Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

カカオ豆の健康飲み物としての「ココア」と「チョコドリンク」

チョコレートとココアに関しては当該ブログで約1年前に配信しました(2021.2.19 & 26)が、本報では、更新リブログしながら、カカオ豆の飲み物としての視点で紹介します。

 

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ココアは飲むもので、チョコレートは食べるものとの認識が一般的ですが、そもそもはカカオ豆をすり潰して水に溶かしたカワトル(カカオの水)として飲用が始まったという歴史があります。栄養豊富で高価な飲み物として特権階級や断食中の修行僧に愛飲されていたそうです。

 

ココアもチョコレートも、カカオ豆を発酵して乾燥・焙煎後磨砕してペースト状にしたカカオマスを原料にしているところは同じですが、加工の段階で違いが出てきます。

 ・ココア:カカオマスからその脂肪分であるカカオバターを除いたもの

     → これを粉砕し粉状にしたものがココアパウダーで純ココアのこと

 ・チョコレート:カカオマスにさらにカカオバターを加えたもの

     → カカオバターに凝固作用があるため固まる

つまりカカオマスを原料に、そこからカカオバターを除くか(ココア)、さらに加えるか(チョコレート)の違いです。

 

従って、飲み物としてのココアとチョコドリンク(ホットチョコレート)の違いは、端的に言えばカカオ(ココア)バターの含有量になります(下図)が、両者に厳密な区別はないといって良いでしょう。

 

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味わいは、ココアバターが少なければスッキリとした飲み心地ですが、多くなるに従い濃厚でコクを楽しめます。エネルギー(カロリー)をはじめ栄養・健康成分は、やはり後者の方が高いです。

 

原料であるカカオ豆の健康効果については、当該ブログのチョコレート(上述)で確認してください。

カカオポリフェノールテオブロミンなどの特有成分が有効です。

 

最後になりますが、家庭で楽しむなら「ココア」ではないでしょうか。

そのパウダーは手頃ですが、チョコレートパウダーは希少でかつ高価ですし、固形のチョコを粉砕するのも手間が掛かります。ココアパウダーには純ココアと調整ココア(ミルクココア)があり、エネルギーには大差ないですが、前者はタンパク質と脂質がリッチなのに対して、後者は大半が糖質です(下表)。

 

   食品/成分     エネルギー    タンパク質     脂質     糖質
     (単位)       (kcal)       (g)       (g)      (g)
           純ココア         386          18.5         21.6     23.5
           調整ココア     400            7.4            6.8     75.1

 

結論として、純ココアを牛乳に溶かして飲むことを勧めます。

上図でのココア(調整ココア)とチョコドリンクの丁度中間くらいの位置づけになり、味わいや健康効果もそこそこです。

一服時の飲み物として、カカオ豆の健康効果が活きているココアを加えてみてはいかがでしょうか。ホットだけでなくアイスもイケますよ!

((*)株式会社 明治:Hellow,Chocolate「ココアとはカカオの別称?ホットチョコレートとの違い」(2022.2.4)より引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)