果物は健康に良い、悪い?(その1:含有糖類とその動態)
ファイトケミカルの情報で野菜や果物の摂取を奨励しましたが、「果物」に関しては、太る、血糖値を上げる等の噂から敬遠している人が多いかもしれません。そこで、果物の科学的根拠に基づく正しい情報を紹介します。
果物は「甘くて、おいしい」というのが概ね一般的な印象ですね。
そこで果物の甘味成分である糖分と言えば果糖が思い当たりますが、他にブドウ糖やショ糖(果糖とブドウ糖が結合)もあり、果物によってこれら3種の糖の含有割合も異なっています(GI値を参照)し、摂取後の代謝にも違いが出てきます。
特に果糖に関して言えば、ブドウ糖よりも血糖値の上昇は緩やか(GI値がブドウ糖100に対して23)で、大半は肝臓に入りエネルギー(一部はグリコーゲンとして貯蔵)になって、残りが脂肪に変換され蓄積されます。したがって、消費するエネルギーが少なければ脂肪になる割合は増えて、太る原因になります。
糖質総量は10%(10g/100g)前後が多いですが、20%を超えるバナナから1%を切るアボカドまで様々あります。バナナは糖質を多く含み、そのGI値も55と比較的高いので、手軽な運動時のエネルギー補給材として重宝がられるのも納得がいくはずです。
バナナ以外で高GI値の生の果物は、パイナップル(65)、レーズン(57)、ブドウ類(約50)位で、その他のほとんどの果物は40を下回る低いGI値になっています。ただ、乾燥品(水分減少)や缶詰(糖分添加)に加工された物は、生の物よりGI値が高くなるので注意が必要です。例えば、あんず(29)→乾燥品(41)、みかん(33)→缶詰(57)です。
(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)
次報では、食事制限している人にも配慮した上手な摂り方について、紹介します。