今話題の「MCTオイル」とは?、その注目点は?
油(オイル)と言えば不健康なイメージが付きまといますが、近年、多種ある油の差別化も進み、良質な油が注目を集めていて、中でも話題性が高いのが「MCTオイル」です。
当該ブログでも以前、「健康に良い油と悪い油」と題して3報(2019.6.20~)と「食用油の特徴とその使い方」(2021.3.12)で配信していますが、MCTオイルについては触れていませんでしたので、本報で改めて言及します。
先ずは、そもそもMCTとは何かについてです。
MCTとは、Medium Chain Triglycerideの頭文字で、中鎖脂肪酸を構成成分とする中性脂肪(油)のことです(ほとんどの記事では中鎖脂肪酸のことと書かれていますが、正確ではありません)。従って、MCTのTは油のことですからオイルの語は不要なのですが、矛盾を承知で商品名としての判りやすさを優先したのでしょう。
さて少し専門的になりますが、油(トリグリセリド)はグリセリンに脂肪酸が3つ結合した構造です(左下図)。
そして、脂肪酸は炭素(C)の鎖の長さによって3種類に分類されます(右上図)。
つまりMCTオイルは、3つの脂肪酸が全て中鎖脂肪酸から成っている訳です。天然のココナッツ油にも中鎖脂肪酸が含まれています(約60%)が、市販のMCTオイルは100%中鎖脂肪酸に精製されたものです。
一般的な食用油は脂肪酸が全て長鎖脂肪酸で、摂取後トリグリセリドが一部分解されて体内に吸収されると、大半は再びトリグリセリドに再合成されて脂肪として蓄積されます。
ところが長鎖ではなく鎖が短い中鎖脂肪酸は素早く吸収されて、体脂肪に成らずにエネルギー源として消費されやすいのです。
MCTオイルの健康に関わる注目点をまとめると次の様になります。
1)脂肪に成りにくく、エネルギーとして消費される。
2)脂肪燃焼工場であるミトコンドリアを活性化し、効率よく脂肪をエネルギー化する。
3)ケトン体を生成し、筋肉や脳のエネルギーになる。
要するに、1),2)からは肥満予防(ダイエット効果?)、3)からは運動の持久力向上や認知症予防がそれぞれ期待できます。
最後にMCTオイルの摂り方です。
油ですが加熱調理には不向き(発火の恐れあり)なので、生で摂取(サラダやスムージーの他、下図参照)ください。一度の摂取量は小さじ1杯(5g)位から始めましょう。速効を期待しての大量摂取は腹痛や下痢に繋がるので、控えてください。
多種ある油には、それぞれ特徴があります。既述のココナッツ油の他、オリーブ油、ゴマ油、米油、亜麻仁油やエゴマ油等々・・・。一つの油に拘るのではなく、TPOに応じての使い分けが必要です。そこに新たにMCTオイルを加えることをお勧めします。
((*)イマカラ、(**)日清オイリオグループ株式会社のネット記事から引用。また、本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)