飲酒と健康(続報)
飲酒の機会が多くなる年末年始のこの時期に、丁度2年前、当該ブログの最初の投稿(2018.1.11&12)が「飲酒と健康」(その1:お酒の種類、アルコール度数と適量、その2:酔いと上手な付き合い方)でした。今回その続報として、上積みの2つの情報を提供します。
まず一つ目は、アルコールの分解に関してです。
前報のその2でも紹介しましたが、日本人は約半数がアルコールを分解する酵素系が弱いか欠けている人で、遺伝的にお酒に弱い人種なのです。しかし、お酒を飲み続けていると、前よりは強くなったかな?、と実感することがあるはずです。
実はアルコールの分解にはもう一つの経路があるのです。ミクロゾームアルコール酸化系(MEOS)といい、お酒の慢性摂取により酵素が誘導されることが判っています。その結果として、アルコールのアセトアルデヒドへの分解が速まり、悪酔い感が薄らぐのでしょう。ただし、飲むことを控えると酵素誘導も止ってしまうので、元の木阿弥になります。また飲酒によりMEOSが活発になると、他の薬物代謝系が抑制されるというリスクもあるようです。
いずれにせよ、「お酒は程々に」を肝に銘じるべきでしょう。
二つ目は、老化の主因の一つである「糖化」は飲酒と関係があるのか、に関してです。
この糖化に関しても、当該ブログ(老化の元凶「糖化」とは?(2018.11.2&9))で2報に渡って紹介済みです。つまり糖化は、糖がタンパク質と結合して終末糖化産物(AGEs)という産物を生成することにより体を焦げさせる(老化に繋がる)ことです。
お酒(アルコール)は糖ではないので糖化とは関係ないと思いますが、実は関係しているのです。
糖がタンパク質と結合する過程で、その中間体としてアルデヒドができることによりAGEsの生成が進みます。飲酒するとアルコールは酸化分解されてアセトアルデヒドになりますので、このアルデヒドが体内に多くできる人程、糖化が進み、AGEsの生成が促進されるわけです。
このブログの頭でも再掲したお酒に弱い(顔が赤くなる等)人は、アセトアルデヒドを分解する酵素が弱いか欠けているわけですから、特に注意すべきでしょう。
最後に、厚労省の示す節度ある適度な飲酒量は純アルコールで20g/日程度ですが、週に一日は休肝日を設ける、食事時にゆっくりと飲み寝酒は避ける等にも留意することを明記しておきます。
(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)