大豆の健康パワー(その2:消費の現状と加工製品)
前報で大豆が優れた食材であることを紹介しましたが、その摂取量は国民健康・栄養調査(平成28年)によると、健康日本21が目標としている「豆類として1日100g以上」の6割にも届いていません。特に30歳未満の若年世代のそれは5割以下の現状です。全ての世代において、今の倍近くの大豆製品を食べる意識でも良いはずです。
大豆成分の中で特に機能性が注目されているイソフラボンですが、その安全な1日摂取量の上限はアグリコン*で70~75mgとされており、40mgは必要なのです。しかし現実の摂取量は、上述の大豆摂取量が少ないことの影響で、20mg前後しか摂れていません(特に若年世代は10mg前後)。しかしサプリメント(30mg/日以下)に頼るのは、過剰摂取の副作用も指摘されていますので、注意が必要です。
具体例として大豆製品中のアグリコン量(資料:厚生労働省)を挙げます。木綿・絹豆腐100g→20mg、豆乳200mL→50mg、納豆50g→35mg、大豆水煮50g→35mg、味噌汁(味噌20g)→10mg、きな粉20g→50mg
大豆製品でイソフラボン以外の含有成分などの特徴を示します。
きな粉は炒った豆を砕いた物ですので、大豆の成分はほぼそのまま残っています。納豆は大豆を納豆菌で発酵させていて、ビタミンK2や納豆キナーゼの効果が期待できます。豆乳はイソフラボンの良い供給源ですが、その含有量は製品により異なります。おからは大半がゴミとして廃棄されていますが、食物繊維が豊富で低カロリーなので、最近見直されています。大豆ミート(ソイミート)も高タンパク・低カロリーで浸透しつつあります。
ちなみに豆腐や醤油などで「丸大豆使用」の表示を見かけますが、その意味は、脱脂大豆(油を採った残りカスでタンパク質が残存)を使っていないという差別化のためです。
*アグリコン:イソフラボンは大豆中では大半が糖を結合した配糖体として存在しており、そのままでは吸収され難いが、食べると腸内細菌の働き(個人差あり)で糖が分離した物質(アグリコン)になり、吸収され易くなります。
(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)