Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

秋の味覚を代表する「キノコ」、新顔にタモギタケ!

キノコ(茸)」は、秋になると話題になって店頭でも目立つようになるので、旬だと思いますね。

もちろん野生のキノコは、大半が秋に子実体を形成するので当になのですが、現在流通しているキノコのほとんどは人工栽培されており、年中出回っています。そういう意味では旬がなく、唯一秋が旬と言えるキノコは松茸(人工栽培が未完)のみです。

 

       

 

当該ブログでも、“秋の味覚を代表する「キノコ」と題して(あえて旬という言葉を避けている)、この時期に2報を配信済み(2020.9.19 & 2021.11.12)ですが、本報では、既報の要約に加えて、新顔の「タモギタケ」について紹介します。

 

まず、栄養成分から見たキノコに共通の健康効果を挙げます。

 ・乾燥キノコ、特に天日干ししたものにはビタミンDが豊富で、カルシウムの吸収を促して骨粗鬆症の緩和や予防効果

 ・多種類のミネラルを含有しており、特にカリウムにはナトリウムの排出作用、リンには骨や歯の形成作用

 ・低エネルギー(生・ゆでのキノコではほぼ20kcal以下/100g)で、健康的なダイエット効果

 ・食物繊維が豊富(特に水溶性より不溶性のものが8割前後)で、便通改善や有害物質の排出作用

また、キノコ別に有効成分も明らかになっています。

 ・多くのキノコに含まれるβ-グルカンには免疫力向上や抗腫瘍効果、シイタケとマシュルームのエリタデニンには血中コレステロール低下作用、タモギタケに代表されるエルゴチオネインには抗酸化作用

 

キノコと言えば、ことわざで「香りマツタケ、味シメジ」と言われますが、改めて人気のキノコは、マツタケやシメジの他にシイタケ、マイタケ、エノキ、ナメコ、エリンギ、キクラゲ、マッシュルーム等で、大半の方が数種は既食されているはずです。

 

しかしタモギタケは、そもそも北海道や東北地方にしか自生せずかつ人工栽培も難しく「幻のキノコ」と呼ばれていたのですが、近年やっと出回ってきたようです(まだ生をスーパーでは見かけないかも?)。

 

    

         (three-be.co.jpより引用)

 

このように黄色の傘が珍しく「黄金シメジ」の別称もありますが、注目すべきは豊富な微量栄養成分や固有成分なので、以下に示します。

 ・低カロリーなのに、ビタミンB群(B1・B6・ナイアシン・ビオチン・葉酸パントテン酸等)やミネラル(銅・セレン等)が豊富で、食物繊維(特にβ-グルカン)も多い

 ・上記で示したエルゴチオネイン(アミノ酸誘導体の一種で抗酸化成分)含有量は断トツの1位

 ・出汁キノコとも呼ばれ、旨味成分のグルタミン酸イノシン酸グアニル酸をバランス良く含む

 

タモギタケは、出汁が良く出て食感も良く、エルゴチオネインは水溶性で熱にも強いので、煮汁も一緒に味わう鍋やみそ汁はぴったりの料理です。

まだまだ店頭で見かけることは希有(通販で、生や乾燥品あり)で、しかも高価なので、入手し難いですが、偶々の贅沢品として、あるいは今後の値下がりを期待して、食材買いの際に頭の隅に入れて置くのはいかがでしょうか。

 

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)