Dr.トムの 「食と健康」 情報ブログ

健康の視点を通して、「食」に関するタイムリーな情報を、専門家の立場から提供します。一記事は1000字程度にまとめ、ほぼ週一のペースで配信する予定です。 読者にとって、ヘルスリテラシーを養う一助になれば幸いです。

秋が旬の果物は豊富、美味しさの秘密「甘味」を探る!

実りの秋が旬の果物と言えば、出回り順に桃・イチジク・ブドウ・梨・リンゴ・柿などが挙げられますが、美味しさの秘密の第一は甘味ではないでしょうか。

 

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そこで本報では、秋に旬を迎える果物の「甘味」について主に考察します。

 

まずは、甘味成分の糖質量とそれを構成する糖の種類と量を比較します(100g当たり)。

              糖質(g)    果糖(g)    ブドウ糖(g)    ショ糖(g)
  白桃           8.4           0.7               0.6                  6.8 
  イチジク               11.0           5.2               5.6                   0
  ブドウ                   14.4           7.1               7.3                   0 
  日本梨                     8.3           3.9               1.4                  3.0 
  西洋梨                     9.2           6.0               2.4                  0.7 
  リンゴ(皮つき)      12.7           6.3               1.4                  5.0 
  甘柿                       13.3           4.5               4.8                 3.8

 

糖質の種類は熟すにつれて、デンプンが小さな糖に分解されて甘くなっていきます。果物は果糖が主成分と思うでしょうが、上表のように3種の糖の割合は果物により様々(主要の糖は太字)です。

完熟に近い果物の甘味の強さは糖質量にほぼ比例しているのですが、正確には甘味の程度が異なる果糖(甘味度1.3)、ブドウ糖(同0.6)、ショ糖(同1.0)の割合に依ります。

        果物の甘味度=果糖量×1.3+ブドウ糖量×0.6+ショ糖量×1.0

従ってそれぞれの果物の甘味度は、白桃 8.1、イチジク 10.1、ブドウ 18.4、日本梨 8.9、西洋梨 9.9、リンゴ 14.0、甘柿 12.5となり、ブドウの甘味が際立ちます。

 

では、口に入れた際に感じる味覚としての甘さの度合いは上記の甘味度の順かと言えば、そうではなく、共存する酸味により相殺されるのです。

 

このことを考慮した食味の指標を「糖酸比と言い、糖度(%=100g当たりのg数)を酸度(%)で割った値で、高いほど甘く低くなるにつれて酸っぱく感じるというわけです。

例えば、糖度は同じ10%のA,B,Cの3品種があって、酸度がAは0.2%、Bは0.3%、Cは0.5%と異なる場合のそれぞれの糖酸比は次のようになります。

  A=10/0.2=50 B=10/0.3=33 C=10/0.5=20 

つまり、Aを最も甘く感じ、次がBで、Cはむしろ酸っぱく感じるはずです。

 

この3品種をリンゴに当てはめると、Aは王林津軽などの甘味種で、Bはふじやジョナゴールドなどの甘酸適和種、Cは紅玉などの酸味種になります。

なお甘酸適和種(美味しい目安)の糖酸比は果物の種類によって異なっており、ミカンは12,3と低く、バナナでは40程と高いです。

店頭で糖度が表示してある果物を見かけますが、同じ果物でも品種が違えば、多少の糖度差はあまり意味を持たないかもしれませんね(上記リンゴの例)。

 

いずれにしても果物の美味しさは、甘味が大きなウェイトを占めていますが、他にも瑞々しさやシャキシャキ感、香りなども重要な要素です。特に多くの品種が出回るリンゴや梨などで、品種の違いを実感してみてはいかがでしょうか。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

食欲の秋を代表する食材「サツマイモ」は、焼き芋が一推し!

秋と言えば「食欲の秋」と謂われますが、その由来は、秋になると多くの食材が旬を迎えるのでいつもより食欲が増す、とのこと。

本報では、そんな秋が旬の食材を代表する「サツマイモ」について紹介します。

 

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先ずはサツマイモの主な栄養・健康成分の含有量ですが、ジャガイモと比較(皮なし、茹で、100g当たり)すると次の様になります。

 

            エネルギー    タンパク質     糖  質    食物繊維     ビタミンC
 (単位)     (kcal)     (g)     (g)     (g)       (mg)
ジャガイモ         76           1.9            15.1          3.5              11
サツマイモ       131           1.2            30.3          2.3              29
 

この表で見る限り、サツマイモはジャガイモに比べて、タンパク質や食物繊維ではやや劣るが、糖質でほぼ2倍、それを受けてエネルギーも約1.5倍程ある。但しGI値が、白米飯(サツマイモよりエネルギー・糖質とも微増)の70に対して、サツマイモは50程と低くて血糖値を上げ難い

ビタミンCは果物並みに多く、しかもデンプンに守られて加熱による損失が少ない

またヤラピンという特有成分(切り口から浸み出る白い液体)があり、食物繊維との相乗効果で便秘改善に効く。

 

サツマイモも特徴は甘くて栗のような美味しさなので、芋ご飯やおかずにも利用できますが、やはりおやつが定番(焼き芋、スイートポテト、大学芋など)ではないでしょうか。

中でも一推しは「焼き芋」で、今や第4次ブームと謂われており、熱々を食べるだけでなく冷やし焼き芋冷凍焼き芋まで出てきています。

 

焼き芋は家庭でも電子レンジやトースターなどでも作れますが、美味しくするコツはじっくり加熱することです。すなわち70℃前後を保つと、酵素がデンプンを麦芽糖に分解して甘味が増します。

もう一つより美味しくするには、追熟して甘くなったイモを使うことです。買ってきたら、湿気の少ない常温の場所で2~3週間保存すると良いでしょう。

 

最後にサツマイモの品種ですが、品種改良が進んで50種類以上が出回っています。

焼き芋と言えば安納芋が火付け役で有名ですが「ねっとり系」で、紅はるかもそうです。「ほくほく系」では紅あずま、両者の中間の「しっとり系」には鳴門金時や新種のシルクスイートがあります(この食感の系統別分類は諸説あり)。

中身の色も黄色が一般的ですが、紫色(アントシアニンパープルスイートロード等)やオレンジ色(β-カロテンでハロウィンスイート等)もあります。

 

食欲の秋にスイーツは別腹とか。焼き芋を始めとするサツマイモスイーツを楽しんでみては如何でしょうか。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

秋の夜長に、睡眠の質を左右する「朝食」の摂り方は?

朝食の重要性(長時間絶食後のエネルギー補給、体温の上昇、生体リズムの調整など)については、かなり周知されてきており、当該ブログでも配信済み(2020.5.15)です。

 

一方睡眠に関しては、季節の変わり目には眠りが浅くなるとか、秋の夜長には夜更かしをしがちとかで、睡眠不足や睡眠の乱れが体の不調に繫がりますし、疲労の回復には良質の睡眠しかないとも言われています。

 

本報では、特に朝食と睡眠との関わりについて、改めて紹介します。

 

            f:id:dr-tomu:20210924173356j:plain                                                                               

睡眠の誘導に中心的な役割を果たしているのが、睡眠ホルモンと言われる「メラトニンです。

このメラトニンは、幸せホルモンと言われるセロトニンを原料にして作られ、夜間(夜9時頃~朝9時頃)に分泌されます。

従って、朝食からセロトニンを作るのに必要な成分を食材として摂取し、昼間に充分に備えておくことがスムースな睡眠に繫がるわけです。

 

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         (大原薬品工業:「けんこう名探偵」より引用)

 

その成分と食材は次の通りです。

 ・トリプトファン必須アミノ酸なので良質のタンパク質(肉・魚・乳製品・大豆製品等)に含まれる。

 ・ビタミンB6:マグロ・カツオ・鮭などの魚類や鶏のささ身・むね肉、ニンニク・ゴマ等。

 ・糖質:穀類やイモ類などの主食や果物で、特に動物性タンパク質が主菜の場合に必要。

バナナは上記の3成分を含む優れものなので、特にお勧めです。

またセロトニンの大半は腸で作られるので、腸が健康である事も重要なことです。

 

では睡眠の質を高める1日の行動をまとめます。

    1)まず朝起床したら、陽の光を浴びて朝食を摂ることで概日リズムが整い(体内時計がリセット)、目覚めと睡眠のメリハリが出来る。朝食は特に高タンパク質を目指す。

    2)昼食後に、可能ならば15分程度の仮眠をとる。

    3)夕方にウォーキング等の適度な運動をする。

    4)夕食は就寝時刻の3時間前までには済ませ、睡眠改善効果のあるグリシン(アミノ酸)を意識して摂る。

    5)ぬるめのお湯での入浴により、リラックスし深部体温を上げる。

    6)就寝前には部屋の明かりを落とし、パソコンやスマホの青い光は避ける。

 

先ずは睡眠時間として7時間(最も死亡率が低く長寿であったという調査結果)の確保がベストですが、多少は短くても質を上げることでカバーできるはずです。

そのためには、朝食として高タンパク質を意識した主菜を念頭にしっかり摂ることと、1日の行動2)~6)を出来るだけ実行することが必要ですので、是非、挑戦してください。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

緑茶の中で最も健康効果が高いのは、断然「抹茶」!

緑茶が健康に良いことは周知されていますが、一口に緑茶と言っても、玉露から煎茶、番茶などと種類が豊富ですが、中でも抹茶は少し異色の存在です。

すなわち抹茶は、碾茶(てんちゃ)という覆下園で栽培された茶葉を石臼で挽いた粉末です。

 

本報では、抹茶の健康効果の高さを改めて紹介します。

          

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煎茶などの普通の淹れ方では、当然、茶殻は残して浸出液のみを飲むので、茶殻に残る成分(下表)は摂取できません。

 

   

遊離アミノ酸

カフェイン

カテキン

カロテン

V.C

V.E

 鉄

 (単位)

  (mg)

  (mg)

 (mg)

 (μg)

(mg)

(mg)

(μg)

  浸出液

    80

  80

140

 0

10

 0

240

   茶殻

    20

  80

360

720

  5

 4

960

 

                (煎茶6g+湯70℃170mL - 2分浸漬 → 145mL+茶殻)

 

浸出液中に含まれるのは水溶性の成分で、疎水性の強い成分であるカテキンやカロテン、ビタミンE、鉄などは茶殻の方に多く残るのが判ります。

 

抹茶は、その粉末をお湯に懸濁させ(混ぜ)る淹れ方で、できた液体を全て飲むので、茶殻に残る成分も摂取できることになり、最強の健康効果を発揮できるわけです。

 

では主な抹茶含有成分の健康効果を見ていきます。

 ・テアニンアミノ酸に属する旨味成分で、陽除けして育てられる抹茶(玉露も)には煎茶より多量含まれ、リラックス効果あり

 ・カテキンポリフェノール類の渋味成分で、抗酸化作用・血糖上昇抑制作用・肥満予防作用等あり

 ・カフェインアルカロイド類の苦味成分で、覚醒作用・利尿作用・脂肪燃焼効果等あるが、過剰摂取には注意

 ・サポニン:抹茶の泡を作る成分で、抗菌・抗ウイルス作用あり

 ・その他、ビタミンA(カロテン)・C・Eの効果も見逃せません。

 

抹茶は粉末なので、普通にお湯と混ぜて飲む以外にも、多様にアレンジして摂取できます。

 ・牛乳や豆乳に混ぜてラテにする・スムージーやヨーグルトに混ぜる・スイーツに混ぜる(多彩な市販品あり)・塩と混ぜて味付け(おにぎり等)に使う等々

 

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今では抹茶以外にも、「食べるお茶」と称する粉末緑茶が多数市販されています。

茶葉は浸出液を飲むだけでなく、丸ごと食べること(粉末)も意識して食生活に活かし、その健康効果を実感してみてはいかがでしょうか。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)

食糧危機を救うのは、コオロギなどの「昆虫食」!

無印良品コオロギせんべいを発売したのが昨年の5月で、ネット販売のみで当日完売になり話題沸騰しました。一袋(55g)にコオロギ30匹分の乾燥粉末が練り込まれていて、味はえびせん似で美味しいとか。

一方、長野など郷土の伝統食としてイナゴの佃煮がありますが、姿煮ですので抵抗感は否めません。

 

この様な「昆虫食」が、今後の人口増加による食糧(特にタンパク源)危機を救うと注目されていますので、本報で、その背景や昆虫食の特徴などを紹介します。

 

              f:id:dr-tomu:20210910223800j:plain (内山昭一 Official Website「昆虫食彩館」より引用)

 

そもそも昆虫食への関心は、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が、2050年には世界の食糧生産を倍増させる必要を指摘した中で、昆虫食を解決策の一つとしたことが契機でした。

その理由は昆虫の高い飼育効率です。タンパク質1kgを生産するための餌の量は、牛が10kg、豚が5kgであるのに対して、コオロギは2kgで済みますし、体重を増やすのに必要な水の量や温室効果ガス排出量も極端に少なくて良いのです。

栄養価も優秀です。100g当たりのタンパク量は、牛や豚が20g強であるのに対して、コオロギの生も約20gと遜色なくパウダーでは60gにもなります。さらに良質な脂肪、鉄・亜鉛マグネシウム等のミネラルも豊富です。

 

では現在入手可能な昆虫食ですが、販売会社別に、パウダー(を練り込み)タイプか姿タイプかを表示して挙げていきます。

 ・無印良品:コオロギせんべい(粉)

 ・MNH:未来コオロギスナックⅡ(粉)、スーパーコオロギおつまみ(姿)

 ・敷島製パン:コオロギのフィナンシェ(粉)、コオロギのバケット(粉)

 ・グリラス:コオロギのクッキーやクランチ(粉)

 ・TAKEOタガメサイダー、昆虫ふりかけ(姿&粉)、京都・広島・群馬こおろぎ(姿)

 ・バグズファーム:冷凍のセミ・ハチ・カイコ成虫や幼虫(姿)、こおろぎラーメン(粉)、

          蚕糞茶

 

こうして見ると、昆虫食と言っても先ずはコオロギが主流のようですが、今後はハエを含めた多様な昆虫に波及するのは確実でしょう。

そしてまだまだゲテモノ感で敬遠する方が多いでしょうが、近い将来、普通の食材として選択肢に入ってくるはずです。先ずは姿の見えないタイプの物から試してみることを勧めます。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)                     

栄養豊富な「枝豆」は、夏に最適!

夏の暑い日にはビールのお供に欠かせない「枝豆」ですが、どんな豆なのかは良く知らない方が多いのではないでしょうか。

 

そこで本報では、夏にピッタリで栄養豊富な枝豆の健康効果について情報提供します。

 

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まず枝豆は、熟す前に収穫された若い大豆のことです。サヤは緑ですが、完熟すれば茶色くなり、大豆として収穫されます。

枝付きで扱われていたので枝豆と呼ばれるようなったそうです。現在でも枝付きのままで市販されているケースもありますね。

食品栄養学的な分類(食品成分表)では、大豆は当然豆類ですが、枝豆は野菜類に属していて緑黄色野菜と言うことです。

 

では枝豆に含まれる栄養・健康成分とその効果を挙げます(一部の数値は茹で,100g当たり)。

 ・エネルギーは118kcalでやや高めだが、糖質は4.5g程と低くてダイエット向き

 ・タンパク質は11.5gと多くかつ良質で、低脂肪なので筋トレに役立つ

 ・食物繊維は4.6gで大半が不溶性なので、便通改善や満腹感に繫がる

 ・ビタミン類ではA(β-カロテン),B1,B2,C,D,葉酸を含み、疲労回復・夏バテ防止に効果的

 ・ミネラル類ではK,Mg,鉄などが豊富で高血圧改善や貧血予防効果あり

 ・その他、アミノ酸メチオニンはビタミン類と共にアルコール分解を促し、同じくオルニチンには疲労回復効果がある。さらに若い大豆なのでイソフラボンの存在も忘れてはいけません。

 

枝豆の定番の調理法と言えば塩茹ででしょうが、ビタミンなどの水溶性の栄養成分が多少流出する欠点があります。

そこでその欠点をカバーし、かつ時短にもなる調理法を2つ紹介します。

先ずは蒸し焼きで、枝豆をフライパンに入れて蓋をして少し焦げ目が付いてから5分程弱火で加熱します。もう一つはレンジ調理で、耐熱容器に入れた枝豆を500~600Wの電子レンジで5分程加熱します。いずれもが味がしっかり出て甘味も増すとのことです。

 

枝豆は鮮度が落ちやすいので、購入した日の内に上記のいずれかの方法で調理し、その残りや生のままの残りは冷凍保存しましょう。1ヶ月ほどは味や栄養を落とさずに日持ちできます。

冷凍食品の枝豆も栄養的には茹でを凌いでおり、自然解凍での摂取を勧めます。

 

枝豆は大豆と緑黄色野菜の良いとこ取りをした食材で、夏に最適な健康効果を有しています。スナック感覚で食べるだけでなく、様々なレシピも公開されていますので、気軽に食生活に取り入れてください。ただ食べ過ぎには気を付けて、1日100g以内にしましょう。

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今こそ新型コロナなどの感染症予防に「ビタミンD」を!

ビタミンDに関しては、当該ブログでも「今こそ見直そう「ビタミンD」の効能の重要性」と題して配信しました(2021.1.15)が、新型コロナウィルス感染の収束が見通せない現状で、容易な予防対策にもなるビタミンDを、更新リブログします。

 

                                           

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そもそも必須栄養素である「ビタミンD」の役割は、主に骨や歯の発育促進ですが、近年、骨や歯との関わり以外に、免疫力向上やアレルギー症状の改善、抗がん作用、花粉症やうつ病不妊症との関連など、多彩な効能が明らかになってきています。

つい最近では、血中ビタミンD濃度が高いとCOVID-19(新型コロナ)の感染リスクや重症化率が低い、という発表がありましたし、その他、ビタミンDが風邪やインフルエンザを含めた呼吸器感染症を予防する研究結果も相次いで報告されています。

 

ところが、ビタミンD摂取の目安量は8.5μg/日(18歳以上の男女)ですが、実際の一日摂取量は7μg程(国民健康・栄養調査(2018年))で、摂取不足(特に青年層)が明らかです。

 

そこで、ビタミンDの血中濃度を上げる有効な方法について紹介します。

 

1)食品から摂取する

ビタミンDが多く含まれる食品(一食分)を挙げます。魚介類やキノコ類には多いのですが、肉類は少なく、穀類や野菜・果物類には含まれません。

  ・サケ(一切れ/80g)→25μg・イワシ(丸干し/30g)→15μg

 ・ブリ(一切/80g)→6.4μg・しらす干し(半乾燥品/10g)→6.1μg

 ・全卵(ゆで/50g)→0.9μg

 ・きくらげ(乾燥品2g)→1.7μg・干しシイタケ(6g)→0.8μg

なお食品に含まれるのはビタミンDの前駆体(プロビタミンD)で、熱に強く調理で壊れることはありません。他に皮膚にも前駆体が存在していて、いずれも肝臓と腎臓を経て活性型のビタミンDに成ります。

 

2)日光に当たる

皮膚に紫外線が当たることでビタミンD前駆体が合成されます。有効な紫外線直射日光や屋外の日陰(服やガラス越しは無効)で、夏場は10~20分(冬場には60分)程度当たると、約10μgの合成が可能です。

 

3)サプリメントで摂取する

食品から毎日一定量を摂取するのは難しいかもしれません。また、日光に当たるのは陽射しが強い夏場が効果的なのですが、コロナ禍でままなりませんし、日焼けは避けたい人も多いはずです。こんな時にはサプリメントの利用するのも良いでしょう。

1粒にビタミンD単独のサプリで25~30μgマルチビタミン類では5~5.5μgが含まれています。但し、脂溶性のビタミンなので耐容上限量(100μg/日)が設定されていて、過剰摂取のリスクに注意しないといけません。

 

要するに、血中ビタミンD濃度は30ng/mLのレベルが必要で、そのための摂取量は日光浴からを含めて約50μgになります。

 

今の時期、感染症予防など免疫機能の維持にはビタミンDの充足が重要ですので、日々の生活で不足しないように心掛けましょう。

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)