Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

発酵食品である納豆の健康効果は?(その2:新製品、食べ方)

「安い・美味しい・ヘルシー」と三拍子揃った納豆ですが、最近は食わず嫌いの関西でも「体に良いから食べる」という人が増えているとのこと。その消費額も近年の減少傾向を脱して、ここ数年は年々増加の一途だそうです。

 

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当然、納豆は新製品の開発も盛んで、進化を遂げています。

まずは、あの独特の匂いが気になる人が多いことから、匂いの原因物質を作らない納豆菌を探索して匂わない」納豆が発売されました。後は容器に工夫を凝らして、食べる際に手が汚れない」構造の製品も出ています。また、主に海外への市場開拓を狙った粘らない」納豆は、糸を引いてこその納豆を逆手にとった製品で、香りが引き立ち、調理もし易いメリットがあるそうです。ごく最近になって、免疫力が従来の1.5倍高い納豆菌「S-903」による新製品も出ました。なお、カプセルに入った「そのもの納豆」というサプリまであります。

 

最後に、食べ方について紹介します。

納豆のパックには賞味期限が表示されていますが、なるべくギリギリに近いほど旨味が増し食べ頃です。また冷蔵保存しますが、30分程かけて常温に戻してから食べるのがベターです。タレはカラシが一般的ですが、ワサビ(イソチオシアネートの作用)の方が健康に繋がります。朝か夜かと言われれば夜の方がお薦めです(睡眠中にナットウキナーゼが作用)。

食べる際には50回程かき混ぜて粘りを充分に出してください(ポリグルタミン酸の作用)。また、熱いご飯に混ぜる等加熱すると酵素の作用が弱まりますし、生の卵白も控えた方が良い(加熱した半熟卵や温泉卵なら大丈夫)でしょう。

今後はご飯にかける以外の用途として、特に夕食のおかずへの展開も期待されています(納豆オムレツなど、「おかず納豆」や「サラダ納豆」の新製品もあり)。1日に食べる量は100g程度までなら毎食3回食べても大丈夫(納豆以外にも大豆製品を多く摂っている人は、少し控える)ですので、味や食べ方のバリエーションを工夫して、納豆の健康効果を体現してみてはいかがでしょうか。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

発酵食品である納豆の健康効果は?(その1:含有成分と健康効果)

7月10日は「納豆の日」です。7(なっ)と10(とう)の語呂合わせで、関西での消費拡大を目的に制定されたとか。

 

大豆製品の中でも優等生なのが発酵食品の「納豆」で、ご飯のお供として食卓の定番になっていますが、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。

そこで本報(2報)では、含有成分や食べ方などから、納豆の健康効果について言及します。

                                    

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納豆と言えば、厳密には納豆菌による「糸引き納豆」と麹菌による「塩辛納豆」(大徳寺納豆や浜納豆等)がありますが、一般的に納豆と言えば前者を指します。

 

まず糸引き納豆の含有成分(100g当たり)からの健康効果を挙げます、

 ・良質のタンパク質を16g強含み、高栄養

 ・抗菌ペプチドがヒトのがん細胞を死滅させたので、抗がん作用の期待

 ・ビタミンK(0.6mg)による骨形成の促進で、骨粗鬆症を予防

 ・水溶性食物繊維(2g強)やビタミンB2、レシチンにより血糖値上昇を抑制

 ・オリゴ糖や食物繊維、納豆菌による腸内環境の改善

 ・ポリアミンによる動脈硬化や炎症の抑制で、老化防止

 ・ジピコリン酸による抗菌作用で、病原性大腸菌O-157の感染を予防

 ・ナットウキナーゼ(酵素)による血栓溶解作用で、脳梗塞心筋梗塞を予防

さらに大豆イソフラボンの健康効果は良く知られています(当該ブログの「大豆の健康パワー(その2)」でも紹介)が、糖結合の有無によりグリコシド型とアグリコン型があります。その多くは前者なのですが、後者の方が吸収される時間が速くてその率も高いのです。納豆は比較的後者が多い方なのですが、その効果を期待するには腸内細菌の助け(個人差あり)が必要になります。

また、納豆をよく食べる食習慣をもつ人は、そうでない人に比して、脳卒中で亡くなるリスクが約3割低いとの報告(岐阜県高山市在住の約3万人の食生活調査)もあります。

 

いずれにしても、近年の様々な研究から新たな健康効果が見出されてきており、その効果は多岐にわたっていて、「奇跡の食品」とまで言われるほどです。

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キウイフルーツは手頃で栄養価の高い貴重な果物

キウイフルーツは年中店頭に並んでいますが、4月~12月頃は輸入物で、12月~4月頃は国産物と住み分けられています。輸入物の主な産地はニュージーランドで、元々は中国原産の「支那猿梨」という果物ですが、ニュージーランドに持ち込まれて国鳥のキーウィの姿に似ているところから、現在の名前になったそうです。グリーン種が一般的ですが、ゴールド種もあり夏場に多く出回ります。

そんなキウイフルーツは、手頃な価格で食べやすく栄養価の高い果物ですので、以前に配信した内容を一部バージョンアップして更新リブログします。

 

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消費量の多く安価なグリーンキウイの栄養(可食部100g当たり)や特徴的な成分を挙げます。

・炭水化物として13.5gの表示になっていますが、その内糖質は10gで食物繊維が2.5gです。

・ビタミンではC(69mg)やE(1.3mg)、葉酸(36μg)が豊富で、ミネラルではカリウム(290mg)が多く含まれています。

・栄養成分以外では、ポリフェノール有機酸が含まれ、アクチニジンというタンパク質分解酵素も存在しています。

ちなみに、キウイは果物中で栄養素充足率がトップで、グリーン種よりもゴールド種の方が上です。

これらの含有成分から認められる効能・効果は次のようになります。

・食物繊維の中では不溶性のものが多いので、腸内環境を整え便秘改善に効きます。

・ビタミンCとE及びポリフェノールが抗酸化作用を発揮し、美肌や老化防止に効果があります。

葉酸(ビタミンB群)は細胞の分化に関わっており、胎児の成長に欠かせず貧血予防にも有効です。

カリウムは取り過ぎたナトリウムを排出するので、高血圧の予防に繋がります。

・アクチニジンはタンパク質を分解して消化を助け、主菜のタンパク質の吸収を促します。

 

軽く握って軟らかさを感じれば食べ頃です。グリーン種(ヘイワードなど)は酸味が強く、ゴールド種(ゼスプリゴールドなど)の方が甘味を感じやすい。また、前者は食物繊維が多くて後者はビタミンCが多い、と言う特徴の違いがあります。これら栄養価を活かすためには「生で食べる」のがお勧めです。ヨーグルトと混ぜたり、シリアルやアイスクリームのトッピング、ジュースやスムージーにしたりとアレンジもできますので、是非、食生活に採り入れるようにしてください。

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タンパク源としての「ちくわ」の利便性

魚肉が原料の練り製品として、蒲鉾(かまぼこ)や竹輪(ちくわ)、さつま揚げ等はよく知られており、それなりに食卓にも上っているはずです。

本報では、その中でも「ちくわ」を取り上げ、あまり知られていないタンパク源としての利便性を、改めて紹介します。

 

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まず、ちくわの製造工程ですが、原料となる魚は主にスケソウダラを使います。

①頭・内臓・中骨などを取り除き肉だけを集める → ②肉を水にさらして血や脂分を取り除く→ ③脱水した後、裏ごししながら皮やうろこを除く → すり身に調味料や食塩を加える → ④成形した後、焼く → ⑤包装する

 

こうして作られたちくわは「低脂肪高タンパク」な食材であることが解るはずです。

具体的な栄養価(焼きちくわ、100g当たり)を挙げると、次の様になります。

・エネルギー 121kcal(321kcal)・タンパク質 12.2g(13.2g)・脂質 2.0g(28.5g)

・炭水化物 13.5g(3.0g)・食塩相当量 2.1g(1.9g)

比較のために、ウインナーソーセージ(豚肉が原料)の栄養価をカッコ内に示しましたが、ちくわは、炭水化物が多いもののタンパク質は十数gあり、低脂質で低エネルギーなのは明らかです。またタンパク質の質も魚が原料なので、アミノ酸はほぼ100で良質です。ただ練り物の宿命(弾力を出す)で、食塩が2g程含まれていることは、留め置くべきでしょう(減塩ちくわも市販)。

 

最後に、ちくわの利便性について言及します。

最終の製造工程⑤での包装は数個ずつの個別包装なので、衛生的で使い勝手も良いわけです。「ちくわはプロテインバーより優秀!」と言うツイートが注目され、筋トレ後にも便利で効果的です。

日常の食事やおやつには、ちくわの穴に様々な物を詰めることによって、アレンジが楽しめます。例えばちくわの塩分が気になるのなら、カリウムの多いキュウリ等の野菜を詰めても良いでしょう。その他、ちくわのレシピも多数紹介されていますので、参照してください。

 

ちくわの賞味期限は1週間程度ですが、過ぎても加熱すれば大丈夫ですし、冷凍すれば1ヶ月程度は保ちます。都合の良い食材として、常備しておくことを勧めます。

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夏に向かう時期の水分補給には、「麦茶」を!

真夏日になる日も珍しくない今日この頃ですが、コロナ禍でマスクの着用が常態化する中、特に熱中症対策として水分補給が欠かせません。

経口補水液に目がいきますが、安価で手頃な「麦茶」を勧めたいので、紹介します。

 

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お茶と名が付けば、同じ茶葉から製法の違いで作られる緑茶を始め、ほうじ茶、紅茶、ウーロン茶などがありますが、麦茶はこれらとは一線を画します。

つまり麦茶の原料は、大麦(主に六条大麦)の粒を焙煎して甘みと香りを引き立たせたもので、これを湯か水で抽出することで麦茶になります。

 

上記の一般的なお茶には、タンニンやカフェインなどの刺激物が程度の差はあれ含まれますが、麦茶はノンカフェインなので、すっきりとした喉ごしでごくごくと安心して飲めます。

 

麦茶が「天然の機能性飲料」である、と言われる由縁に言及します。

・抗酸化作用で生活習慣病の予防効果:p-クマル酸などに酸化因子の消去活性が判明、活性酸素を除去する抗酸化酵素も含まれている。

血液サラサラ効果:焙煎の際に生成する香ばしい匂いのピラジンが血流を改善させ、γ-アミノ酪酸(GABA)には血圧降下作用あり。

・ミネラルの補給効果:カリウム・カルシウム・ナトリウム・リンなどが含まれ、発汗により排出されたミネラルの補給になる。

その他、胃粘膜の保護作用や炎症の抑制作用などの機能性があることも判っています。

 

暑くなると汗をかき、水分が失われがちですので、水分補給に留意しないといけません。その時、麦茶は、ノンカフェインでカロリーもほぼゼロ、しかしミネラルは豊富で種々の機能性に加えて体を冷やす効果もある、夏の熱中症対策には最適な飲み物です。

また、朝の寝起きの一杯(白湯が良い?)としても、ミネラル分を含む麦茶がお薦めです。

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ナッツの女王「ピスタチオ」の健康効果

前報の「ナッツ類」での具体例に「ピスタチオ」も取り上げましたが、改めて、ナッツの女王と言われている由縁を、もう少し掘り下げて紹介します。

 

元々は現イランなどの地中海沿岸地方が原産で、独特の味わいと実が鮮やかな緑色をしているナッツです。ナッツ類の中でも栄養が詰まっているところから「ナッツの女王」として、美容や健康への効果が注目されています。

 

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まずピスタチオ(いり、味付け)の栄養価を挙げます(100gあたり)。

 ・エネルギー 614kcal、タンパク質 17g、脂質 56g、炭水化物 21g(内、食物繊維 9.2g)

 ・ミネラル:カリウム970mg、カルシウム120mg、マグネシウム120mg、鉄3.0mg、銅1.15mg

 ・ビタミン:B1 0.43mg、B2 0.24mg、B6 1.22mg、E 27.5mg、K 29mg、葉酸 59mg

三大栄養素(食物繊維も)が豊富で、特に脂質が多く高エネルギーです。ミネラルやビタミンも上記の各成分は、1日の平均必要量のほぼ20%以上を占めており、微量栄養素にも優れています。

但し、適正な摂取量は1日に25g程度ですので、上記の栄養価は実際には約1/4になります。

 

次にピスタチオの栄養成分やその他の含有成分による健康効果を掲げます。

 ・アンチエイジング:ビタミンEやβ-カロテンルテインなどの抗酸化成分による老化防止。

 ・コレステロール値低下不飽和脂肪酸オレイン酸リノール酸により、善玉コレステロールは下げず、悪玉(LDL-コレステロール)のみを下げる。

 ・疲労回復:豊富なビタミンB群により、エネルギーへの変換がスムーズに行われる。

 ・高血圧・むくみ予防カリウムの塩分排出作用や利尿作用による効果。

 ・便秘解消:食物繊維や不飽和脂肪酸により、胃腸の働きや腸内環境が改善される。

その他、鉄による貧血予防ルテインゼアキサンチンによる眼病予防も期待できます。

 

市販のピスタチオには、生の物からローストした物、むき身、パウダー、クリームなどが揃っており、おやつやスイーツだけでなく、シリアルやサラダのトッピングなど料理にも使えます。

くれぐれも食べ過ぎ(一日40~45粒程度)には注意し、楽しみながら効果を実感してください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

栄養豊富な「ナッツ類」の健康への功罪

間食にちょっとつまんだり、お酒のつまみに手軽で重宝される「ナッツ類」ですが、その栄養豊富さから、単なるつまみの域を超える扱いになってきていますので、改めてその情報を提供します。

 

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ナッツ類は種実類に分類日本食品成分表)され、その内の木の実のことを指しています。代表的なナッツ類にはアーモンドをはじめ、クルミやピスタチオ、更に語尾にナッツの名があるカシューナッツ、マカデミアナッツ、ピーナッツ(落花生)等があります(ピーナッツは豆科で豆類なのですが、日本食品成分表でも種実類に記載)。

 

ナッツは良質の脂質に富み、タンパク質、ビタミン、ミネラル及び食物繊維の良い供給源です。しかし、高脂質ということは高カロリー(約600kcal/100g)ですし、アレルギーのリスクもあります。

 

個々のナッツにより栄養価やその効果が異なるので、以下にその具体的な特徴を挙げます。

アーモンド → 若々しさ:ビタミンEが多く抗酸化作用がある。食物繊維の量はナッツ類で最大。

くるみ → 血液さらさら:ω3脂肪酸(α-リノレン酸等)が血液をさらさらにする。メラトニンが多く安眠効果がある。

ピスタチオ → むくみ解消カリウムが高血圧を予防しむくみ解消になる。フラボノイドには抗酸化作用がある。

カシューナッツ → 筋肉隆々:タンパク質に富み筋肉を作る。ビタミンKが骨形成に効果的。

マカデミアナッツ → 天然オイル脂肪酸のパルミトレイン酸は石鹸やローション等に使え、美容効果が高い。

ピーナッツ → 長寿効果:ナッツ類の中では脂質が少なく栄養バランスが良い。薄皮にあるレスベラトロールにはアンチエイジング効果がある。

これらのナッツ類の健康効果を把握した上で、自分に合わせた摂取を心掛けてください。

 

最後に、栄養豊富なナッツ類ですが、高カロリーなので食べ過ぎへの注意が必要です。一日に片手一杯(25g程度)にしましょう。また表示を見て、油で揚げたものや塩分の多いものも避けるべきです。

(なお本文中の下線部については、あさイチ「夏はナッツで美しく!」(NHKTV:2019.8.20)の情報を参考にしました。)