コロナ禍でもブームが続く「豆乳」の魅力とは?(その2:牛乳との比較)
そもそも大豆の絞り汁が乳ではないのに、なぜ「豆乳」になったのでしょうか。
豆乳は紀元前から中国で作られていて、豆漿(とうじゃん:漿は汁や飲み物の意味)と謂われていたようですが、色が牛乳に似ていたことや母乳・牛乳の代用品であったので、豆汁ではなく豆乳と呼ばれるようになったとのこと。
日本のミルク市場を見ると、2020年度の飲用牛乳等の生産量が約600万kLであったのに比して豆乳のそれは約40万kLと、牛乳が桁違いのダントツです。
でも動物性である牛乳に対して、豆乳やアーモンドミルクなど植物性ミルクが拡大傾向にあるのは確かですので、その代表である豆乳の魅力を牛乳と比較することで明らかにします。
まず、素に近い無調整豆乳と普通牛乳の主な栄養成分の比較(100g当たり)です。
成分/ミルク | エネルッギー | タンパク質 | 脂質 | 糖質 | Ca | 鉄 | V.A | V.B2 | 葉酸 |
(単位) | (kcal) | (g) | (g) | (g) | (mg) | (mg) | (mg) | (mg) | (μg) |
普通牛乳 | 61 | 3.3 | 3.8 | 4.7 | 110 | 0.02 | 38 | 0.15 | 5 |
無調整豆乳 | 44 | 3.6 | 2.0 | 1.0 | 15 | 1.2 | 0 | 0.02 | 28 |
・タンパク質は豆乳も牛乳もほぼ同程度だが、豆乳の方が低脂質・低糖質のためにエネルギーも低い。また豆乳には、脂質の中でもなるべく避けたい飽和脂肪酸もほとんど含れず、かつコレステロールもゼロ。
・ミネラルでは不足がちのカルシウム(Ca)と鉄に注目すると、カルシウムは牛乳の圧勝だが、鉄は豆乳の方が6倍程多い。但し、豆乳に含まれる鉄は非ヘム鉄で吸収率が悪いので、豆乳に含まれない動物性タンパク質とビタミンCとの同時摂取が必要になる。
・ビタミン類では、ほぼ甲乙付け難い中、ビタミンAやB2では牛乳に軍配が上がるが、豆乳には葉酸が牛乳の6倍近く含まれていて、コップ一杯で推奨量の1/4が摂取できる。
・他にも豆乳には、大豆に由来するイソフラボン・サポニン・レシチンが含まれており、健康効果に有効。
これらの栄養・健康成分から期待できる豆乳の健康効果は次のようです。
・腸内環境を整え、便秘予防にも効果
・美肌効果の他に、貧血や女性の更年期対策にも効果
・ダイエットには牛乳より豆乳、特に無調整豆乳が効果的
日本での豆乳販売は1978年に紀文が始めましたが、現在は紀文を引き継いだキッコーマンが製造と販売(業界のシェアは50%以上)をしていて、その象徴がロゴの変更に現れています。
無調整豆乳や調製豆乳はもちろんのこと、驚くのは豆乳飲料のラインナップの多さで、何と31種類、47アイテムに及ぶそうです。さらに飲む味の多様化だけでなく、最近ではパッケージのまま凍らせてアイスにしたり、レンジでチンしてプリンができるなどの楽しみ方もあるとか。
豆乳鍋も今の寒い時期に人気ですので、一時期問題視されたイソフラボンの過剰摂取に触れないわけにはいきません。結論から言うと、豆乳に関しては2パック(400mL)で1日の上限目標量に達しますが、超えても直ちに健康被害に結びつくことはないのです。
でも豆乳以外の大豆製品(納豆、豆腐、煮豆など)も食べるはずなので、豆乳は1パック位に止めておくのが無難かも知れません。
また、イソフラボンを有効に働かせるためには、毎食に分散して大豆製品を摂取すべきです。
最後になりますが、豆乳が牛乳の代わりになる訳ではありません。牛乳の優れた点も理解した上で、目的に応じて飲み分けるのがベストではないでしょうか。
(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)