Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

抗老化効果で熱視線のNMN、サプリで摂るべき?

最新の情報誌(*)で、「NMNの抗老化効果に富裕層ら熱視線 サプリも続々登場」との記事が掲載されました。

 

得体の知れない横文字の成分ですが、それに抗老化(アンチエイジング)効果があって、かつそれがサプリで可能(?)となれば、惹かれる方も多いのではないでしょうか。

 

          

 

当該ブログでも、テレビの情報番組で採り上げられたのを切っ掛けに、半年ほど前に紹介しました(2021.10.22)。

先ずは、NMNで検索して閲覧し、内容を把握してください。

 

確認しますと、体内で必要な成分は補酵素であるNADで、それが直接摂れないので、前駆体であるNMNを摂ろう、それも食事では無理なのでサプリから、となるわけです。

 

そのNMNサプリは現在、1日数千円と超高価なものから、手頃でも1ヶ月で1万円するほど高価で、かつ「その効果やリスクがヒトで検証されていないので、タダでも飲まないし勧めない」とする医師もいます。

 

従って当該ブログでは、安易にサプリを推奨するのではなく、NAD・NMNの原料であるナイアシン(ビタミンB3)を食事から摂ろう、という視点で話を進めます。

 

前報での結論として、ナイアシン摂取(1日の概算)の現状は、男女とも平均30mg前後で推奨量10~15mg(耐容上限量 数百mg)を充たしているので、新たに対応しなくて良い、でした。

 

ただ、耐容上限量までにはまだ10倍量ほどありますし、加齢とともに体内でナイアシンからNMNを生成する力が衰えてNADの減少に繋がるとも謂われていますので、ナイアシンを食事からもっと摂ることで、抗老化効果がより期待できるのではないでしょうか。

 

そこで具体的に、食品に含まれるナイアシン含有量(1食当たり)を挙げます(**)。

 

植物性食品/成分 1食(g) ナイアシン(mg)
玄米めし  150     4.4
落花生((いり)    15     3.5
発芽玄米めし  150     3.0
スイートコーン(電子レンジ)  100     2.4
ひらたけ(ゆで)   30     2.1
ぶなしめじ(油炒め)   30     2.0
エリンギ(油炒め)   30     2.0
そば(ゆで)  200     1.0
アボカド   50     0.9
アーモンド(フライ味付け)   15     0.7

 

動物性食品/成分 1食(g) ナイアシン(mg)
たらこ(生)    40   20.0
鶏むね(皮つき,焼き)  100   17.0
かつお(生)    80   15.2
びんながまぐろ(生)    70   14.7
豚ヒレ(焼き)  100   13.0
くろまぐろ(赤身)     70     9.8
さんま(焼き)  100     9.8
さわら(焼き)    80     9.6
まさば(焼き)    70     9.1
ぶり(焼き)    80     8.0

 

動物性食品の魚類、鶏、豚などで、主菜として1食で10mg以上の摂取が可能です。

 

植物性食品も含めたこれらの食品を念頭に置いて、ナイアシン摂取量が1日100mgを超える日があっても良いはずです。

 

そしてそのことが、NMN延いてはNADの増加に繋がって、補酵素としての役割(エネルギー産生など)を充足し、さらにはサーチュイン遺伝子を活性化することによる抗老化効果に繋がるのではないでしょうか。

((*)日経トレンディ:[NMN]ってなんだ?(2022.5月号)、(**)https://hfnet.nibiohn.go.jp/ナイアシン、よりそれぞれ引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)