「大根」は冬が旬も多様化、葉を含めた部位別の活用を!
冬が旬(12~2月頃)といわれている「大根」ですが、最近では春や夏の収穫される物もあり多様化しています。
そこで冬物から春物に替わるこの時期に、大根(最もメジャーな青首大根)の季節による違いや葉を含めた部位別の違いを明らかにすることで、より有効な活用に繋げたいと思います。
まず、大根の季節による特徴の違いです。
・冬物:甘味があり実が引き締まっているのに繊維が柔らかいので、味が浸みこみやすく煮崩れしにくい → 煮物向き
・春物:冬物より辛味がある → サラダや漬物、大根おろしなど生食向き
・夏物:春物よりさらに辛味があり硬さも増す → 炒め物向き
次に、部位による特徴の違いですが、判りやすく図示します。
(*)
大根といえば専ら根を食べるので葉付きで店頭に並ぶことは少ないようですが、葉には食物繊維をはじめビタミンや無機質が豊富なので、食べない手はありません(上図&下表参照)。
大根/栄養成分 食物繊維 K Ca V.A V.C 葉酸
(単位) (g) (mg) (mg) (μg) (mg) (μg)
根(皮つき、生) 1.4 230 24 0 12 34
根(皮つき、ゆで) 1.6 210 24 0 9 38
葉(生) 4.0 400 260 330 53 140
葉(ゆで) 3.6 180 220 370 21 54
根に含まれる栄養成分以外の特有成分として、消化酵素と辛味成分があります。
・消化酵素:三大栄養素に関わるデンプン、タンパク質、脂肪を分解する酵素であるアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼを含み、それぞれを消化し小腸からの吸収を補助
・辛味成分(春物、夏物に多い):イソチオシアネートの前駆体を含み、細胞を壊すとミロシナーゼという酵素の働きでイソチオシアネートになって殺菌や消化促進の作用を発揮
但しいずれの成分も効能を期待するには、酵素が関わるので生での処理(加熱すると酵素が失活)が前提になります。つまり生の根をおろしたり切り刻むことで細胞が壊れて、イソチオシアネートが生成(揮発成分なので時間と共に減少)し、またそれを他の食材と混ぜることで食べ物の消化が進むわけです。
大根の季節や部位による特徴の違いに言及しましたが、あくまでも知っておくとより有効に活用できるということで、オール・オア・ノーンではありません。
大根おろしは是非推奨したいですし、煮物や炒め物に使う祭の参考になれば幸いです。
((*)新ビジュアル食品成分表 新訂第二版(大修館書店)。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)