健康に良い塩分摂取とは?(その1:現状と問題点)
食生活上の問題点として常に取り上げられる話題に、「塩分の過剰摂取」があります。
伝統的に日本食には塩分が多いことと、近年、加工食品の摂取が増えてその味付けや保存に多くの塩分が使われていることが主な原因です。
最新の国民健康・栄養調査(平成29年)の食塩摂取量(1日)の状況によりますと、平均値は9.9g(男性10.8g、女性9.1g)であり、この10年間では有意に減少しています。しかし、厚労省が制定した目標値は、男性8.0g未満で女性は7.0g未満ですし、日本高血圧学会では男女とも6g未満を目標に掲げています。ちなみにWHO(世界保健機構)や欧米諸国は5g未満が摂取目標ですので、数字の上では過剰摂取の現実が明らかです。
日本では東北地方などの寒冷地域で塩分摂取量が多い傾向にあったのですが、それは寒さを凌ぐためとも言われています。その他塩分(正確にはナトリウム:Na)は、1)細胞内外の浸透圧調節、2)体液のpH調節、3)栄養吸収や神経伝達のサポートとして働き、4)食品の調理や保存にも欠かせません。塩分摂取が不足すると現れる症状としては、めまいやふらつきを起こしたり、食欲減退や脱力感にも見舞われますし、筋力低下にも繋がります。
逆に塩分を取り過ぎた場合に現れる症状としては、喉が渇く、血圧が上がる、むくむ等があります。過剰摂取が原因と言われている病気には高血圧症の他、腎臓疾患、不整脈や心疾患が挙げられます。塩のみが高血圧の元凶とは言えませんが、塩分制限をすることによる血圧の低下は明らかなようです。
塩分の過剰摂取は問題ですが、かといって、減塩すればするほど健康に良いとも言えません。次報では、具体的な塩分摂取対策について紹介します。
(この情報の一部は“減塩ネット<gen-en.net>”を参考にしました。なお本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)