体調を司る体内時計(その1:定義とその役割)
昨年のノーベル医学生理学賞は本庶 佑京大特別教授で話題になりましたが、一昨年の同賞を受賞した「体内時計」のことを、知っていましたか?
体内時計とは、私たちの体の中にある「一日のリズム」、すなわち朝になると血圧や心拍数が上がり始めて活動状態になり、夕方には体温が上がって夜には自然な眠りに導かれるなどのサイクルを刻むメカニズムを司っているものです。1日が24.5時間の周期です。地球上の時計が刻む生活時間の24時間とは少しズレています。このズレをうまく調節しないで生活していると、体調不良や様々な病気の原因になると言われています。
脳の視交叉上核に「親時計」があり、胃・肝臓・血管・皮膚など様々な末梢組織に「子時計」があることもわかっています。
親時計の周期は24.5時間ですが、子時計のそれは臓器や細胞によってまちまちなのです。したがって、バラバラで動いている身体の組織に対して、1日のスタートを「よ-いドン」と合わせてやる必要があり、それが親時計の重要な役割です。
この体内時計を調節しているのがメラトニンというホルモンで、その生産量は光の明暗に左右されます。朝日を浴びると体内時計がリセット(「よーいドン」)され、メラトニンの分泌が止まります。その後14~16時間経過(朝7時に起床すると夜の9~11時頃)すると、メラトニンが分泌され始めて夜にかけて徐々に高まっていき、休息状態から眠気を感じるようになります。
次報では、体内時計に影響を及ぼす「食事」について、時間栄養学の成果を紹介します。