Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

若返りの鍵は「オートファジー」(その2:活性化する食品成分)

前報(2022.6.3)で、我々の体に備わっているオートファジーの若返り機能と、それを衰えさせない食事対策について紹介しました。

 

本報では、オートファジーを活性化する事が明らかにされた身近な食品成分に言及します。

 

         

 

 ・納豆や味噌、チーズ、シイタケ等のキノコ類に含まれる「スペルミジン」

→ スペルミジンとは、複数のアミノ基(NH2)やイミノ基(NH)が結合した炭化水素化合物のポリアミンの一種(下図)。

         

ポリアミンは、健康寿命を延ばす効果があるとして、近年注目の成分です。

今回、老人の免疫細胞にスペルミジンをふりかけたところ抗体が再生できた、また、老化マウスにスペルミジンを経口投与したところオートファジーの指標となるタンパク質が増えた、との研究報告があったとのこと。

特に納豆に多く含まれており、中でもひきわり納豆がベター。

 

 ・お茶に含まれる「カテキン

 カテキンは、ポリフェノールの一種で4種類の主要成分があり、総量として含有量が多いのは緑茶。具体的に多い順は次の通り:釜炒り茶>煎茶>玉露>ほうじ茶>紅茶>ウーロン茶

 

 ・ブドウや赤ワインに含まれる「レスベラトロール

 レスベラトロールは抗酸化作用を持つポリフェノールの一種。その含有量(mg/100g):赤ブドウ 0.15~0.78、赤ワイン 0.02~0.58、ピーナッツ 0.18~0.71、ココアパウダー 0.14~0.23

 

 ・イクラやエビ、鮭等に含まれる「アスタキサンチン

 → 優れた抗酸化力を持つ赤の色素成分で、カロテノイドの一種。細胞膜を守ることで細胞の酸化を抗っている。

 

 ・ザクロやベリー類、ナッツ類に含まれる「エラグ酸

 → ポリフェノールの一種であるエラグ酸が、ヒトの腸内で代謝されてウロリチンという物質になり、これが壊れたミトコンドリアを除去するオートファジーを促す。

 

いずれの食品も、ヒトがどのくらいの量を摂れば良いのかは明らかになっていないし、食べれば長生きできる証拠は動物実験でしか得られていないが、一定の科学的根拠はあるし、副作用がないのならどんどん取り入れるべき(吉森保氏の話)とのこと。

 

確かにどの食品も、長年にわたって一般に受け入れられ、過食しなければリスクも認められていません。中には日頃から嗜んでいる食品も数種はあるはずです。

明日からは上記の5つの有効成分を意識して、満遍なく摂ることで、よりオートファジーの若返り機能を活性化させ、健康長寿に繋げようではありませんか。

 

(本情報は、日経Gooday:老化抑制のカギ「オートファジー」の第3報(2022.5.30)を参照し引用・改編しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)