Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

「餡(あん)」復権、ダイエッターやトレーニーにも!

小豆から作る「」は、日本の伝統的な和菓子の主役です。

先日、「「あんこ」復権 静かなブーム」を見出しとする新聞記事(*)が掲載されました。ダイエッターやトレーニー(トレーニングをする人)にも重宝されているとか?

 

本報では「餡」に関しての最新情報をお届けします。

        

そもそも「」の意味は、食べ物の中身として詰める物で、小豆に砂糖を加えた甘い餡が広まったのは江戸時代以降のことで、「あんこ」という言葉が定着していきました。

 

まず主な栄養成分を、小豆の全粒(ゆで)、こし生あん、つぶし練りあんで比較(100g当たり)したのが、下表です。

 

成分/食品

全粒、ゆで

こしあん

つぶし練りあん

エネルギー    (kcal)

  122

    147

      239

水分         (g)

      63.9

     62.0

       39.3

タンパク質   (g)

       8.6

      9.8

        5.6

脂質        (g)

       0.8

      0.6

        0.6

糖質        (g)

     18.2

    26.0

     54.7

食物繊維 (g)

     12.1

     6.8

       5.7

 

こし生あんは小豆を煮て濾しただけなので、原料の全粒(ゆで)と大差はない。生あんに砂糖を加えて練り上げたのがりあんつぶしりあんは小豆の種皮を除かないもの)で、糖質が大幅に増えて、その分エネルギーも100kcal程高くなる。但し、脂質は1g以下と極めて低脂質。

その他、微量栄養成分もほぼ満遍なく含まれており、特にビタミンB群や鉄がめぼしい。

 

栄養成分以外で、小豆に特徴的な成分と言えるのは小豆ポリフェノール(アントシアニン等)で、強い抗酸化作用があってアンチエイジングが期待でき、餡になっても皮に多いので残る。さらに皮にはサポニンも多く、抗酸化作用の他に血栓予防やむくみ改善に有効。

 

餡には「粒あん」と「こしあん」がありますが、皮を含む粒あんの方が健康効果は勝っていて、同じ砂糖の量(糖度)でも甘味を感じやすいので、お勧めです。

 

甘い餡は美味しいですが、やはり気になるのは糖質量やそれからくるカロリーではないでしょうか。

上表のつぶし練りあんを見てください。

100gに付き、糖質は50g強でエネルギーは250kcal程です。こし練りあんもほぼ同程度です。

エネルギーに関してはチョコレートの半分以下でしかありません。

 

さらに糖質量を減らす(エネルギーも)には、餡を小豆から手作りしたり(例えば、NHKためしてガッテン」の手作り香りあんこ(2020.9.2))や発酵あんこ(砂糖の代わりに米麹を使う)を自作するのもありかも?

 

間食のエネルギーは200kcal程度と言われているので、餡の摂取量もその範囲に抑えて、夜に摂るのは避けた方が良いでしょう。

 

最後に、ダイエッターやトレーニーに重宝されていることについて言及します。

ダイエットについては、低脂質かつ食物繊維が豊富でポリフェノールサポニンの効果も期待できる上に、乳製品やパン類・果物にも合う汎用性の高さが関わっているようです。

トレーニーにも、食事制限で乱れがちな腸内環境を整えるのに欠かせないのが餡で、飲めるあんこスティックタイプの羊羹などもあるようです。

 

((*)日本経済新聞(2022.9.10)を参照・引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)