Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

海の野菜と呼ばれる「海苔(のり)」の健康効果

海苔の原料である藻類は、海の栄養分を吸収して成長しますので海の野菜と呼ばれています。地球上で水があれば生息し得るので、極寒の地や火山性の台地など食用植物が獲れない地域では、食物としての役割を担ってきました。

本報では、この藻類から作られる海苔の健康効果についての情報を提供(更新リブログ)します。

 

          

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まず海苔の種類です。

加工方法の違いにより、生海苔乾燥海苔焼き海苔味付け海苔青海苔に分かれますが、現在の日本ではおにぎりや巻き寿司に使われている焼き海苔(板海苔)が主流です。

 

次に海苔の栄養価(100g当たり)です。

焼き海苔は水分がほとんど含まれていないので、その分栄養成分が濃縮されており、栄養の宝庫と言っても過言ではありません。

タンパク質が約40gと豊富(海の肉)で、炭水化物もほぼ同量含まれ大半は食物繊維で糖質は少ないので、低エネルギーと言えます。脂質は数g程度で少ないのですが、青魚に多いと言われているEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富に含まれています。ビタミンはD以外の12種類を含み、中でも葉酸が多いのが特徴です。ミネラルではヨウ素の多さが目に付きますが、カリウムや鉄も豊富です。

総合的には、1)ビタミンB1,B2が糖質を効率よくエネルギーに変え、疲労回復が期待できる2)鉄,B12,葉酸貧血予防に効果的です、3)海苔の約1/3を占める食物繊維(ポルフィランなど)は整腸作用に優れている4)その他タンパク質やヨウ素の豊富さも注目です。

 

最後に確認ですが、板海苔の基本サイズは21cm×19cmで1枚の重さは3gですので、一日によく食べても10gに届くかどうかです。また海苔は、三大旨味成分であるグルタミン酸(アミノ酸)に、イノシン酸グアニル酸(共に核酸系)を含んでいて、「日本の味」とも言われています。

栄養素の量や割合を鵜呑みにせず、海苔は納豆やシジミの味噌汁との相性は抜群で乳製品とも合いますので、効率の良い飽きない食べ方を工夫しましょう。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

秋が旬の果物「柿」には、医者いらず(?)の健康効果あり

秋が旬の果物と言えば、桃や梨、イチジクやブドウもありますが、その色から最も秋を連想するのは「」ではないでしょうか?

また柿は、「柿が赤くなれば医者が青くなる」と言うことわざもあるように、栄養に優れ嬉しい健康効果もありますので、改めて紹介します。

 

 

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先ずは栄養・健康成分(生の甘柿100g当たり(内、水分83g)、括弧内は干し柿(水分24g))を示し、→印で効果・効能を明らかにします。

・カロリーは60kcal(280kcal) →干し柿は水分が少ない分、糖質が多くカロリーも高い

三大栄養素では、糖質が14g(57g)あるが、タンパク質や脂質は0.5g以下

・ミネラルではカリウムが170mg(670mg)と多い → カリウムは体内の余分な塩分(Na)を排出し、高血圧予防むくみ解消に効く

・ビタミンではAが1mg(4mg)、Cが70mg(2mg)と豊富 → A(カロテンやクリプトキサンチン)が目の機能を維持し、C(干し柿では激減)は抗酸化作用がありかつコラーゲン生成も促す

・食物繊維は1.6g(14g)で、大半が不溶性 → 便秘改善や腸活に有効

・渋み成分として、ポリフェノールの一種であるタンニンを含む → 抗酸化作用があり二日酔いの防止にも効く、また柿渋が試験管レベルで新型コロナウィルスを不活性化するという報道があったばかりです

 

次に食べ方です。

皮を剥いて生で食べるのが一般的ですが、皮や実との間に多くの栄養があるので、皮ごと食べる(冷やすと甘さが増す)のが一番です。

干し柿にすると水分が減って含有成分が濃縮される(但し、ビタミンCは激減)ので、栄養効率は上がりますが、食べ過ぎないようにしてください。

熟して軟らかくなってしまった場合には、冷凍してシャーベットにすると美味しく食べられます。

 

この様に、栄養豊富でその健康効果も高い柿ですが、食べ過ぎないように注意する必要があります。その理由の一つは、東洋医学において寒涼性、つまり体を冷やす食べ物であるからです。もう一つは含有成分のカリウムが利尿をタンニンが貧血を引き起こすからと言われています。

これからが旬の柿は値段も手頃になりますので、是非、食後のデザートやおやつの時間に取り入れましょう。

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秋の味覚を代表する「キノコ」、その健康効果は?

これからが旬の秋の味覚を代表するのが松茸をはじめとする「キノコ」ですね。各種のキノコが店頭を賑わし、料理番組でも取り上げられています。しかし、その健康効果についてはあまり周知されていないようですので、ここでまとめてみます。

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まず栄養成分から見たキノコに共通の健康効果を挙げます。

・乾燥キノコ、特に天日干ししたものにはビタミンDが豊富で、カルシウムの吸収を促して骨粗鬆症の緩和や予防効果

多種類のミネラルを含有しており、特にカリウムにはナトリウムの排出作用、リンには骨や歯の形成作用

低エネルギー(生・ゆでのキノコではほぼ20kcal以下/100g)で、健康的なダイエット効果

食物繊維が豊富(特に水溶性より不溶性のものが8割前後)で、便通改善や有害物質の排出作用

 

また、キノコ別に固有の有効成分も明らかになっています。

・多くのキノコに含まれるβ-グルカンには免疫力向上や抗腫瘍効果、シイタケマシュルームエリタデニンには血中コレステロール低下作用、タモギタケに代表されるエルゴチオネインには抗酸化作用

 

さらに調理の関わりで言えば、シイタケには旨味成分のグアニル酸が含まれ、マイタケにはプロテアーゼによる肉の軟化作用があります。

 

キノコのことわざで「香りマツタケ、味シメジ」と言われますが、そのおいしさは、まず「香り」、次に肉質から来る「歯触り」、そして「旨味」ではないでしょうか。

 

生ものの鮮度は落ちやすいので注意して冷凍品や乾物の活用も考えて、秋の食卓でいろいろなキノコ料理を楽しみ、かつ健康を後押ししてみてください。

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ブーム中の発酵食品「甘酒」は、今こそ飲むべき!

ここ数年前くらいから「甘酒ブーム」と言われており、店頭には多種多彩な甘酒製品が並んでいるのを目にします。甘酒は俳句では夏の季語で、夏バテを防ぐ栄養ドリンクの意味合いがあったようです。

そこで本報では、甘酒の健康効果と具体的な摂り方について紹介(更新リブログ)します。

 

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そもそも甘酒には2種類あり、一つはこれまで一般的に飲まれてきた「酒粕甘酒」で、もう一つはブームの火付け役で最近脚光を浴びている「麹甘酒」です。後者は、元々味噌や醬油造りに使われる米麹を利用して作られるもので、ブドウ糖を始めとする多くの栄養素を含む(日本食品成分表(文科省,2015年版・七訂)ことから「飲む点滴」とも呼ばれています。アルコールは一切含まれていません。

期待できる健康効果を挙げます。

・糖質の大半がブドウ糖だが、オリゴ糖も含まれていて腸まで届いて善玉菌のエサとなり、食物繊維とも相まって腸内環境を整備してくれます。 

・タンパク質には9種の必須アミノ酸が全て含まれており良質です。

・ビタミンB群は効率的なエネルギー代謝に関わり、体力アップや美容に効果的です。

・その他麹甘酒には、麹が作る様々な成分による副次的な効果も期待できます → アミラーゼやプロテアーゼ等の消化酵素による消化・吸収の促進コウジ酸による美白効果エルゴチオネインによる抗酸化作用など。

 

飲む点滴と言われる大きな理由は、単糖であるブドウ糖が速やかに吸収されてエネルギーに代わり、活力を与えるからです。夜からの絶食期間明けで目覚めて直ぐの朝に飲むのがベストです。そのまま直接飲んでもOKですが、苦手な人は、牛乳や豆乳、ヨーグルトと混ぜて飲むと良いでしょう。

 

1日に料理も含めての摂る量ですが、ブドウ糖が多いことを考慮すれば、200mL程に留めるのが適量でしょう。一度にガブ飲みしなければ、オリゴ糖や食物繊維も含まれているので、急激に血糖値が上がる恐れはありません。

飲むだけでなく料理へも応用することを勧めます。多くのレシピが紹介されていますので、参考にしてください。

 

甘酒には多くの市販品が出回っていますが、パック詰めされる際に加熱殺菌(麹菌も)されていますので、熱に弱い酵素や栄養成分も影響を受けているはずです。従って継続的に飲用する場合には、家庭でも炊飯器や甘酒(ヨーグルト)メーカーがあれば、比較的簡単に手作りの「生」の麹甘酒が造れますので、是非チャレンジしてみることをお勧めします。

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夏の疲れに、酸味のある発酵調味料「酢」の健康効果を期待!

当該ブログの前報で紹介した「梅」に引き続き、酸っぱい繋がりでの「酢」の健康効果を情報を提供(リブログ)します。

 

どこの食卓にも必ずある定番の酸味調味料に「お酢」があります。その醸造技術はお酒のそれとともに、4,5世紀頃に中国から伝わったとされています。酢は、原料成分のブドウ糖など糖分をアルコール発酵により(エチル)アルコールにし、更にそれを酢酸発酵で酢酸にしたものです。酢の英語はビネガー(vinegar)と言い、その語源は「ワインが酸っぱくなったもの」から来ています。

原料となる食材は、穀類(米や麦など)や果実(リンゴやブドウ)など様々で、日本では穀物酢、米(黒)酢、リンゴ酢などがあります(表示の詳細は醸造酢の日本農林規格)が、世界では、ワインビネガー(仏)、モルトビネガー(英)、ホワイトビネガー(米)、バルサミコ酢(伊)などがポピュラーです。

酢は世界中で親しまれており、特に夏の疲れが溜まる時期には最適な調味料なので、紹介します。

 

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酢の主成分は酢酸で3~5%を含み、他にクエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸が酸味の成分です。その他、ビタミンB群や特に黒酢にはアミノ酸が含まれています。

これらから期待できる健康効果は次のようです。

 ・疲労回復やスタミナアップクエン酸などが疲労物質を分解し、エネルギー効率を高める。

 ・便秘改善有機酸が腸の善玉菌の餌になるので、血行が良くなり、ぜん動運動が活発になる。

 ・食欲増進:酢のさっぱりとした酸味が唾液や胃液の分泌を促し、食欲を増進させる。

 ・減塩効果:酸味が、塩分を控えても物足りなさを補いおいしく感じさせる。

 ・ミネラルやビタミンCの吸収補助クエン酸キレート作用でCa等と結びついて吸収されやすくし、酢の酸性がビタミンCを護る。

その他、血圧低下効果、血中脂質低下効果や内臓脂肪減少効果、血糖値上昇抑制効果などが報告されており、高血圧、高脂血症動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病予防が期待できます。

 

酢の1日の適量は大さじ1~2杯(15~30mL)です。直接飲むのは、酸性が強くて食道や胃を荒らし歯を溶かすので、避けるべきです。効果的な摂り方としては、調味料なので調理(加熱しても栄養成分は壊れない)の際に利用するのが基本です。更に、酢ドレッシング酢ドリンクなどもお勧めです。

毎日少量を継続的に摂る食習慣で、その効果が実感できるはずです。是非、実践してみてください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

伝統食材「梅」の健康効果で夏バテ解消を!

日本古来からの伝統食材である「」は、元々薬として使用されており、主に加工して保存食として食されてきていました。特に夏場の食欲が低下しているときには、酸っぱいものが効果的と言われていますので、改めて梅の健康効果を紹介します。

 

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梅と言えば、酸っぱいものの代名詞にもなっていますが、その成分はクエン酸」等の有機です。

先ず、酸っぱさで唾液の分泌を促して食欲を増進させ、胃液や消化酵素の分泌も高めて、消化吸収を助けてくれます。

次に、クエン酸やリンゴ酸はエネルギー代謝系の成分そのものでもあり、これら栄養素のエネルギーへの変換を進めるので、疲労回復効果が見込めます。

更に、クエン酸には微生物の繁殖を抑える効果があるので、おにぎりや弁当に入れると腐りにくく、食中毒の予防にも繋がります。

その他、抗酸化作用により老化防止効果のあるポリフェノール(梅リグナン)やビタミンEも含まれ、またカルシウム・鉄なども豊富で、クエン酸はこれらのミネラルの吸収を促す作用も持っています。

最近、梅干しを毎日食べる人はBMIが低いという研究結果も報告され、バニリンという成分の脂肪燃焼効果が期待されています。

 

このような健康効果から、「その日の難のがれ」とか「一日一粒で医者いらず」などと称されているのも、頷けるはずです。

 

最後に梅の摂り方です。

梅干しで食するのが一般的ですが、塩分には注意が必要です。大粒の梅干し1個(10g前後)に含まれる塩分(多いもので2gから減塩もので1g以下まで様々)の表示を確認し、1日に1,2個に留めるべきでしょう。

更に梅ジュースや梅酒として飲む、梅ジャム梅ドレッシングとして使う、梅の各種レシピを利用してアレンジする、などの摂り方もあります。

いずれにしろ、健康パワーを秘めた「梅」をこれからの夏バテ解消に、是非、役立ててください。

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熱中症予防の水分補給で、注意する点は?

遅い梅雨明けと共に、猛暑の夏がやって来ました。

 

この時期に必ず急増してくるのが熱中症で、その予防としての水分補給が重要であるとされています。

しかしその水分補給も、喉が渇いたと自覚してから飲んだのでは手遅れ、とされており、一口に水分と言っても何をどれだけ飲むのかも?ですね。

 

そこで本報では、水分補給として具体的に、「何をどれだけ、どんなタイミングで飲むのか」を紹介します。

 

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始めに知って欲しいのは、生命維持に必要な水分量は約2.5L(リットル)で、その内食事とそれに伴う代謝で約1.3Lの水分を摂取できますので、残りの約1.2Lを飲料水で摂る必要があるという事です。

但しこれは一般的な活動量の場合での目安であり、汗や尿の排出の多少によって個人的に変わってきます。

特に夏場は大量の汗をかくので、その分多めの水分補給が必要ですし、喉の渇きを感じた時には既に脱水が始まっていると心得てください。

 

それでは具体的な水分補給法です。

(1)何を飲むか。水、茶類、清涼飲料、スポーツ飲料等がありますが、大量に汗をかいた後には塩分補給も必要なのでスポーツ飲料がお勧めです。逆に清涼飲料には大量の糖分が入っているものもありますので、注意しないといけません。緑茶などカフェインの多いものやアルコール類は利尿作用があるので、控えるべきです。

(2)どんなタイミングで飲むか。先ずは、目覚めの1杯と寝る前の1杯の2杯(約400mL)を習慣づけてください。喉の渇きを感じる前に、定期的に飲むようにしましょう。

(3)どれだけ飲むか。目覚めと寝る前での0.4Lに加えて、残りは1L程になります。一気に大量を飲む(水中毒、低ナトリウム症の危険)のではなく、こまめに飲むのがベターです。

 

最近は軽度の脱水症状に適した経口補水液も普及してきましたし、その手作りレシピも公開されています。尿の色が濃くなると脱水症状気味だというサインでもありますので、適切な水分補給を心掛けて夏場を乗りきってください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)