Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

ビタミンの日に因み、関心の高い「ビタミンC」の情報を!

12月13日は、鈴木梅太郎博士が米糠から抽出した脚気を予防する成分に「オリザニン(ビタミンB1)」と命名したことを発表した日で、2000年にビタミンの日として制定されました。

 

そこで本報では前報のビタミンDに引き続き、ビタミンの中でも最も関心の高い「ビタミンC」について、最新の成果を含めた情報を紹介します。

 

        

 

そもそも、ビタミンCには主に2つの役割があります。

  • コラーゲンの合成を助ける。

  → コラーゲンは骨や血管、皮膚を構成するタンパク質で、ビタミンCが不足すると骨や血管がもろくなり、肌荒れします。さらに最近、ビタミンCが丈夫な筋肉の維持にも不可欠であることも判りました。

 

  • 活性酸素を除去し、炎症の広がりを抑える(いわゆる抗酸化作用)。

  → 炎症が続くと慢性炎症の状態になり、延いては糖尿病や動脈硬化、がんなどの原因や老化の促進に繋がります。だからといって、ビタミンCの大量摂取が病気を防いだり、老化を遅らせると安易に考えるべきではないが、逆に欠乏が続くと病気になることは明らかなのです。

 

最近はビタミンCと認知症の関係についての研究も進んでいて、アポE4アルツハイマー病の危険因子で日本人の10~15%が保有)を持つ高齢女性でも、血中ビタミンC濃度が高い人は、認知症発症リスクや認知機能低下リスクが9割前後低いことが確認されました。

 

食事摂取基準による成人のビタミンC推奨量は1日100mgだが、平均摂取量は90mg強で9割程は摂れていて、大幅に不足しているわけではないのです。ただ若年層では6,7割程度なので、少し意識してビタミンCを摂るようにしたい。

 

次に、ビタミンCを含む食品(一食当たりの含有量の上位)を挙げると、動物性食品より植物性食品に多く含まれています。

 A)植物性食品例

 ・キウイ(黄肉種) 140mg・赤ピーマン(油炒め) 108mg・キウイ(緑肉種) 71mg・ブロッコリー(電子レンジ) 70mg・イチゴ 50mg・青ピーマン(油炒め) 47mg・みかん 33mg・ブロッコリー(茹で) 28mg・サツマイモ(皮付き・蒸し) 20mg

 B)動物性食品例

 ・辛子明太子 19mg・牛レバー 12mg・ボンレスハム 10mg・ロースハム 5mg

 

調理時の注意点としては、水溶性のビタミンCは茹でると切り口から溶け出すのでゆで汁も摂ることと、蒸す電子レンジ(上記のブロッコリー参照)がベターなことです。

 

最後に、ビタミンCの過剰摂取とお勧めの摂取量についてです。

先ず過剰摂取については、水溶性で直ぐに体外に排出されてしまうため、心配する必要はありません。ただ1日1度のみではなく、1日数度こまめに分けて摂るべきです。

 

摂取量は、1日1000mg(推奨量の10倍)が目安です。

壊血病の予防には100mgで役立ちますが、がんや老化予防のためには更に多く摂る必要があるのです。食事だけで無理ならば、サプリメントマルチビタミン一粒にC100mgの例)やビタミンC含有飲料を利用しても良い。

 

いずれにしても、ビタミンCが不足しないようにするのは言うに及ばず、十二分に摂取することが、病気をはじめ筋力や肌のケアに重要であると自覚し、実践しましょう。

 

(本情報は、日経Gooday:骨や血管、筋肉を若く保ち、活性酸素から体を守るビタミンC(2022.12.6)をはじめ、石神昭人博士の記事を参照し、改編引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)