Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

伝統的薬味「ショウガ(生姜)」の健康効果

気温が下がる冬場になると、体を温める働きをもつ「生姜(ショウガ)」が重宝されます。最近ではスパイシーな風味とともに、生姜湯がブームとも言われているようです。

そもそも生姜は、漢方では「百邪を防御する」と古くから処方されており、またデザイナーフーズプログラム(米国,1990年)では、がん予防効果の高い植物性食品の第一群にランクされていました。

そんな生姜の健康効果を、改めてまとめることにより紹介します。                            

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まず生姜の成分ですが、栄養素としてはビタミンB群やカリウムマンガン以外に、生姜特有の辛味成分が3つ含まれているのが特徴的です。香りの主な成分はシネオールです。

  1. ジンゲロール:生の生姜に含まれる辛味成分で、抗酸化作用を有していてアンチエイジング効果がある。体の表面を温める効果はあるが、発汗により後から冷めてくる。また強い殺菌力で食中毒予防になる。このジンゲロールは加熱により、ショウガオールとジンゲロンに変わる。
  2. ショウガオール:ジンゲロールと似た効能であるが、血行促進により体を表面ではなく芯から温める特徴がある(正に生姜湯の効果)。さらに脂肪燃焼などの新陳代謝を高める働きもある。
  3. ジンゲロン:ショウガオールとほぼ同じ働きで、香りも有している。

 

生姜の健康効果は、生姜ブームの火付け役を自認する石原結實医師によると、次のようになります。

体を温める(血管を拡張して血流をよくし、すべての内臓の働きを活発にすることによる)白血球の働きを活発にして免疫力を高める強心・利尿効果により「むくみ」をとる消化吸収を促進する

発汗・解熱作用がある消炎(炎症を抑える)、鎮痛作用を発揮する吐き気をとめる。船酔い、つわり、抗がん剤による吐き気に奏効抗菌、抗ウイルス、抗真菌作用がある「めまい」に効く鎮咳作用を有する血栓症脳梗塞心筋梗塞)を防ぐ健胃作用・抗潰瘍作用がある脳の血流をよくして「うつ」に効く

 

最後に即効性のある利用法です。生のスライスやおろしは、殺菌作用による食中毒予防や消化・吸収の促進が、生姜湯や味噌汁などの温めた飲み物や煮物などでは体を温める効果が、期待できます。

しかし摂り過ぎは胃腸の荒れを招くので、1日5~10g程度に留め、上手に付き合ってください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)