Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

不老不死の果物「イチジク」、栄養豊富で旬真っ盛り!

イチジクが店頭を賑わせていますが、旬は6月~11月頃までで、夏果(6~8月)と秋果(8~11月)とがあり、今はその移行期でしょうか。

 

無花果という漢字が当てられていて花がない果物かと思いますが、粒状の部分が花で、そこを食べているのです。

 

       

 

不老不死あるいは不老長寿の果物と謂われるのは、その栄養の豊富さ所以なので、本報ではその辺りを明らかにします。

 

まずはイチジク(生)に含まれる主な栄養成分(100g当たり)を、旬が同時期の日本梨とぶどう(皮なし)で比較したのが下表です。

 

食品/成分

 エネルギー

 糖質

食物繊維

 K

 Ca

 鉄

  (単位)

  (kcal)

  (g)

      (g)

(mg)

(mg)

(mg)

イチジク(生)

  57

11.0

   1.9

170

 26

 0.3

日本梨

  38

   8.3

   0.9

140

   2

 0.1

ぶどう(皮なし)

  58

14.4

   0.5

130

   6

 0.1

 

やはり、イチジクの食物繊維とカルシウムの豊富さが目に付き、カリウムや鉄も多いことが判る。また、代謝に関わるビタミンB群もB12以外はバランスよく含まれている。

 

食物繊維1.9gの内、0.7gが水溶性のペクチンで、残りの1.2gが不溶性。

ペクチンは血糖値上昇抑制作用やコレステロール低下作用があり、不溶性食物繊維には腸内環境を整え便秘改善に効果がある。

 

ミネラルのカリウム、カルシウム、鉄の効能については、当該ブログでも幾度となく紹介しているので、簡潔に記します。

カリウム → 余分なナトリウムを排泄し、高血圧やむくみを予防・改善

・カルシウム → 骨や歯の形成に必須の成分で、骨粗鬆症の予防に効果的

 ・鉄 → 貧血予防に効くが、非ヘム鉄なのでビタミンCとの同時摂取で吸収率を上げるのがベター

 

その他、フィチンというタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)だけでなく、アミラーゼやリパーゼも含むので、三大栄養素の消化に役立つ。

また、果肉の赤紫色はアントシアニン(ポリフェノールの一種)で、抗酸化作用を有す。

 

今の旬の時期には生食それも夕食に食べる(血糖値が上がりづらく、ミネラルが豊富)のがお勧めで、デザートやサラダに取り入れてください。

 

ドライイチジクなら年中手に入るし、水分が抜けていて上記の生の栄養成分がより豊富(ほぼ5倍前後に増加)です。高エネルギー・高糖質なので、食べ過ぎには注意して、間食として少量食べるのがお勧めです。

 

生のイチジクは粒々で柔らかくてねっとり感もあるので、苦手意識を持つ方も多いようですが、この際、手に取ってみては如何でしょうか。

形がふっくらとしていて張りがあり、先端が少し割れていると熟していて甘いですよ。

 

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)