Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

腸内フローラ研究が進化、「腸活」の見直しを!

健康にとって腸内環境が重要であるのは周知のことで、その環境を整えることを「腸活」と称し、関心を集めています。

 

当該ブログでも既に数回取り上げていますが、先ずは半年ほど前の配信(2022.6.24)を確認してください。

 

本報では、腸活ブームの中、疎かにされがちな基本に立ち返って、腸活をより効率化できるように導きたいと思います。

 

       

               (ViVi.tvより引用)

 

基本1:乳酸菌とビフィズス菌は似て非なるもの

ヨーグルトに含まれている菌ですが、乳酸菌とビフィズス菌とは全く異なっています。

 ・乳酸菌:主に小腸に棲み、大腸には届かない。乳酸を生産することにより小腸内を酸性にして、有害菌の増殖を抑える。→ 明治ブルガリア・プロビオ、ヤクルトソフールフジッコカスピ海など

 ・ビフィズス菌:主に大腸に棲み、乳酸と酢酸を生産して有害菌の増殖を抑える。この酢酸が多くの効能をもたらすと注目されている。→ 森永ビフィダス、グリコBifix、ダノンビオなど

どちらの菌も大事ですが、目的によって摂取し分けることが大切になります。

 

基本2:発酵食品と食物繊維はセットで不可欠

発酵食品は生きた有用菌を食事で摂る(プロバイオティクス)ことで、小腸や大腸内の有害菌の活動を抑えてそれぞれの環境を整える。→ 乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、麹菌などを含む食品

食物繊維は有用菌を増やすための餌(プレバイオティクス)で、有用菌を育てて健全な腸内フローラを維持する。→ 特に有効なのが水溶性食物繊維で、リンゴやバナナなどの熟した果実、海藻類、大豆、大麦、寒天など

 

基本3:タンパク源は植物性が良い

赤肉などの動物性タンパク源は高脂肪食であり、腸内フローラを変えてしまうほどの悪影響をもたらす。動物性でも魚類はOKで、植物性の大豆などの豆類は食物繊維も同時に摂れるのでベター。

食物繊維摂取が少なく高脂肪食の人は腸内環境が悪化しており、太っているのに筋力が落ちている傾向が見られるので、注意が必要です。

 

腸内フローラの研究は、近年遺伝子解析ができるようになって飛躍的に発展し、数百種類・100兆個の菌を、従来の善玉菌・悪玉菌・日和見菌という単純な分類はできない、という趨勢です。

そして最新の研究では、日本人の腸内環境の違いを5つのタイプに分けられることが判り、タイプ別に改善法を提案できるようになるとのこと(次の機会に紹介できれば)。

 

腸内フローラは免疫機能をはじめうつ病パーキンソン病動脈硬化、糖尿病、肥満、炎症性腸疾患、リウマチ、アトピー性皮膚炎など、さまざまな病気や病態に関連していることが明らかになっています。

 

健康増進・病気予防のために腸活を今一度見直し、上記の基本1~3を認識した上で、先ずは摂取率の低い食物繊維(中でも水溶性)を、しっかり摂るようにすべきではないでしょうか。

 

(本情報は、内藤裕二氏(京都府医大・教授)への取材を基にした婦人画報の記事(2022.10.25配信)を参照し引用・改編しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)