Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

梅雨明け前からの異常な猛暑、「暑熱順化」と「水分補給」は?

今年の梅雨入りは平年と同じかやや遅れた位でしたが、雨はあまり降らずに気温が上昇を続けており、連日に渡って真夏日(30度以上)はおろか猛暑日(35度以上)も珍しくありません。

 

そんな状況の中、熱中症患者の救急搬送が頻繁にニュースに取り上げられていて、注意を促しています。

例年なら、7月の半ば頃に梅雨が明けて徐々に真夏日猛暑日が増えていき、体も自然と慣れていくのですが、今年の異常気象では追いつきません。

 

そこで本報では、一足早く熱中症対策としての「暑熱順化」と「水分補給」について紹介します(なお昨年、“コロナ禍の熱中症対策、暑熱順化と水分補給は?”と題して配信済み(2021.7.23)の更新リブログになります)。

 

 

 

 

先ずは、あまり聞き慣れない暑熱順化についてです。

暑熱順化とは体が暑さに慣れることです。

暑熱順化がすすむと、発汗による気化熱や体の表面から熱を逃がす熱放散がしやすくなり、熱中症になりにくい状態になります(下図参照)。 

 

       (「熱中症ゼロへ」のHP:暑熱順化から引用)

 

暑熱順化に有効な方法とは、「積極的に汗をかく」ことで、具体的には次の様です。

 ・ウォーキングやジョギング:週に5回、1回に付き前者は30分で後者は15分程度

 ・サイクリング:週3回、1回30分程度

 ・筋トレやストレッチ:ほぼ毎日、1回30分程度

 ・入浴:2日に1回、38~40℃のお湯に10分以上浸かる

これらの方法を複数組み合わせ(入浴+どれか一つ)て、10日から2週間程度続けることで暑熱順化が出来るはずです。ただ、数日汗をかくことをしないと効果が無くなるので、無理をしないが前提ですが、続けることが必要です。

 

もう一つの熱中症予防策は「水分補給」です。

 

そもそも、生命維持に必要な水分量は1日に約2.5L(リットル)で、その内食事とそれに伴う代謝で約1.3Lの水分を摂取できるので、残りの約1.2Lを飲料水で毎日摂る必要があります。

特に湿気の少ない夏場の暑さの中ではじっとしていても、運動をすればなおさら、汗をかいて水分が失われるので、その分多めの補給が必須です。

 

起床時から就寝時までの水分補給(飲料水+食事の汁物)のタイミングは次の様です。

          (hokusei.or.jpのホクマンブログより引用)

 

具体的には、

 ・起床時 → 白湯を0.2L(200mL)

 ・入浴後や就寝前 → ノンカフェインの茶類を0.2L

 ・朝・昼・夕食時 → 主菜に合わせて味噌汁やスープ、牛乳やジュース等を0.2mL、

 ・10時や15時の前後:おやつ → 和か洋かに合わせて、緑茶やコーヒー・紅茶等を0.2mL、おやつ以外の運動等 → 運動量に応じて、適した飲料水(*)をこまめに少しずつ

 

水分補給といっても、単に水気のある飲料をがぶ飲みさえすれば良いわけではなく、ケースバイケースです。

特に、カフェイン入り飲料や糖分の多い清涼飲料やジュース、アルコール飲料も過剰摂取は禁物です。さらに、大量の汗をかく前後には、(*)経口補水液スポーツドリンクなどの適度に塩分と糖分を含んだ飲み物がベターで、水分が速やかに吸収されます。

 

ともかく、喉の渇きを感じた時には既に脱水が始まっているので、早め早めの対処を心掛けてください。

 

いずれにせよ最優先されるのは、健全な食事と質の良い睡眠ですので、くれぐれもお忘れなく!

 

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)