Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

水分補給に「経口補水液」、スポーツドリンクとの違いは?

熱中症予防には水分補給が重要で、身体状況に応じた対策(何を、何時、どれだけ飲む)については、当該ブログでも配信(2020.8.21 & 2021.7.23)しましたが、その中で「経口補水液」は紹介のみに留まっていました。

 

そこで本報では、経口補水液の詳細について紹介し、スポーツドリンクとの違いについても言及します。

 

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先ずは経口補水液(例:OS-1)と、一足先に普及が進んだスポーツドリンク(例:ポカリスエット)の成分的な違いは次のようになります(但し、炭水化物の大半は糖質)。

   

        成分

エネルギー

炭水化物

食塩相当量

       (単位)

 (kcal)

  (g)

  (g)

ポカリスエット(100mL)

 25

 6.2

 0.12

OS-1(100mL)

 10

 2.5

 0.29

 

つまり、スポーツドリンクは食塩などの電解質濃度が低くて糖質濃度(エネルギー)が高いのに対して、経口補水液電解質濃度が高くて糖質濃度が低いのが特徴です。

 

スポーツドリンクは、発汗に伴う水分と電解質に加えて糖によるエネルギーの補給をスピーディーに行い、体の疲労回復を助けています。

経口補水液、水に食塩(NaCl)と糖を一定の割合で配合することにより体液とほぼ同じ浸透圧にして、体への吸収を高めているので脱水症状の改善には最適です(決して美味しいとは言えませんが・・・)。

 

経口補水液は、市販品としてペットボトルやゼリー、粉末もありますが、手作りで簡単に作ることも出来ます。

  砂糖 40g + 食塩 3g + レモン果汁 50mL  →  水で1L

 

水分の吸収率を高めるには、1L中にブドウ糖として2%必要なので、ブドウ糖が半分含まれている砂糖は4%で40g要るが、単体のブドウ糖(市販品あり)なら20gで良くて甘味もエネルギーも控えられます。また、果汁を入れることで美味しくなりカリウムの補給にもなります。

但し、糖が入っており無菌でもないので飲めるのは1日の内で、凍結保存や他の液体を混ぜることも避けるべきです。

 

結論として、軽いスポーツ時の水分補給にはスポーツドリンクで良いのですが、多量の発汗を伴う場合や熱中症による脱水の場合には、迷わず経口補水液(がぶ飲みせず小まめに)を活用しましょう。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)