Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

唐揚げがブームの「鶏肉」は良質な高タンパク源!

手頃なおかずとして定番の鶏の唐揚げですが、昨年から今年にかけて中食やテイクアウトの市場規模が大幅に拡大し、空前のブームとも言われています。

そんな鶏肉の低カロリー高タンパクと言われる栄養とその効能について、紹介します。

 

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まずは、最も市販品として多い若鶏の部位別(焼き)の主要栄養成分の比較です(可食部100g当たり)。

部位別鶏肉

  エネルギー

タンパク質

 脂質

 (kcal)

  (g)

(g)

若鶏ささ身,焼き

 127

  27.3

 1.3

若鶏むね,皮なし,焼き

   195

  38.8

 3.3

若鶏むね,皮付き,焼き

   233

  34.7

 9.1

若鶏もも,皮付き,焼き

   241

  26.3

13.9

若鶏もも,皮付き,唐揚げ

   313

  24.2

18.1

 

タンパク質は、いずれもが20数g以上から40g弱までの高タンパクであるのが見てとれる。脂質はささ身や皮なしでは数gと少なく、その分エネルギーも低く抑えられている。ももの唐揚げ(皮付き)は油で揚げる分、脂質が多くなってエネルギーもアップします。

 

これら主要とその他の栄養・健康成分から期待できる効能をあげます。

・高タンパクかつ良質(アミノ酸スコアは100)で、メチオニン(必須アミノ酸)には肝機能向上イミダペプチド(アミノ酸集合体)は抗酸化作用による疲労回復(但し、むねとささ身)の効果あり

・ビタミン類ではナイアシンやKが豊富で、前者は三大栄養素代謝に、後者は血液凝固や骨密度に関与

・コラーゲンが肌の再生に有効(直接吸収されるわけではないが、成分を元に体内で合成)

 

最後に、具体的な部位別の特徴(①)や調理法(②)・市販品の利用(③)などを挙げます。

① むね白身で軟らかくてクセや臭いも少ない、もも:やや硬くてコッテリした味わい、ささ身:淡白な味わい

② 炒めたり揚げたりする方法は油が増える分、高カロリーになる(上表の唐揚げ)ので、焼く・蒸す・茹でる方法で脂質を落とす意識も必要

③ 最初にコンビニで発売されたサラダチキンですが、むね肉を使用していてもパサパサ感なく食べやすいと人気

 

鶏肉は高タンパクという共通項の基に、部位による特徴の違いが顕著で調理法によっても多彩な味わいができ、飽きることがないはずです。牛肉や豚肉よりも安価でヘルシーな食材である鶏肉を、日常の食生活に、より一層有効に取り入れましょう。

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免疫力向上に繫がる腸内環境を整える(「腸活」)には?

 

コロナ禍の中、感染予防のための免疫力アップが注目を浴びています。当該ブログでも「免疫力を高める食事」を配信(2020.4.24)しましたが、今回はその続報として、免疫細胞の約7割が存在する腸の環境を整える、いわゆる「腸活」が免疫力向上に繫がることに、改めて言及します。

 

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まずは腸内フローラ(「ヨーグルト」で配信済み(2019.4.11))の話を再掲します。

ヒトの腸には数百種類、100兆~1000兆個の細菌が生息しており、その構成は善玉菌・悪玉菌・日和見(前2者の優勢な方に同調する菌)がほぼ2:1:7の割合であるのが理想的です。しかし食事をはじめ様々な生活要因によって日々その菌叢は変化し、下手をすれば悪玉菌が増えて健康を損ないかねません。

 

そこで、毎日の食事を通して腸内環境を整える実践法ですが、一口で言えば、善玉菌を増やすことに尽きます。つまり、善玉菌を含む食品(プロバイオティクス)と善玉菌のエサとなる物(プレバイオティクス)を摂ることです。

 

プロバイオティクスは発酵食品です。乳酸菌やビフィズス菌・麹菌などが含まれていて、ヨーグルト(特にプラズマ乳酸菌入りが注目)やキムチ・糠漬け等の漬物、納豆、チーズなどがあります。

プレバイオティクスはオリゴ糖と水溶性の食物繊維です。前者は大豆や玉ねぎ、ゴボウ、バナナなどが、後者は納豆、ゴボウ・人参・ブロッコリー・ホウレン草等の野菜類、キウイ・リンゴ等の果物類、芋類、海藻・キノコ類などがあります。

これらプロとプレの両方を合わせて摂ること(シンバイオティクス)で、より効果的な腸活が期待できます。

 

腸内環境の良し悪しを見分けるには、おおよそ便でチェックできます。

バナナのような形状で、色は黄褐色から茶色、臭いはほとんどない(悪臭は悪玉菌が増加)のが良く、残便感がないのが理想です。

 

毎日の腸活のスタートは、起床したら先ずコップ1杯の水を飲むことです。腸の刺激になり活発化されます。そして朝食には温かい味噌汁か牛乳を飲むことで「腸温活」になります。後は上述のシンバイオティクスを心掛けることです。

食事以外では、適度な運動、充分な睡眠、ストレスフリーなどにも気を配った生活をすることで、より腸内環境が整って免疫力の向上、ひいては感染症予防に繫がりますので、是非実践しましょう。

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冬が旬の「(温州)みかん」は袋やスジ毎食べて健康効果アップ!

「こたつでみかん」は昔からお馴染みの冬の景色ですが、そんな冬が旬の果物の代名詞である「(温州)みかん」の健康効果について紹介(更新リブログ)します。

         

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まず「三ヶ日みかん」が、5年前に生鮮食品としては最初の「機能性表示食品」として、消費者庁に受理(制度開始の半年後)されたことをご存知でしたか?

みかんに含まれるβ-クリプトキサンチン(カロテノイドの一種)という機能性成分の科学的根拠が認められた結果ですが、出荷に当たっては、β-クリプトキサンチン含有量と統計的に有意な糖度を光センサー選果機で選果するとのこと。

β-クリプトキサンチンは骨代謝の働きを助けることにより、骨の健康に役立つことが報告されています」と表記して販売されています。さらにその後の三ヶ日町民を対象とする10年間の追跡調査では、みかんをたくさん食べる人は、糖尿病や肝機能異常症の他、脂質代謝異常症、動脈硬化症についても発症リスクの低下が明らかになっています。

このβ-クリプトキサンチン含有量は温州みかん(特に甘い物)が最も多く、オレンジはその1/10、グレープフルーツやレモンにはほとんど含まれていません。

 

もう一つの有効成分は、実よりも皮や袋、白いスジ(アルベド)に多く存在している「ヘスペリジン」です。フラボノイドの一種で、血管の健康に役立つ成分です。つまり、心臓や脳血管の疾患を防ぐだけでなく、冬には辛い冷え性にも効果的です。血の巡りを良くすることから、冷えだけでなく、むくみや肩こり等の血流疾患の改善にも役立ちます。

 

みかんにはその他、ビタミンCやペクチン等の食物繊維(じょうのう膜という袋の部分に多い)も見逃せません。この冬(12月頃からが旬)には、1日3個程度(β-クリプトキサンチンを含むビタミンAやビタミンCの1日必要量のほぼ半分を充足)を目安に、できれば袋ごとスジも残したまま食後(吸収率がアップ)に食べることをお勧めします。

さらにみかんの皮(陳皮)には「リモネン」と言う香り成分が含まれていて、風呂の湯に浸けたり、乾燥させて茶に混ぜたりすると、リラックス・安眠効果や血行促進による代謝力アップが期待できますので、是非、捨てずに活用してみてください。

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静かなブームの「焼き芋」は寒い時が食べ頃?

寒くなってくると食べたくなるのが「焼き芋」ではないでしょうか? 一昔前には笛の音と独特の節回しで焼き芋を売り歩く姿が冬の風物詩でしたが、今やスーパーやコンビニでも手軽に年中買えるようになりました。

そんな静かなブームの中の焼き芋について、その栄養や効能を紹介します。

 

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焼き芋の材料は「サツマイモ」ですが、甘い芋は糖質多くて太ると思っている人が多いのではないでしょうか。

 

そこでまず、焼き芋に含まれる主な栄養成分(皮むき100g当たり)を挙げます。

・主要成分:エネルギー 163kcal,タンパク質 1.4g,脂質 0.2g,糖質 36.7g

・微量成分(1日の充足率約20%以上):ビタミンB6,C,E,カリウム

・その他、食物繊維 3.5g(水溶性 1.1g,不溶性 2.4g)

 

焼き芋は中くらいのサイズで200g程度です。確かに糖質が多く、しかも熱いままだとGI値が高い(血糖値が上がりやすい)ですが、冷ますことレジスタントスターチができて低GI値になります。

また、食物繊維が多いので糖質の吸収を抑え、サツマイモ特有の成分ヤラピンは緩下剤として排便を促すので、むしろダイエット効果があるとも言われています。

その他の含有成分による効能もあります。

・ビタミンC(芋では熱に強い)やEは、抗酸化力の高い成分でアンチエイジング効果がある

・豊富なカリウムは、過剰なナトリウム(塩分)を排出して高血圧やむくみ予防効果がある

・皮に含まれるポリフェノールアントシアニンやクロロゲン酸には抗酸化作用がある

 

この様な焼き芋の効能を最大限に活かす食べ方は、冷ましてから皮ごと食べるのがベターです。

 

最後に、家庭で焼き芋を作る方法を紹介します。ポイントは糖化酵素が充分に働いて甘くなるじっくり加熱です。最も手軽で短時間なのは電子レンジを使う方法です(1本を丸ごと洗って濡れたままで新聞紙に包み、500Wで1,2分温めた後200W(弱火)で10数分加熱)。

サツマイモの品類は、ねっとり系(安納芋等)やほくほく系(紅あずま等)、新種のシルクスイートもあり様々ですので、食べ過ぎ(残りは冷凍も可)には注意しながら、それぞれの味覚を楽しみましょう。

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古代からのスタミナ食「ニンニク」の健康パワー!

ニンニクと人類の付き合いは古く、紀元前からと言われています。日本に伝わったのは4,5世紀頃で、健康に重宝な特別な食材であったようです。

現在では日本各地で栽培されていて、料理の薬味として、その健康パワーが注目されていますので、改めて紹介します。

 

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ニンニクと言えば、独特の臭いがあって使用を控えることも多いはずですので、まず、その臭いのメカニズムを明らかにします。

臭いの元になる成分はアリインというアミノ酸です。ニンニクをすり潰したり刻んだりすると、アリインが酵素の働きでアリシンになって臭いを発するのです。従って、丸ままあるいは一片毎に加熱すれば酵素が失活し、臭いは発生しないのです。

 

では、ニンニクに含まれている栄養・健康成分からの効能を挙げます。

体力増強・疲労回復:糖質からのエネルギー代謝に必要なビタミンB1が、ニンニクのアリシンと結合(アリチアミン)して吸収率がアップし、エネルギーの補給が向上

血行促進・冷え予防:アリシンやビタミンEが血管を拡張し、血行促進や冷え予防に効果

抗菌作用・食中毒予防:刺身や馬刺しにすり潰したニンニクを加えるのは、アリシンの抗菌作用による食中毒予防

抗酸化作用・老化防止:アリシンやその加熱産物のスコルジニンは強力な抗酸化作用を有し、老化防止(アンチエイジング)に効果

その他、デザイナーフーズプログラム(米国,1990年)で、がん予防に重要度が高い食品である事も示されました。

 

ニンニクは、和食はもちろん洋食や中華までの炒め物や煮物に使えますが、弱火でじっくり加熱するのがポイントです。アリシンが変化(アホエンなど)し、さらに健康パワーがアップします。

またニンニクそのものだけでなく、乾燥させて粉末にしたガーリックパウダーや低温の油に漬け込んだガーリックオイルの加工品も大いに利用すべきです。

ただ食べ過ぎはNGで、1日に生ニンニクで1片、加熱ニンニクでは3,4片程度に留めてください。

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冬場に重宝な薬味「ショウガ(生姜)」の健康効果

気温が下がる冬場になると、体を温める働きをもつ「生姜(ショウガ)」が重宝されます。

そもそも生姜は、漢方では「百邪を防御する」と古くから処方されており、またデザイナーフーズプログラム(米国,1990年)では、がん予防効果の高い植物性食品の第一群にランクされていました。

そんな生姜の健康効果を、改めて紹介(更新リブログ)します。

 

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まず生姜の成分ですが、栄養素としてはビタミンB群やカリウムマンガン以外に、生姜特有の辛味成分が3種含まれているのが特徴的です。

1)ジンゲロール:生の生姜に含まれる辛味成分で、抗酸化作用を有していてアンチエイジング効果がある。体の表面を温める効果はあるが、発汗により後から冷めてくる。また強い殺菌力で食中毒予防になる。このジンゲロールは酸化されやすく、加熱によりショウガオールとジンゲロンに変わる。

2)ショウガオール:ジンゲロールと似た効能であるが、血行促進により体を表面ではなく芯から温める特徴がある。さらに脂肪燃焼などの新陳代謝を高める働きもある。

3)ジンゲロン:ショウガオールとほぼ同じ働きで、香りも有している。

 

生姜の健康効果は、生姜ブームの火付け役を自認する石原結實医師によると、次のようになります。

体を温める(血管を拡張して血流をよくし、すべての内臓の働きを活発にすることによる)白血球の働きを活発にして免疫力を高める強心・利尿効果により「むくみ」をとる消化吸収を促進する

発汗・解熱作用がある消炎(炎症を抑える)、鎮痛作用を発揮する吐き気をとめ、船酔い・つわり・抗がん剤による吐き気に奏効抗菌、抗ウイルス、抗真菌作用がある「めまい」に効く鎮咳作用を有する血栓症(脳梗・心筋梗塞)を防ぐ健胃作用・抗潰瘍作用がある脳の血流をよくして「うつ」に効く

 

最後に即効性のある利用法です。生のスライスやおろしは、殺菌作用による食中毒予防や消化・吸収の促進が、生姜湯や味噌汁などの温めた飲み物や煮物などでは体を温める効果が、期待できます。また最近では、作り置きできる酢生姜も万能調味料として、酢とのダブル効果が評判になっています。

ただ摂り過ぎは胃腸の荒れを招くので、1日5~10g程度に留め、上手に付き合ってください。

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フレイル予防には、まず食事で充分な「タンパク質」を!

フレイルという言葉をご存知ですか?フレイルは、2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、「Frailty(虚弱)」の日本語訳です。フレイルの前段階はプレフレイル(前虚弱)です。

要するに身体機能や認知機能が低下する状態で、健康と要介護の中間に位置しており、適切な治療や予防をすることで、要介護への進行を抑えることが出来ると言われています。

      

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              (東京都医師会HPより引用)

 

フレイルは筋力低下などの身体的要素の他に、精神的・心理的要素や社会的要素もありますが、中でも身体的要素の足腰の衰えを防ぐことが重要です。つまり、低栄養状態が続くことに因る体重減少から筋力が低下することを改善しなければなりません。

当然ながら主な対象は高齢者になりますが、昨今のコロナ禍においては、高齢者以外にも広がり兼ねません。 

栄養を充足させるためには、タンパク質をはじめとする五大栄養素食事摂取基準(2020年版)にしたがって、食事から摂取することが基本になります。

その際、筋肉を作る成分のタンパク質が不足しないように気をつけることがポイントです。

 

では具体的に、タンパク質はどの位をどんな食材から摂取すれば良いのでしょうか。

先ず1日の摂取量ですが、標準的(体格と活動量)な人の男性で60g女性で50gです。特にフレイル予防を念頭に置くと、それぞれもう少し多い摂取を心掛けるべきです。朝・昼・夕の三食で、それぞれ20g程度(以上)が目標になります。

次にタンパク食材ですが、いわゆる主食に対する主菜(おかず)に当たり、肉・魚・卵や大豆製品・乳製品に多く含まれています。

主な食材のタンパク質含有量を挙げます。

 ・牛・豚・鶏肉:60g→12g ・白身や青魚:60g→12g 

 ・卵1個→6g ・納豆40g→6g ・牛乳200mL→6g  

 ・米飯100g→2.5g ・食パン1枚→6g

筋肉をはじめとするタンパク質は日々壊されては作られているので、毎日充分に摂る必要があります。

 

フレイル予防のためには食事に気をつけるだけではなく、適度な運動、社会参加も重要な要因です。ストップフレイルで健康寿命を延ばしましょう。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)