%以上で、原材料は大豆と水のみ。 

 ・調整豆乳:大豆固形分6%以上で、無調整豆乳に糖分などを添加。シェアの4割を占める。 

 ・乳飲料:果汁系は大豆固形分2%以上であり、その他は大豆固形分4%以上。

 

この3種類の豆乳を3度のブームと結びつけると、この図のようになります。

         f:id:dr-tomu:20220218221747j:plain(**)

三角形の上ほど糖分やフレーバーなどの添加物をなくし、豆乳本来の味になりかつ栄養も豊富なのです。

つまり無調整豆乳の品質向上が追い風となってこの10年程で出荷量が約6倍伸びたことは、単に飲むだけでなく料理や鍋などでの食べ方が普及したことを物語っています。

もちろんシェアトップの調製豆乳も順調に伸び(ここ10年でほぼ倍増)、豆乳飲料と共に、濃さや味も多種多様で目移りするほどです。

 

豆乳は健康志向にもマッチしていて牛乳より日持ちも良いので、今後このブームが去るとは考えにくく、高止まりで定着するのではないでしょうか。

 

((*)朝日新聞DIGITAL:豆乳の国内生産倍増 青臭さ抑えて3度目のブーム到来?(2021.6.13)、(**)YAHOOニュース:「豆乳」は第3ブームが到来。一般化させるまでの取り組み(2015.10.11)より、それぞれ引用しました。なお本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

 

次報は、豆乳の具体的な魅力を牛乳と比較して配信します。